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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第2章 領主そして建国。
42/77

第41話 アイゼンハルトと大神官と。

お読み頂き有り難う御座います。


第41話です。

ザック達が王都を去った数日後。


ベルクレアの元に、客人が来たと報告があった。


謁見の間で待っていたのは、ベルクレアの妹にして西方大陸の小国【アルゼンヌ共和国】の女王リゼリアであった。



ベルクレア:『リゼリア!そなた連絡も無しにどうした!』


リゼリア:『御姉様お久しゅう御座います。西方諸国連合の閣議から直接参りましたの。』


ベルクレア:『さようか、兎に角ここではなんだ、談話室で話を聞こう。』




ベルクレア:『して、どうであった?』


リゼリア:『西方連合は新国の建国を承認しましたわ。但し条件付きで。』


ベルクレア:『条件とな?』


西方諸国連合が出した条件は以下の通りである。


1.国家運営に関する閣議決定事項を全て公開する事。


2.外交状況を一定周期で全て公開する事。


3.ノルバーン帝国の内情を全世界で共有する事。


4.諸外国の領事を駐留させる事。


5.・・・・・・・・・・・。


ベルクレア:『何じゃこれは!これではまるで西方諸国連合の俗国になれと言っておる様なものではないか!』


リゼリア:『姉様落ち着き下さい。元々は新国建国に対して反対をしていた小国も有ったのです。承認する代わりに、同盟において新たに作られた建国規定に従って貰いたいというだけすわ。』


ベルクレア:『じゃが西南大陸においては王国の管理下となっておる筈。我が王国の領土から建国するのに西方の規定を適応するという道理が理解出来ん。西方諸国は王国を軽視してはおらぬか?』


リゼリア:『御言葉ではありますが、西方諸国同盟は世界外交に関して、今後は主導の立場を表明するつもりです。西方同盟国が世界を主導する事こそが、世界の混乱を未然に防げると私も賛同しております。』


ベルクレア:『それは東方・南方・中央も承認しておるのか?妾は今初めてその話を聞いたのじゃが?おそらく北方諸国もその話は知るまいて。』


リゼリア:『今後全ての国が賛同する事になるでしょう。何せ我が西方の大国、アイゼンハルト共和国に使徒様が降臨されたのですから。』


ベルクレア:『もう一人の使徒様じゃと!?それは誠なのか!?』


リゼリア:『失礼ながら使徒様は世界に一人しか降臨されますまい。姉様はザック殿とやらが使徒様であると申されましたが、その資質と力は御覧になられたのですか?』


ベルクレア:『見た。そしてこちらの世界では説明のつかぬ物も持っておられる。何よりザック殿には神力が宿っておられる。』


リゼリア:『それは大神官が保証されたものですか?』


ベルクレア:『いや、ザック殿は使徒が現れた事により世界に混乱を与えたく無いと申しておられるからな。』


リゼリア:『西方に降臨された使徒様は、世界を救うために来たと明言なされました。そしてアイゼンハルト大神殿の大神官様が使徒様に間違い無いと明言したのです。』


ベルクレア:『なるほど・・・ではその使徒様はアイゼンハルトにおいでなのじゃな?』


リゼリア:『えぇ。アイゼンハルトの王宮においでです。』


ベルクレアは先日ザックから預かった通信機を出すと、ザックと交信しその後直ぐにザックはパーティーメンバーと共に転移魔法で王宮にやって来た。



ザック:『急用と聞き参上しました。』


ベルクレア:『ザック殿、こちらは妾の妹にして西方アルゼンヌ共和国女王のリゼリアじゃ。』


ザック:『お初にお目に掛かりますリゼリア様。』


リゼリア:『そなたがザック・エルベスタ殿か。姉上からそなたの話は聞いておる。時にザック殿、そなたには使徒様の資質がお有りとか。私にもそれらを見せて頂きたい。』


ザック:『出来ればあまり見せびらかしたくは無いのですがねぇ・・・まぁ宜しいでしょう。』


ザックがリゼリアの前に並べた数々の品、そしてザックの説明とも相まってリゼリアが信用するには充分だった。


更には王宮内の上級神官により、人が持ち得る筈の無い程の神力がザックから漏れ出している事も確認された。


リゼリア:『・・・認めざるを得ません。ザック殿が使徒様である事は真実の様ですね・・・。』


ベルクレア:『実はなザック殿、西方の大国アイゼンハルト共和国にも使徒様が降臨なされたそうなのじゃ。じゃが使徒様が世界に二人降臨されるという話は聞いた事が無い。そこでザック殿には使徒としてアイゼンハルトへ赴き、あちらの使徒様と会って真意を確かめて欲しいのじゃ。』


ザック:『使徒としてですか・・・。ん~でも良いんですかね?』


ベルクレア:『どういう意味じゃ?』


ザック:『俺は神様から使徒である事は出来るだけ秘密にして欲しいと言われましたし、出来れば今後も正体を公に明かすつもりはありません。もし本当に使徒が世界に二人降臨する事が無いのであれば、あちらで使徒と名乗っている者が偽物という事になりますよね?西方諸国にその方が使徒だと知れ渡っているならば、尚更人民の動揺を与える事になりませんか?』


ベルクレア:『じゃが西方諸国連合は使徒様を奉り上げて世界の主導権を握ろうとしておるらしいのじゃ。手遅れになってからでは尚更被害が大きいでな、事が大きくなる前に何とか出来んかのう?』


ザック:『そもそもその人が使徒だと判明した経緯と明言した人が問題ですね。権力と権威のある人が明言したなら結構問題が複雑になるし・・・。』


リゼリア:『明言したのはアイゼンハルト大神殿の大神官じゃ。当然国王としてもその言葉を信用し、外交の手段として考えた訳だしな。』


ザック:『その辺に関してどこまで話が進んでるかが問題ですね。リゼリア陛下がご存知だという事は諸国の合同会議で議題にあがったんですよね?』


リゼリア:『既に西方諸国は使徒様の事は知っておる。今回新国建国に承認する会談でも、使徒様が降臨された事を交渉材料として諸外国との外交をする事で合意したばかりだ。』


ザック:『あぁ、やっぱりかぁ、嫌な予感はしてたんだよなぁ。』


アン:『ねぇザック、いっそ世界にバラしちゃったら?』


ザック:『馬鹿言うなよ、そんな事したら俺の立場を利用しようとする奴等が挙って押し寄せるから建国どころの騒ぎじゃ無くなるぞ?』


メル『ひとつ宜しいでしょうか?先程アイゼンハルト大神殿の大神官が明言されたと御聞きしましたが、中央大陸の聖都エルス以外に大神官様は居られない筈。アイゼンハルトに大神殿が出来たという話も初耳なのですが?』


リゼリア:『アイゼンハルト大神殿は建国時に建てられたと聞いておる。当時エルス大神殿の大神官がアイゼンハルトを祝福される為に移住されたとか。』


メル:『その話はおかしいです。エルスには現在も大神官は居られますし、アイゼンハルトが建国したのはおよそ650年前です。まだ神殿騎士団が活動していた時代ですから、我が一族に伝承されていなければ筋が通りません。』


リゼリア:『貴女はいったい・・・。』


メル:『御挨拶が遅れました、私は神殿騎士団で唯一のドワーフ、ジルゴート家一族の末裔、メリアル・ジルゴートと申します。』


リゼリア:『なんと!?神殿騎士団の末裔とな!?何ゆえその様な御方が!?』


メル:『ザック様の素性と使命を知り、感銘を受け従者としてザック様の元に身を寄せさせて頂いております。もしアイゼンハルトの大神官が偽りの神官であるならば、その大罪を償わさせねばなりません。』


リゼリア:『待たれよ!それが誠で有るならば、アイゼンハルトの国その物も存亡が危うくなるではないか!』


ザック:『落ち着いて下さい。』


ザックが割って入った。


ザック:『今までの話を整理すると、アイゼンハルトの大神官が虚偽の明言をして、何者かを使徒として国王を利用した事が考えられます。つまり俺が使徒である事を公表しなくても、そちらを解決すれば良い訳ですよね?』


リゼリア:『確かにそうじゃが、この事実が知れれば西方諸国の混乱は避けられまい・・・。』


ザック:『それなら俺が新国国王として出向くというのはどうです?一国の王としてこの一件を解決し、メルに神殿の件をエルス大神殿に委ねてもらう。アイゼンハルトに関しては国王の立場を悪くしない様に新国だけで無く、レデンティア王国とノルバーン帝国とも条約を結んで貰う。勿論リゼリア陛下にも協力頂くという事で。』


ベルクレア:『確かにそれならザック殿がアイゼンハルトに赴く理由としても十分じゃな。』


ザック:『あくまでも新国国王としてですがね。俺達だけじゃありませんよ?ベルクレア陛下と帝国のエルベラ陛下、リゼリア陛下にも一緒に行って頂きます。』


リゼリア:『勿論私も協力するが、エルスの大神殿にはどう助力を?』


ザック:『メル、エルスに行った事はあるか?』


メル:『はい、一度だけではありますが。』


ザック:『なら問題無い。両陛下、これよりエルスに行き、大神官様に事の事情を説明して来ます。』


リゼリア:『なんだと!?中央大陸までは半年も掛かるぞ!?』


ベルクレア:『リゼリア案ずるな。ザック殿は転移魔法が使える。』


リゼリア:『聞いてはいるが、転移魔法で飛べる距離をはるかに超えとるぞ!?』


ベルクレア:『まぁ見ておれ。』


ザック:『メル、行くぞ。』



ザックとメルはエルス大神殿の前に転移した。



ザック:『・・・やべぇ。結構ガッツリ魔力持ってかれるわぁ。』


メル:『大丈夫ですか?魔力薬を持って来て良かったですね。』


ザック:『あぁ、まったくだよ。考えてみれば中央大陸って帝国の4倍は距離有ったんだよな・・・。』


メル:『少し休んでから行きますか?』


ザック:『大丈夫だ。事が事だ、急ごう。』



ザック達は大神殿に入ると神官に事情を話し、大神官に面会する事が出来た。



レイエス:『大神官のレイエスです。』


メル:『神殿騎士団、ジルゴート家一族の末裔、メリアル・ジルゴートです。』


ザック:『俺は・・・。』


レイエス:『使徒様ですな?』


ザックが名乗ろうとした途端、大神官がにこやかに言葉を返した。


ザック:『何故それを?』


レイエス:『魔力とは異なる神力が見えます。それも強大な。意図的に力を抑えていらっしゃる様ですが、漏れ出した力は神々しく輝いております。それで使徒様と神殿騎士団の末裔の方が来られたからには何か重大な要件がお有りですかな?』


ザック:『全てお見通しの様ですね。では。』



ザックとメルが事情を話すと、レイエスは表情を曇らせた。



レイエス:『その者の処分・・・私に任せては頂けませんでしょうか?』


ザック:『それは構いませんが、それは俺達とアイゼンハルトまで行って頂けるという事で宜しいのでしょうか?』


レイエス:『勿論です。神官がもし偽物で有るならば大罪です。神殿もまた勝手に築いて良いものではありません。アイゼンハルト共和国はエルスに断りも無く神殿を築いたのみならず、偽りの大神官を神殿に住まわせた。更にはあろう事か偽の使徒様まで・・・。これは神を冒涜する大罪です。国王にも罪を償って頂かねばならぬでしょう。』


ザック:『取り敢えずは一度レデンティア王国の王宮に飛びます。他の神官の方々に数日留守にすると伝えて下さい。』



魔力を回復した後、レイエスと共にレデンティア王国の王宮に転移した。



レイエス:『おぉ!何と一度の転移でこの距離を移動出来るとは!さすがは使徒様ですな!』


ザック:『・・・いや、結構キツイっすよ・・・。』


メル:『ザック様、早く魔力薬を!』


ベルクレアとリゼリアにレイエスを紹介すると、レイエスは改めてザックが使徒である事を明言した。


翌日、ノルバーン帝国からエルベラを招き、事の事情を説明した後、全員でアイゼンハルトへ転移した。

お読み頂き有り難う御座いました。

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