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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第2章 領主そして建国。
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第46話 慌ただしさと微笑みと。

お読み頂き有り難う御座います。


第46話です。

皇宮の落成式も終わり、ザック達は即位式典に向けた忙しい毎日を送っていた。


既に各大臣も皇宮入りし、衣装や料理も決まった頃、ザックは地下空間に収納してある落成式の日に届いた機械の前に居た。


サクラからの手紙によると、この世界のマナを動力とした魔導エンジンで飛行する航空兵器らしい。


ザックは神が何故この兵器を送って来たのか、今後これを使う様な事態が起こるのかを考えていた。


この世界は中世レベルの文化と、産業革命期の文化が混ざり合った世界だ。


当然まだ航空力学なんかは存在しない。


ザックの指示でリアスがすべてのユニットを開封したが、未だに組み立ての指示を出せずにいた。



リアス:『ザック様、やはりこれを組み立てたら、諸外国には秘密にしなきゃならないんですよね?』


ザック:『・・・これはこの世界には過ぎた兵器だ。多分この兵器だけで世界を屈服させられるほどのね。この設計図の後半部分には各部の説明書きがあるんだけど、あまりにも攻撃力が高過ぎる。』


リアス:『やはり封印した方が良いでしょうか?』


ザック:『・・・もう少し考えさせてくれ。』

(封印するにしても、何かの事態が起ったら使わざるを得ない・・・。)



ザックが皇宮に戻ると、シルビアに声を掛けられた。



シルビア:『陛下、各町村の首長からレデンティア王国へ移送する市民の名簿が届きました。』


名簿を見ると数の少なさに驚いた。


少なくとも町一つ当たり15人ぐらいは予想していたのだが、大きな町でも2人~3人なのだ。


移住希望者が居ない町も多数ある。



ザック:『これは喜んで良いのかな?』


シルビア:『良いんじゃないですか?それだけ国民に期待されているという事だと思います。』


ザック:『そっか、じゃあこれをまとめて必要な馬車の台数を算出して貰えますか?』


シルビア:『畏まりました。』



即位式典前ではあるが、既に国としての機能は動き出している。


ザック・憲兵大臣・内政大臣による王国法からの見直しや新法の作成。


経済大臣による現在の予算の取り纏め。


外務大臣による諸外国向けの資料や式典に向けた来賓の名簿作成。


厚生大臣による式典時の救急医療の準備。


憲兵大臣・騎士局・兵士局による式典の警備体制のシミュレーション等だ。


またリアスとレインによって運営される産業開発公社も平行して準備が進められていた。


これは独立した企業としてファクトリーを作るのでは無く、国家事業として運営する事でファクトリーの不当な運営を抑止するものだ。


商人ギルドと国家による限定的な干渉規約を交わして設立される。


勿論各ギルドは従来通り運営されている。


かなり忙しい状況だが、ザックは皇宮内での職務に関して一定の規定を設けている。


それは休憩時間の徹底である。


皇宮内の各部署にシフト制を設け、一定時間の休憩をする様に義務付けたのだ。


無論大臣職にも適用されている。


皇宮の開城時間も決められた。



即位式典まであまり時間が無い事もありザックと大臣達による会議は夕食後に行われていた。



『即位式典まで10日を切ったけど、各大臣に進捗状況を聞かせて貰えますか?』


シルビアから順に説明した。


シルビア:『内政に関しては、各町村からの人民移送に必要な馬車の手配は全て完了しました。また各騎士局・兵士局より要望のあった各首長が希望している国旗は既に発送済みです。国民から要望の多かった定期馬車の増便に関しては経済大臣と協議の上で決定する予定になっています。』


マリエリア:『経済に関しては、本年度の予算の内、建国と物流並びに国民移送に関する予算を優先的に考えております。産業に関しては、開発費用の上限を現在リアス氏と協議中です。』


アルタス:『憲法に関しては、陛下より頂いた立法案と王国法の精査を8割ほど終了しました。皇宮内外の警備並びに即位式典時の配備人員もほぼ確定しております。』


サラ:『外務に関しては、式典前にすべての諸外国に建国宣言の内容が記載された伝文書が届く様に発送しております。諸外国からの来賓者の宿泊リスト並びに各国の国賓の宿泊リストも作成済みです。』


ボルト:『厚生は皇宮内での医療室と救急医療の段取りは全て完了。医療器具の搬入と治療魔法氏も既に皇宮に待機しています。』


ザック:『それじゃあ、ある程度の段取りはほぼ完了した訳だね。即位式典まであまり時間は無いけど、もう一踏ん張り宜しく頼みます。』



会議が終わると、ザックは全ての報告書と要望書に目を通す事にしていた。


アン達が皇宮内の雑務や皇都の内情視察をしてくれているので、秘書の仕事まで頼む訳にもいかない。


他国とは違い、王様自らが行う仕事が多いのだ。



翌日ザックはパーティーメンバーと共に、皇都全体を繋ぐ周回道路を視察した。


これは皇宮建設と同時進行で行われていた工事なのだが、ようやく全区間が開通したのだ。


即位式典当日は建国記念パレードが行われる為、ベルクレア女王の名によって王国側が行った工事である。



ザック:『本当に全部繋がったんだな・・・。』


アン:『しかも凄く広いわね・・・。』


メル:『ここに商店街が出来たら大都市になりますよ。』


ローラ:『どんな町になるか楽しみですね。』



ザック達は改めて国が作られる事の偉大さを体感した。


この周回道路からはどの場所からでも常に城が見える。



ザック:『まさか俺があの城の王様になるとはな。』


アン:『ザックなら良い国に出来るわよ。』


ザック:『正直自信は無いけどな。』


メル:『大丈夫です。神様が御認めになられた方なんですから。』


ザック:『その分みんなに苦労をかけるかもしれないけどね。』


ローラ:『ザック様、それが王様の仕事なんだと思いますよ?』


苦笑いをしたザックとは対照的にアン達は微笑みながらザックを見ていた。


そしてついに皇王即位式典の日がやって来た。

お読み頂き有り難う御座いました。

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