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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第2章 領主そして建国。
22/77

第22話 旅とトレーラーと。

お読み頂き有り難う御座います。


第22話です。

早いものでホームパーティーから1ヶ月が過ぎようとしていた。


王宮から支援金が届き、大衆浴場の建築が始まった。


リアスが設計と現場監督を兼ねて指揮に当たっている。


その傍らで工房を作る為の測量も始まった。


建築現場の作業員の為に簡易的な休憩小屋も建てた。


昼にはジーナの食事が振る舞われる。


ジーナは食堂の練習に丁度良いと張り切っている。


一方ザック達一行は旅をしていた。



南方の湊町シェルバールに向けてモービィとトレーラーで移動していた。


リアス曰く、このトレーラーは正確にはキャラバンと呼ぶらしい。


人を乗せて旅をする目的に作られた物をキャラバン、荷物を運ぶ目的に作られた物はカーゴと呼ぶそうだ。


南西大陸の最南端に位置するシェルバールに行くにはフェルトという大きな町を経由して行く方法も有るが、このトレーラーが有れば食料を積んで平原地帯の道を行く事が出来る。


本来ならば馬車で片道20日掛かる道のりを、たったの8日で行けるのだ。


旅の理由は『何とか新鮮な魚介類を手に入れる方法が無いもんかねぇ?』と言うアーデンにあるムーランの主人、ダイソンの一言にサプライズプレゼントをする為と、一度行ってしまえば次回からは転移魔法で行けてしまうからだ。


この先ジーナの食堂でも出せるので、行っておいて損は無いという判断だ。


南方には物資輸送の馬車を狙った盗賊が結構出るという事で、メンバー全員で行く事にした。



アン:『しかし変わり映えしない風景ねぇ。』


ザック:『何もないよなぁ、まぁ大陸で2番目の広さの平原地帯だしなぁ。』


このモービィは2シーターだ。


モービィにはザックとアン、トレーラーにはメルとローラが乗っている。


3時間毎に休憩を取る。


モービィは魔力で動かすので、結構集中力が要るのだ。


ザック:『あとどのぐらいかな?』


アン:『あと4日って所ね。』


ザック:『まだ半分かぁ。』



休憩をしにトレーラーに入ると、メルとローラが出迎える。



メル:『ザック様お疲れ様です。』


ローラ:『ザック様、お飲み物をどうぞ。』


ザック:『有り難うメル、ローラ。』


メル:『ザック様、これ魔力で動くんですよね?』


ザック:『あぁ、だから魔法が使えるなら誰でも運転出来るけど、馴れないと危ないからな。俺は前に居た世界では結構頻繁に自動車って乗り物に乗ってたから馴れてるけど。』


ローラ:『モービィと自動車っていうのは似てるんですか?』


ザック:『ほぼ同じだと思って良いよ。動力源が機械が魔動機かの違いだけだ。』


ザック:(まぁ、オートマのスポーツカーにトレーラーが付いてる様なもんだしな。牽引免許は持って無かったけど。)


メル:『それにしても、旅に出てから数日で魔物が増えて来ましたね。』


ザック:『平原地帯の道は普段は急行の定期馬車しか通らないらしいからな。』


トレーラーで休憩した後、再び走り出す。


しばらく走ると前方に車輪が外れた馬車が停まっていた。


ザック:『アン、盗賊の可能性も有るから気をつけろよ。』


アン:『えぇ、分かったわ。』


通過しようとすると、女性冒険者が手を振ったので停車した。



女魔法使い:『すいません!ちょっと良いですか!』


ザック:『どうしたの?』


女魔法使い:『実は旅の途中で車輪が外れてしまって・・・。』


ザック:『アン、ちょっと見て来る。』



モービィから降りて馬車に近付くと、馬車の側に座り込んでいた2人の冒険者の顔が明るくなった。


馬車は車輪の金具が折れて外れただけの様だ。


ザック:『ん~・・・ちょっと待っててくれる?』


そう言うとザックは転移魔法で屋敷に戻り、リアスを連れて来た。


驚いてる女性冒険者をよそにリアスが言った。


リアス:『これなら御屋敷にある部品で完璧に直りますね。』


再度転移魔法で屋敷に戻り、部品を持って来た。


女剣士:『え?直るんですか!?』


リアス:『えぇ、こんなの直ぐ直るわよ?』


とリアスが言うと馬車をジャッキで持ち上げ、金具を交換してあっという間に直してしまった。


女魔法使い:(ちょっと何なのこの人達!?めっちゃ親切!てかこの子めっちゃ仕事早い!)


リアス:『ザック様、後はよろしいですか?』


ザック:『うん、有り難う』


転移魔法で屋敷に返した。


女魔法使い:『あ、あのぉ、有り難う御座います!』


ザック:『いえいえ、お互い様なんで気にしないで下さい。』



そう言うとザック達はその場を立ち去った。



アン:『ねぇもし盗賊だったらどうしたのよ?』


ザック:『そりゃ戦ったよ。でもあんな平原のど真ん中で助けない訳にもいかないだろ?』


女魔法使い:(今の人達はいったい・・・。)



しばらく走ると日が落ちて来たので、トレーラーを平原に寄せて展開し、宿泊の準備をした。


あえて見通しの良い場所に停車したのは、盗賊が狙いにくくする為だ。


此方が丸見えだという事は、接近する者達も見えるという事だ。


例え身を潜めて接近しても、この辺りの草は固めなので足音を消して近付くのは不可能だ。


1人トレーラーに残して屋敷に転移し、ジーナから夕食を受け取りトレーラーに戻る。


ジーナとの約束で、せめて夕食ぐらいは自分の料理を食べて欲しいとの希望だったのだ。


トレーラーの中には神様から貰ったカップ麺やレトルト食品などが結構入っているが、せっかく美味しい手料理を食べられるならその方が良い。


食事が済んだら食器を返して順番に屋敷の風呂に入った。


転移魔法様様である。



全員がトレーラーに戻り寛いでいると、1台の馬車が近付いて来るのが見えた。


ザック:『あれって昼間の馬車か?』


アン:『そうみたいね、夜通し走る気かしら。』


ザック:『なぁ女の子3人だと危険だからトレーラーに停まって貰うか?』


アン:『そうね、魔物だけなら何とかなるとしても盗賊が出たら危ないわ。これ広いし。』


トレーラーの外に出て馬車に声を掛ける。



ザック:『君達昼間の人達じゃない?』


女魔法使い:『あ!先ほどはどうも!』


ザック:『まさか夜通し走る気かい?良かったら泊まっていかない?』


女魔法使い:『え!?でもそこまでご迷惑を御掛けしては・・・。』


ザック:『これかなり広いし、あと4人までなら泊まれるからどうぞ。』


3人をトレーラーに招き入れ、紅茶を出す。


女魔法使い:『お心遣い有り難う御座います。私達はシェルバールギルド所属のパーティーです。私の名前はシゼルで此方の2人はシャミーとアリスです。』


≪宜しくお願いします。≫


ザック:『気にしないで良いよ。うちのパーティーも女性が多いから、安心して泊まって行って。』


アン:『夕食は食べたの?』


アンが気を利かせて聞いた。


シゼル:『これから野営をしようと思って居たのですが・・・。』


アン:『ザック。』


ザック:『あぁ、ちょっと待っててくれ。』



キッチンで簡単な料理を作り、レトルトのライスを温めて皿に盛って出した。


何の事は無い、スクランブルエッグと塩漬け肉の燻製をソテーした物にインスタントのスープとライスという簡単な物だ。


クーラーボックスに氷魔法で作った氷を入れてあるので鮮度は問題無い。


3人は美味しそうに食べてくれた。


シゼル:『こんなご馳走まで頂いて申し訳有りません。』


ザック:『いえいえ、簡単な物なので。』


シャミー:『しかしこの移動式の部屋やあの乗り物、貴方達は何者なのですか?』


シゼル:『昼間の転移魔法やあの技術者の方も。』


アリス:『かなり御高名な方なのでは?』


ザック:『俺たちはアーデンギルドのネームパーティー、チーム・アポストロだ。同じ冒険者のよしみだ、あまり気にしないでくれよ。』


シゼル:『チーム・アポストロ・・・え!?あのゴールドランクが2人もいらっしゃるパーティーなんですか!?』


ザック:『俺とそっちのアンがゴールドでこっちの2人がシルバーだよ。』


シャミー:『・・・という事は、貴方が【ロードズ・ブレイヴ】!?』


シゼル:『大きな御屋敷を持っているという、あのザック様!?』


シャミー:『ノワールスキルをお持ちで名誉騎士団の称号を御持ちの!?』


アン:『ねぇザック、最近こんな反応ばっかりね。』


ザック:『まぁそういう反応になっちまうよな。』


メル:『王都での一件もありますからね。』


ローラ:『普通はこうなんじゃないですか?』



シゼル:『ところで、ザックさん達もシェルバールへ?』


ザック:『あぁ、ちょっと知り合いから新鮮な魚介類が欲しいと言われてね、持って帰るだけなら転移魔法を使えるけど、行った事の無い場所へは飛べないからさ。』


シゼル:『やっぱり転移魔法って便利ですねぇ。で、この移動する部屋とあの乗り物ってやっぱり北方大陸製ですか?』


ザック:『この2台は頂き物なんだけど、どうやらどちらも特別製みたいでね、本国では同じ物が無いらしいんだ。』


アリス:『凄い豪華ですもんねこれ。』


アンもその通りとばかりに口を開く。


アン:『確かに冒険者が持つ様な代物じゃ無いわよねぇ。』


ザック:(女王陛下も物欲しそうにしてたぐらいだもんな。)


モービィもそうだが、こっちの世界では国際間交流が少ない為か各国での情報を共有出来ていない。


この世界では多国間貿易の概念がほとんど無かったのだろう。


移住者や奴隷による異国の情報だけでは国内に情報は行き渡らないのだ。


ギルドに関しては国際協定を結んでいる為、他国の奴隷の売買や冒険者の情報を共有しているが、各国の政府が干渉しているわけでは無い。


ギルドは魔王が封印された時代に、当時の7人の英雄がそれぞれの分野に基づく国際組織として設立された完全な独立組織である。


そのうち神官を束ねる神殿と教会はそのまま残されたが、冒険者・商人・技術者・航海士・闘士の各ギルドが存在した。


地域によって希望者の少ない航海士と闘士のギルドは一部の地域のみに残りその他のギルドは世界展開をしている。


時代が変わるにつれ、航海士ギルドは各湊町に残り、最も希望者の多い冒険者と商人のギルドのみが全ての国と町に存在している。


各国の政府とは不干渉協定があるのでギルドへの干渉はされずに来たのだ。


ザック:『寝る準備でもしようか。』


そう言ってベッドを展開する。


3人の冒険者は居間がベッドルームに変わって行く光景に感激していた。

お読み頂き有り難う御座いました。

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