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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第2章 領主そして建国。
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第43話 冒険者の権利と大臣と。

お読み頂き有り難う御座います。


第43話です。

新国建国の告示が翌日となった。


既に騎士局・兵士局・商人ギルド・冒険者ギルドには通達が行き、冒険者ギルドではザック達チーム・アポストロが一国の王室に入る事での今後の冒険者登録に関する話がされていた。



カリン:『当冒険者ギルドが一国の政府に携わる者を冒険者として扱う事は出来ません。本来なら任意除名となるのですが、各国のギルド代表会議により、チーム・アポストロのこれまでの功績とギルドに対しての貢献を考慮して、これまで通り冒険者としての権利が保証される事になりました。』


ザック:『でも宜しいんですか?一国の王室がギルドに加盟しても。』


カリン『ザックさん達は例外中の例外ですよ。特にザックさん個人に関しては、世界に数人しか存在しないノワールで、尚且つレデンティア王室より最高位勲章を賜った国家名誉騎士団のリーダーです。ギルド側としては、除名に関して消極的な意見も多く、各国のギルド代表の満場一致で決定されました。』



その話を聞いてアンは疑問に思った事をカリンに尋ねた。



アン:『ザックは分かるんですけど、私達もその対象になってたんですか?』


カリン:『アンさん達もチーム・アポストロのメンバーとして活動されていた訳ですから当然対象になります。皆さん揃って王室に入られるのでしょうし、今後冒険者としての活動をされる場合は国家政府の役職には着かない方が望ましいですね。』


ザック:『つまり大臣職には着かない方が良いって事ですか?』


カリン:『そういう事になります。ギルドと国家組織は互いに干渉しないという決まりが有りますので、貴族や政府の者はギルドに一切干渉出来ません。今回権利がチーム・アポストロに認められたのは本当に異例な事なんです。』


ザック:(という事はメンバーから大臣を任命は出来無いって事か・・・。大臣の選定を見直す必要があるな。)



ザック達が冒険者ギルドを出ると、王宮騎士が待っていた。



騎士:『ザック様、騎士団長からお話があるそうなので、総合局へお越し下さい。』



ザック達が総合局に入ると騎士団長が待っていた。



騎士団長:『御足労頂いてすいません、実は王宮より暫定政府が確立するまでの間、我々が新国の騎士団として任に着く様にと指示されたのですが、折り入って御願いがありまして。』


ザック:『どの様な内容でしょう?』


騎士団長:『実はこの地に駐留している騎士団員ですが、私も含め今後もこの地に止まりたいと考えております。御許し頂けるなら、今後新国の正式な騎士団として雇っては頂けないかと思いましてね。』


ザック:『御家族は今どちらに?』


騎士団長:『はい、私と数名の家族はシェルバールに。他の者達は王都に家族が居りますが、すでにこちらに呼んでいます。』


ザック:『そういう事でしたら此方としても有り難いです。一応女王陛下に相談してみましょう。』


騎士団長:『有り難う御座います!』



その後兵士団からも同じ要望があり、ザックは快く了承した。


これで城下町における治安の心配が減った事になる。


その日のうちに各町村からも同様の要望があった。



屋敷に戻るとリアスが見て欲しいものがあると言うので工房に行った。



ザック:『これ、全部つくったのか!?』


リアス:『はい、以前ザック様が王宮に持って行かれた物を少し改良しました。消費魔力を少なくして、より扱いやすくしたんです。』



そこに並べられていたのは魔信機、いわゆる通信機だ。



ザック:『にしても多くないか?』


リアス:『これから新国が建国される訳ですし、数種の回線を使い分ければお城で活用できますでしょ?あとザック様が要望していた自転車も完成型があちらに。』



そこには10台ほどの、前部に大きな荷台が付いた三輪車が並んでいた。


変速機が付いたタイプで、少々の坂道でも問題無く走れる作りだ。



ザック:『これは良く出来ているな。テストはしたのか?』


リアス『もちろんバッチリです。私の脚力でも隣町まで走れるぐらいですから、扱いやすさは折り紙付きですし、強度もかなり高いですよ。』



よく見ると、前後にはサスペンションが付いており、サドルにもスプリングがあるので乗り心地も良さそうだ。


しかも前後に動力が伝わる構造なので道を選ばない。


早速ムーラン・総合局・商人ギルドに1台ずつ届けてモニターを頼む事にした。


ダイソンは食材の買い付けが楽になると喜んでくれた。


屋敷にも1台置き、使用人達にも使用感を確認してもらった。


何かと買い物の機会が多いフェルテはかなり気に入った様子で、普段の倍以上の荷物が楽に運べると喜んでいた。


ロングスカートでも裾が引っ掛かったり汚れない様に設計してあるので、女性でも問題無く乗る事が出来る。


シェルバールのランバル、リースの総合局にも1台づつ届けた。


あとは王宮に届ける1台を除いて、残りは特に要望が無い限り、量産の為のモデルにする。



ベルクレアから通信が来たので、ついでに自転車を届ける事にした。



ベルクレア:『ザック殿、明日建国の告示をするのじゃが、即位の義はいつ頃を予定すれば良いかのう?』


城の建設はまだ二週間ほど掛かる。


建設の途中からリアスによって作られたクレーンを導入したのでペースは上がったが、まだ裏手の工事が終わっていないのだ。


ザック:『そうですね・・・一月後では如何でしょう?各ギルドや騎士局・兵士局の準備もありますし、レデンティアに残留したい国民の移転の時間も必要ですから。それと騎士局と兵士局から今後も新国に残留したいとの要望がありましたが、レデンティア王国としてはこれを受諾されますか?』


ベルクレア:『そうじゃな、現段階で新国の領地に居る騎士や兵士は家族も移転しとるじゃろうしな、この件は受諾しよう。帝国にも一月後に即位式をする旨伝えねばな。ところで何やら変わった乗り物を持って来たとの事じゃが?』


ザック:『はい、以前お話しした自転車が完成しましたので、お試し頂こうかと思いましてね。』


ベルクレア:『ほう、では拝見しようか。』



王宮の中庭に置かれた自転車を見ると、シンクレア王女は大はしゃぎだった。


ベルクレアが興味深そうに覗きこむと色々とザックに質問していたが、ベルクレア以上に園兵達が興味を持っている様だった。



屋敷に戻り一通りの雑務が終わると、大臣職の選定を始めた。


ザック:(パーティーメンバーからは任命出来無いんだよなぁ。)


アーデンには元々貴族が居ない事もあり、役職の経験者自体が少ない。


選定にはそれなりに信用がおける人材が必要だが、各大臣の職に関してはより慎重に選ばなければならない。


当面は内政・外務・経済・厚生・憲兵の5人制となる。


本来ならばもっと必要なのだが、制度的に皇国でありながら貴族を必要としない政策を目標とした国家を目指すには、必要最小限の役職で構成するのが望ましい。


その分国王であるザックが最高権限を持って各政策を取り仕切る事になるのだが、ザックとしては独裁体制の政治を望んでいる訳では無い。


独裁政治を回避する為には帝国主義的な王の発言権と民主主義的な国民による政治参加が必要となる。


元政治経験者と民間の人間が政治の場に立つ事で、より民衆に近い目線で政治を行う方針を立てたのだ。


そこでシェルバールのランバルに相談を持ち掛ける事にした。



エレーナ:『なるほど、つまりこのシェルバールも新国の領土となる訳ですか・・・。となると今後の利益申告や税額なんかはどうなるんでしょう?』


ザック:『当面その辺は現在の王国と同じにしますよ。新国には貴族が居りませんので、国家の貴族保証みたいな支出もありませんから税収を増額する必要も無いですしね。』


エレーナ『それは良かったです。それで先ほどの話ですが、私の知り合いで外務大臣に適任な方が1人いらっしゃいます。』


ザック:『どんな方なんです?』


エレーナ:『はい、元々王宮の外交管理官をしていた方で、現在は入港管理所の総務をされているサラ・ローズワースさんです。』


ザック:『なるほど、外交管理官ですか。その方なら適任ですね、是非ご紹介頂けますでしょうか?』


エレーナ:『他ならぬ国王陛下の頼みとあれば断れませんね。ではこれからまいりましょう。』



港の入港管理所に行くと、サラを呼んでもらった。



サラ:『ランバルさん、こんな所に珍しいですね。今日はどんな要件で?』


ランバルとザックが事情を話すと、サラは真剣な顔で言った。


サラ:『ひとつお聞きしたいのですが、新国の方針としては外交に関して、どの程度の範囲で王国との友好関係を考えていらっしゃいますか?』


ザック:『新国としては俺自身がレデンティア王室との直接的な交流も有りますので、出来る限り友好的な交流を考えております。別に革命的な独立をする訳ではありませんし、交易に関しても王国に対しては極力関税を免除する方向で考えています。』


サラ:『その話が本当なら、私としてはお断りする理由は御座いません。それに新国王陛下が直々にお越し下さったという事は、よほどの理由がある事と思います。私で宜しければお力になりましょう。』


ザック:『本当ですか!それは助かります!宜しくお願いします!』



サラとザックは今後の事を打ち合わせ、アーデンへの移住の日取りまでを決めてから屋敷に戻った。



屋敷に戻ると、アンとメルが副兵士長と話をしていた。



ザック:『ただいま。何かあったのか?』


アン:『おかえり。実は副兵士長さんが憲兵大臣に適任の方を知っているそうなのよ。』


ザック:『それは本当ですか?』


副兵士長:『えぇ、ランスの兵士長なんですが、元々は騎士団の剣術指南をしていた方でなんです。法律や兵法にも長けた方ですし、あの方なら適任ではないかと思いまして。』


ザック:『それじゃあ明日にでも行ってみましょう。教えて頂いて有り難う御座います。』



副兵士長が帰ると、夕食の席で外務大臣が決まった事を伝えた。


ランバルの紹介で、かつ元王宮の外交管理をしていたと伝えると皆が賛成してくれた。


そして翌日いよいよ全ての地域で王宮から新国建国の告示がなされた。



お読み頂き有り難う御座いました。

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