表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第4章 西北大陸の闇。
66/77

第65話 ブレスデンの内情とファルネリアと。

お読み頂き有り難う御座います。


第65話です。

西北大陸南部にある民主国家ブレスデン。


首都は国の中心部にあるドルトンで、総人口は約8千万人。


人口の比率は7割が亜人種という話だが、歴代の首相は全て人種だそうだ。


国家代表は国民選挙により選ばれるという、この世界においてはかなり先進的な政治理念の国だ。


経済面は内需産業が中心となっており、外交に関しては大陸内諸国との交易と海外からの輸入がメインとなる。


西北大陸での立ち位置は中立を主張しており、国境周辺の警備も軍事防衛目的のみで、民間人の往来に関しては特別な検閲が無いそうだ。


最南端の港町は漁業とレジャー産業が盛んで、他の国から観光に来る者も多いらしい。


一方で治安は良い訳でも無い様だ。


特に首都ドルトンの歓楽街では複数の組織による犯罪が横行しているという。


警察は民間によって結成された自警団で、国家組織の警察は無いらしい。


その為、自警団の幾つかは犯罪組織との癒着があるという噂だ。


かつては王国として建国されたブレスデンだが、国民からの税の取り立てが厳しく、革命が起こった事により民主化の道を辿った経緯がある。


革命後、国家を再建する際に、東の隣国であるファルネリア皇国からの経済支援により多くの国民が救われ、それ以降ファルネリア皇国に頭が上がらない状況が続いているという。


首相は5年に一度の総選挙によって選出されるが、連投した首相は居ないそうだ。


一部の噂では、首相も犯罪組織によって都合良く使われているらしい。


翌日にはブレスデンに到着する予定のザック達は、ブレスデンについての知る限りの情報をメンバーで共有する事にした。


ザック:『ブレスデンに関して分かってる事は以上だけど、何か不安な事はある?』


アン:『正直不安は幾つもあるわね。例の海賊の一件もあるし。』


メル:『人属の割合が少ない国の場合、いつも問題になるのは治安ですね。謂わばそこら中に盗賊やスリが居る様なものです。自警団が犯罪組織と繋がっているなら、何かが起きても自警団が頼りにならない可能性もありますからね。』


セディ:『ねぇメル、どうして人属の割合が少ないと治安が悪くなりやすいの?』


メル:『理由は幾つかありますが、亜人種によって束ねられる社会には、その種族の民族性が大きく反映されます。獣人属はその中でも種族がかなり分かれるので、人属に比べて平和的価値観が統一されたものになりにくい事が多いのです。その種族によっては、強奪や人を陥れる事を良しとする事もありますからね。』


セディ:『えぇ!?何よそれ!?そんな平和的価値観なんてアリな訳!?』


アン:『そんなんだから世界の国々が一つの平和理念を共有出来ないのよ。レデンティアやアーデリアみたいな平和理念は人種の基準で作られたものだしね。あまりに価値観が違うから、互いに干渉を避けているのよね。』


セディ:『随分難しいのねぇ。陛下はそんな人達とどうやって上手くやるつもりなんですか?』


ザック:『向こうがアーデリアに同じ価値観を望む事は無いだろうから、互いの価値観をぶつけない事が鍵だろうね。別に俺はブレスデンと同盟を組みたい訳じゃ無いし。』


ローラ:『何にしても変に相手を刺激する様な事は言わない方が良さそうですね。』


ザック:『シュレーデンの事もあるしな。でも問題はそこじゃ無いんだよ。』


メル:『何です?』


ザック:『ブレスデンの平和理念は確かに突っ込み処が多いんだが、今後シュレーデンがどうなるかでブレスデンが領地拡大を目論む危険がある。そうなると第二・第三の軍事衝突が起こる可能性もあるんだよ。』


セディ:『て事はあまり下手にも出れないって事かぁ。』


ザック:『主導権を握ろうとすれば、それなりにリスクの高いやり取りが必要になると思う。逆に他の諸国との協力体制を前提とした話に持って行くなら、少しは楽に交渉出来るんじゃないかな?』


アン:『ファルネリア皇国を後ろ楯に出来れば、かなり動きやすくはなりそうなのよね。』


ローラ:『ブレスデンの港に入港して、先にファルネリアに行くのも失礼じゃないですか?』


メル:『確かにそうですね。』


ザック:『待てよ?そうか、ファルネリアを先にまわる方が良いかも知れないな・・・。』


セディ:『どうしてですか?』


ザック:『ブレスデンはファルネリアに頭が上がらない。ファルネリアもブレスデンより先に自国に来訪される事を望む可能性も高いだろ?』


メル:『それはそうかも知れませんが、入港するのはブレスデンなんですよ?』


ザック:『ちょっと俺に考えがあるんだ。』


ザックはセルディアに頼み、ファルネリアの港へ入港する様に頼んだ。


セルディア:『それは別に構いませんが、ファルネリア皇国は我が国との国交が無いので、港に入る為には事情説明や許可申請の関係で1日余計に時間が掛かると思いますが宜しいですか?』


ザック:『それは構いません。有力な国から訪問した方が、後々面倒が少ないと思いますのでお願いします。』


セルディア:『畏まりました。それではファルネリアの公立港のあるデラートに進路を取らせて頂きます。』


ザックは同じ皇国であるファルネリアを先に訪れる事にした。


少し手間が掛かったとしても、大陸において発言力の高い国を優先するべきだと判断したのだ。


ファルネリア皇国は約650年ほど前に建国された、この世界においては比較的歴史の浅い国だ。


西北大陸唯一の多種族による穏和主義の国家で、比較的治安も良いらしい。


西北大陸にしては文化水準の低い国にも関わらず、農業や畜産等の産業によって、近隣諸国への食品の輸出による経済利益率が高いのも特長だ。


また魔法を使える者が多く、冒険者も多いので、どの町でも活気があるらしい。


ブレスデンと真逆の様な国だが、国家による積極的な国民支援により、皇王の人望も厚いそうだ。


たとえ先にファルネリアを訪問したとしても、ブレスデンから批判を受ける事は無い。


パワーバランスに習った外交を行うのはごく自然な事だからだ。


しかもファルネリアを始めに訪問する事で、大陸内の各国の情報を得られる可能性が高い。


ファルネリアは寒冷地の西北大陸で一番の農業大国でもある為、貴重な食料輸出国という事になる。


大陸北部の諸国は必然的にファルネリアとの交易を行っているので、ファルネリアには大陸内の様々な情報が集まりやすいのだ。



翌日船はファルネリア皇国南部のデラート港沖合いにある、入港管理局のある島へ入港した。


ふと外を見ると、船の周りを兵士達が取り囲んでいる。


しばらくするとセルディアがファルネリアの管理官を連れて船室にやって来た。


セルディア:『失礼致します。ファルネリア皇国の入港管理官をお連れしました。』


管理官:『私は入港管理を担当しますロイドと申します。アーデリア皇国、皇王のエルベスタ陛下で御座いましょうか?』


ザック:『はい、アーデリア皇国皇王のザック・エルベスタです。』


ロイド:『この度は遥々ようこそお越し下さいました。それで今回はどの様な御用向きで?』


ザック:『今回は西北大陸の各国へ、我が国の建国のご挨拶と、今後の外交に関しての首脳会談を行いたいと思いましてね。まずは農業大国として名高いファルネリア皇国との外交交渉をさせて頂きたいと思い参上した次第です。』


ロイド:『左様で御座いましたか。それでは早速我が国の皇王陛下に御伝えしましょう。明日には入港許可が出ると思いますので、本日はこのままお待ち下さいませ。』


ザック:『宜しくお願い致します。』


ロイド:『その前に、失礼かとは存じますが、念の為に身の証を立てて頂きたいのですが宜しいでしょうか?』


ザックはアーデリア王家の紋章が入ったメダルをロイドに見せた。


ロイド:『結構で御座います。それでそちらの方々は?』


ザック:『こちらの者達は私の婚約者にしてパーティーメンバーの者達です。我が国での扱いは皇族となっております。』


ロイド:『大変失礼致しました。それでは明日まで暫し御待ち下さいませ。』


ロイド達が部屋を出てしばらくすると、船を取り囲んでいた兵士達の数が減っていた。


アン:『さすがに警戒されているわね。』


ザック:『まぁ当然だよな。しかも自国の船で来て無い訳だしね。』


メル:『アーデリアの名前はこの大陸でも知られていたのでしょうか?』


セディ:『恐らく船長が事前に説明してくれたんだと思うわ。』


ローラ:『何だかずいぶん厳重なんですね?』


ザック:『国交の無い国の船舶、しかも軍艦が入港しようってんだから当然だよ。』


セディ:『向こうの世界なら領海侵犯しただけで攻撃されかねませんものね。』


メル:『ザック様達の世界って結構物騒なんですね?』


ザック:『いや、一応警告とかはするんだけどね。友好的な相手じゃ無い場合は攻撃対象にはなるかな。』


アン:『でも管理局が攻撃して来なかっただけでも良かったわ。ここでトラブルになったら交渉どころじゃ無いものね。』


ザック『そうだな。一応話の分かる政府らしい。そんじゃ明日の予定でも大まかに決めとくか。』


その後セルディアが管理官との会話で得た、ファルネリア政府側の対応と諸事情について色々と教えてくれた。


ファルネリアの入港管理官は今回アーデリアの皇王が西北諸国各国を回る事を心配しているらしい。


北部での軍事衝突が理由な事は直ぐに分かったが、出来れば海外の国に知られたく無い事もあるのかも知れない。


その事も含め、翌日以降の会談で協力を求める為に、ザックは内容をつめる事にした。

お読み頂き有り難う御座いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ