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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第3章 皇王の務め。
54/77

第53話 黒歴史と皇王の挨拶と。

お読み頂き有り難う御座います。


第53話です。

なんでこんな事になったのだろう・・・。


アン:『好きぃ、ザック好きぃ・・・。』


メル:『ザックさまぁ、おねがい・・・。』


ローラ:『ザックさまぁ~。』



セディ:『・・・こりゃ重症ねぇ。』


ザック:『どうすりゃ良いんだよ・・・。』


サリア:『魔法でも駄目そうですね・・・。』



事の始まりは2時間ほど前・・・。



ザック:『今日はこの辺りで泊まるか。』


アン:『そうね。もう暗くなっちゃったし。』


メル:『ザック様、たまには外で夕食を食べませんか?』


ザック:『急にどうしたんだ?』


セディ:『みんなにバーベキューの話をしたらやりたいって言うから。』


ザック:『なんだそういう事か、あれ?肉ってどのくらいある?』


ローラ:『お肉は結構ありますけど、野菜が少ないので、そこの農家に頼んで少し分けて貰って来ます。』


ザック:『挨拶は丁寧にな!』


ローラ:『分かりました!』



その数分後



メル:『譲って頂きました。』


ローラ:『見た事の無い野菜も沢山譲って頂きました!』


ザック:『おぉ!凄いな!』


アン:『この果物も譲って貰ったの?』


ローラ:『はい、女の子が多いって言ったらこんなに頂きました!』


ザック:『へぇ、見た事無い果物だな。』


セディ:『なんか独特の匂いね。ブラックベリー的な・・・。』


ザック:『それじゃ始めようか。』


サリア:『私、火の支度しますね。』



それで果物を食べた三人がこの状況・・・。



セディ:『それで?譲ってくれた農家はなんと?』


ザック:『どうやら男が1人居るって聞いて、気を利かせたつもりだったらしいよ。ほら、こっちは一夫多妻が基本だろ?』


サリア:『それはちょっと・・・。』


セディ:『あ、そうなんですね・・・私も食っとけば良かったかな・・・。』


ザック:『馬鹿言うなよ。で、農家の人の話では三時間~四時間ぐらいで戻るらしいよ。』


セディ:『じゃあしばらくこの状況が続くんですね・・・。』


ザック:『とりあえずは落ち着くのを待つしか無いな。』


サリア:『私、一応回復魔法掛けておきますね。』



四時間後・・・。



メル:『死にたい・・・。』


アン:『やだ、まだ身体が火照ってるぅ。』


ローラ:『は、恥ずかしいです・・・。』


ザック:『まぁなんだ、不可抗力って事で・・・。』


セディ:『やっぱり良く分からない物は食べない方が良いって事ね・・・。』


サリア:『そうですね・・・。』


結局全員が落ち着くまで就寝は待つ事になった。


恐るべし、異世界の果実。



翌朝農婦がお詫びという事で沢山の食材を持って来てくれた。


アンは昨夜の反動か、少し具合が悪いとの事だったので、キャラバンで休ませる事にした。


エルフには少し強過ぎたのかも知れない。


今日の助手席はメルだ。


最近は順番にモービィに乗せる様にしている。


メル:『今日はエトルまで行けそうですね。』


ザック:『うん、多分昼過ぎには着くと思うよ。』


メル:『昨夜は・・・その・・。』


ザック:『あんまり気にするなって。一種の惚れ薬みたいなもんなんだろ?』


メル:『あんなに乱れた姿を見られてしまうとは・・・。』


ザック:『なかなかあんなメルは見れないから新鮮だったけどな。でも普段は少し気を張り過ぎじゃないか?』


メル:『ザック様はもう少し砕けた感じの方がお好きですか?』


ザック:『好きってより、何かメルが無理してるんじゃないかって心配になるよ。出会った頃のメルはもっと明るい感じだったからさ。』


メル:『あの頃はソロでしたし、自分が支えるべき人を探していましたからね。元々私は神殿騎士の末裔を探す旅をしていたので。』


ザック:『俺はメルに出会えて嬉しかったよ。今こうして旅が出来るのも、メルがパーティーに入ってくれたからだって思ってるしね。』


メル:『ザック様のパーティーに入ってからの私は、以前までの私と少し変わった気がします。以前は自分の力を誇示しようとしていた所が有りましたしね。』


ザック:『そんな風には見えなかったけどなぁ。でもどっちもメルの一部なんじゃない?』


メル:『どちらも私の一部・・・。そうかも知れませんね。』


メルは自分に自信が無かった。


ザックの従者として、いつでもザックの為に命を投げ出す覚悟はあったが、自分自身を受け入れて貰えている確証も無かったのだ。


ザックは人属で自分はドワーフ。


そのコンプレックスも有ってか、自分の女の部分を抑えていた。


だがザックは人種や種族に関係無く女性として扱ってくれる。


いつしかメルはそれに甘えている事に気付いていた。



しばらく走ると、前方にエトルの町が見えて来た。


この町には東の関所がある。


この関所はエルフの森や湖の都セレンティへ不審者を入れない様に関所を設けてあるのだ。



兵士:『皇王陛下、皇宮より連絡を受けております。東部への視察お疲れ様です。』


ザック:『有り難う、今日はエトルで一泊するから宿の手配を頼めるかな?』


兵士:『畏まりました。』



アンも回復した様なのでエトルの町を見て回る事

にした。


アン:『ごめんね、心配掛けちゃって。』


サリア:『回復して良かったです。』


ザック:『アンにはあの果物の成分が強過ぎたんだろうな。でも体調が戻って良かったよ。』


ローラ:『やっぱり種族によって効果が違うんですかね?』


メル:『そうだと思います。私は薬物に耐性があるので回復が早かったですが。』


セディ:『朝は熱があったものね。』



エトルの冒険者ギルドを訪ねてみた。


ザック:『こんにちは。』


受付嬢:『あ、陛下、ようこそいらっしゃいました。視察だそうですね?』


ザック:『はい、こっちのギルドの状況が知りたくて来ました。』


受付嬢:『少しお待ち下さい。』


受付嬢は奥に行くとギルド長を連れて来た。


ギルド長:『これはロードズ・ブレイブ、ようこそおいで下さいました。当ギルドの状況を知りたいとか?』


ザック:『はい、この辺りは魔物が少ないそうですね?クエストの内容はどんなものがあるんです?』


ギルド長:『以前は探窟や荷馬車の警護、採種のクエストが多かったんですが、陛下が出された警察活動が最近では一番の収入になりますかね。』


ザック:『治安に関してはどうですか?』


ギルド長:『こっちはかなり平和だと思いますよ。北東の山間部では、たまに盗賊が出るって噂はありますが、町まで来る事はありませんので。』


ザック:『そうですか、有り難う御座いました。』


町は適度に活気があり、ギルド長が言ってた通り治安は良さそうだ。


町の中心部に教会と神殿があり、この町の信仰心が高い事を物語る。


サリアが神殿に挨拶に行ってる間に市場を覗いた。


アン:『おかしいわね・・・。』


ザック:『どうしたの?』


アン:『うん、この町の市場にはエルフが店を出してたはずなんだけど・・・。』


メル:『アンさん、あれじゃないですか?』


メルが指差した方を見ると三軒ほど連なってエルフが露店を出していた。』


アン:『あぁ、あれよ!うちの村の人達なの。』


ザック:『行ってみようか。』


店主:『いらっしゃい、あれ?アンじゃない!?』


アン:『久しぶりレニア、こっちに出してたのね。』


レニア:『どうしたのよ?アーデンに行ってたんじゃなかったの?』


アン:『実はあれから色々あって、今はアーデリアの皇王と旅をしているの。』


レニア:『えっ!?』


他のエルフ達も驚いていた。


レニア:『それってどういう事なの!?』


アン:『アーデンでパーティーを組んだパートナーが、今では皇王陛下になったって訳。紹介するわ、ザックよ。』


ザック:『ザック・エルベスタです。突然お邪魔してすいません。』


レニア:『いえいえ、とんでもない。それで陛下は何故冒険者の服装をされているんですか?』


ザック:『俺は今でも冒険者なんですよ。この格好なら他の人に警戒されないでしょ?』


レニア:『そうなんですか、今回視察か何かで?』


ザック:『はい、一度東部もちゃんと見ておこうと思いまして。もちろんエルフの村の族長にもご挨拶するつもりです。』


レニア:『是非!是非御願いします!族長もさぞや喜ぶ事でしょう。アン、陛下をしっかり護ってあげな。』


アン:『うん、みんなまたね。』


ザック:『それでは皆さん失礼します。』


普通なら一国の王がエルフや亜人属に対してあれほど丁寧に挨拶をする事は無い。


さも当たり前の様に接したザックを見てエルフ達は特別な感情を抱かざるを得なかった。


アン:『有り難うザック、彼女達は凄く喜んだと思うわ。』


ザック:『え?俺は挨拶しただけだよ?』


メル:『ザック様、それが凄い事なんですよ。』


ザック:『どういう事?』


アン:『王様が地方のエルフ属にあんなに丁寧な挨拶をした事なんて今まで無かったわ。ザックがそうした事でこの国のエルフを王様が認めてくれたという事になるのよ。』


ザック:『そりゃ認めるに決まってるじゃないか。大事な自国の国民なんだぞ?』


メル:『他の国の王はそうは思っていないのです。人属の社会では、亜人種やエルフ、ドワーフなどが自分達の社会に入る事を嫌います。人属と隔絶される事が多いのはその為なのです。


ザック:『くだらないね。俺の国ではそんな身勝手な事は許さないよ。俺が掲げるのはあくまでも多種族友好国家なんだから。』


それを聞いたパーティーメンバー達は自分達の皇王を誇りに思った。



お読み頂き有り難う御座いました。

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