第16話 ロンゼウムと女王陛下と。
お読み頂き有り難う御座います。
第16話です。
レデンティア王国。
その国は女神クレアの加護を受けたと言われる西南大陸の全土を治める大国である。
その国の中央に位置する王都の名はクレア。
他の国々より貴族の家は少なく、王宮が多くの町を管理管轄している。
町に一定の自治権を持たせる事により秩序を保つというある種の民主主義的な要素が高い事が、治安の良さを保つ秘訣となっている。
貴族の中には大きな町を領地に出来無い事に不満を持つ者が多い。
ロンゼウムもその中の一人で、貴族としての特権を何度も先代国王や現女王に直訴していたが、全て却下されて来た。
ロンゼウム家は三代前の当主が当時の国王より伯爵郷を賜り、先代の当主が王宮に支え近衛騎士団長となった事から四大貴族としての地位を確立させた。
先代の当主とは異なり野心家として有名な現当主ブロジアム・ベルク・ロンゼウム伯爵は、自分こそが国王に相応しいと、王国の乗っ取りを計画したのである。
ザック:『つまり今回の一連の事件を、女王に責任転換して退位させようって事か。でもそれでロンゼウムが国王の座に着ける保証は無いだろうに。』
シンクレア:『ロンゼウムは他の大臣達を脅し、すでに王宮内ではかなりの勢力を確立しつつあります。しかし近衛大臣と内政大臣は母上の側近であり忠誠心も厚く、ロンゼウム以上に王宮内では影響力が有ります。』
アン:『ねぇザック、その人達を味方に付ければ結構有利になるんじゃない?』
ザック:『そう簡単には行かないよ。ロンゼウムの刺客が姫様の誘拐や暗殺に失敗している以上、俺達が姫様を誘拐した事にされているとしたら?』
アン:『王都に入るなり騎士団と戦闘になりかねないわね・・・。』
ザック:『王宮に近付く事自体が困難だって事だな。』
シンクレア:『いっそ私を盾にして王宮に行くのはどうでしょう?』
ザック:『そんな事したら、それこそ向こうの思う壷ですよ。俺達が捕まれば今以上に好き放題出来ますからね。』
ザックは記憶の指輪でステータスを開くと、何か使えるスキルや魔法が無いか調べ始めた。
ザック:『・・・これと言って・・・ん?これは・・・。行けるな。』
アン:『何?何か見つけたの?』
ザック:『姫様、女王陛下がいつ何処に居るかは大体分かりますか?』
シンクレア:『はい、特別な謁見が無い限りは。』
ザック:『その場所を明確にイメージする事も出来ます?』
シンクレア:『勿論出来ます。』
ザック:『それなら・・・。アン、シーラの方の一件をアンとローラに任せたいんだけど頼めるかな?』
アン:『まさかザック1人でやる気なの!?』
ザック:『いや、こっちは姫様とメルにも手伝ってもらう。これが上手く行けばセーラちゃんをもっと確実に救えるかも知れない。』
シーラ:『それは本当!?』
アン:『それでどうするの?』
ザック:『俺のスキルに【イマジントレース】ってのが有るんだ。それで姫様が女王陛下の居る部屋をイメージして俺がトレースする。あとは俺がそのイメージを使って、ワープを使えば王宮に入れるって訳だ。向こうに行ったら女王陛下に何かしらの助力を得ようと思ってる。』
アン:『なるほどね。でも下手すれば捕まっちゃうかも・・・それで今から行くの?』
ザック:『王都に着くまでまだ1日あるし、着く前の方が良いだろ?奴等はアン達の顔を見て無いし俺達の正体も知らないはずだから、俺と姫様が居なければ問題無いはずだ。だがそっちの彼女達は王都の郊外で身を隠して貰った方が良いかもな。』
アン:『分かったわ・・・でも無茶しちゃ駄目よ?』
ザック:『分かってるよ。それじゃあ姫様、この時間に陛下が居る場所をイメージして下さい。』
シンクレア:『はい。・・・。』
こうしてザック・シンクレア・メルの3人は王宮にワープした。
王都クレア 王宮内。
女王:『っ!!誰です!』
シンクレア:『母上、私で御座います。』
女王:『シンクレア!良くぞ無事で!してそちらのお二方は?』
ザック:『御初に御目に掛かります女王陛下。俺はアーデンギルド所属のネームパーティー【チーム・アポストロ】のパーティーリーダー、ザック・エルベスタと申します。此方はパーティーメンバーにして神殿騎士団の末裔であるメリアル・ジルゴートに御座います。この様な形で御目に掛かりますご無礼を御許し下さい。』
女王:『そなたがアーデンで盗賊の一団を壊滅させたというザック殿か!何故シンクレアと?』
シンクレア:『母上、その件も含めとても重要な御話が御座います。』
シンクレアはロンゼウム伯爵の策略と悪行の数々、ザックの素性と目的、そして自分がロンゼウムから狙われていた事全てを話した。
女王:『・・・歴史上、時代の転機に使徒様が現れるという御話しは伺っておりましたが、よもや妾が使徒様に御会いする事になろうとは・・・。それで使徒様は盗賊や暗殺者と闇の奴隷商人が繋がっており、その黒幕がロンゼウムであると?』
ザック:『先日捕らえた盗賊の話ではそうでした。そして今朝我々を襲ってきた刺客もまたロンゼウム伯の手の者であると申したのです。更にシンクレア王女からお聞きした話を踏まえれば、ロンゼウム伯の策略が総て王国の乗っ取りに繋がったのです。』
女王:『確かにロンゼウムに関しては、あまり良い噂を聞きません。憲兵大臣という事もあり確証の無い事に関して追及する事は避けて来ました。シンクレアの件も有りますので、ロンゼウムを裁く良い機会となったでしょう。』
ザック:『俺は神託により闇の奴隷商と、それ等に関わる貴族を倒さねばなりません。陛下に御助力頂きたいのは山々で御座いますが、出来る事なら事を大事にはしたく有りません。とは言え俺はただの冒険者でしか有りませんので、我がパーティーの身の安全の為に御助力頂きたく考えております。』
女王:『おい!近衛大臣と内政大臣を戸々へ!ザック殿、いや使徒様、シンクレアの保護と王宮への護送に深く感謝致します。妾の知り得ぬ事とは言え、これは我が国の大きな失態。使徒様の手を煩わす訳には参りません。』
『お呼びと聞き参上致しました。』
女王:『入れ!』
『失礼致します!』
男性と女性の二人の大臣が部屋へ入って来た。
女王:『その方等に紹介しよう。此方は先日アーデンでの一件を解決されたザック殿と神殿騎士団の末裔でザック殿のパーティーメンバーであるメリアル殿じゃ。この御二方の御助力でシンクレアが無事城に戻る事が出来た。』
内政大臣:『おぉ、そなたがあのザック殿か。』
近衛大臣:『王都にもそなたの噂は届いておるぞ!』
女王:『シンクレアとザック殿から我が国の貴族による数々悪行を聞いた。そなた達、その主犯に覚えは無いか?』
内政大臣:『憶測では有りますが、我が配下より何名かの下級貴族とロンゼウム伯爵が善からぬ事を企んでいると言う話は耳にしております。』
近衛大臣:『私もロンゼウム伯爵による不穏な話は最近聞きますが、確証を得るに至りません。』
女王:『そうか、やはりロンゼウムか。シンクレアがロンゼウムの手の者に命を狙われたらしい。即刻ロンゼウムを捕らえよ。ロンゼウムからの釈明は後から聞く。』
≪御意に御座います。≫
ロンゼウム伯爵は王宮内で捕らえられ、謁見の間で釈明をする事となった。
女王:『ロンゼウムよ、貴様が我が国の王座を我が物とするべく何やら企んでおった様じゃが、覚えは無いか?』
ロンゼウム:『何を仰るかと思えば、私が何故自らが支える陛下の王座を?私は今の大臣としての身分ですら勿体無く思っております。』
女王:『では貴様は闇の奴隷商という者を知っておるかのう?』
ロンゼウム:『はて?その様な怪しき者が暗躍しておるのでしょうか?』
女王:『貴様とて王都での誘拐事件を知らぬ訳ではあるまい?冒険者や町の娘どもがこれほど頻繁に拐われておる。捜索願も出ておるのでは無いのか?』
ロンゼウム:『御言葉では御座いますが、町の娘や冒険者の蒸発など、さほど珍しい事では有りますまい?捜索願に関しても、私が感知する内容ではありませぬ。それは兵士局の管轄でありますれば。』
女王:『なるほどのう、つまり盗賊共や暗殺者共とも一切関係が無い・・・と?』
ロンゼウム:『何故私がその様な卑しき身分の者共と関係を持たねばならぬのでしょうか?私はこの国の平安こそが望みで御座います!これほどまでに国を愛し、陛下に忠誠を捧げている私に何故疑念を御持ちになられるか!』
女王:『・・・ではその疑念持つ理由を見せようかの?』
袖からシンクレアが現れるとロンゼウムの顔が明らかに引きつった。
ロンゼウム:『っ!!何故ここに!?』
女王:『シンクレアから全て聞いておるぞ?その方、シンクレアに支えていた者共を何処へやったのだ?シンクレア自身も狙っていたそうだが、どう釈明するつもりか?』
ロンゼウム:『・・・な、何か思い違いをされて居られる様ですな。何を根拠にその様な事を。』
女王:『ほう、シンクレアが妾を謀っておると申すか。何故シンクレアがこの場に居るのか、何故貴様がこの場に呼ばれたか。その意味すら解らぬほど耄碌した訳ではあるまい?』
ロンゼウム:『シンクレア様におかれましては、何者かに世迷い言を吹き込まれたのでは無いのかと存じます。私とて憲兵大臣、法の遵守や忠誠心無しで勤まる立場ではありませぬ。』
女王:『ほう、そこまで申すか。ならばこの者の言う事も世迷い言かのう?ザック殿!』
女王の声にザックは袖から現れるとロンゼウムに壇上から話し掛けた。
ザック:『これはこれは、初めまして伯爵様。アーデンギルド所属の冒険者、ザックと申します。貴方が姫様を捕らえる為に送った女達は俺が保護しています。ついでに姫様も王宮までお送りしました。貴方の事は捕らえた盗賊や姫様から詳しく伺っておりますよ?そうそう、今朝はご丁寧に刺客まで送って下さいましたが、その様子ではまだ戻られて無い様ですねぇ?』
ロンゼウム:『っ!!へ、陛下!その者はシンクレア様を誘拐した族に御座います!!その様な者の言う事などに耳を貸されてはなりませんぞ!!』
その言葉を聞き女王は激怒した。
女王:『黙れ!この御方の真の素性も知らぬ愚か者めが!貴様の今までの悪行など、とっくにお見通しじゃ!内政大臣!直ちにこの者の家の使用人の保護を! ロンゼウム!貴様の家は爵位剥奪じゃ!もはや貴様は貴族などでは無い!生涯投獄してくれるわ!地べたに這いつくばって一生を送るがよい!』
ロンゼウム:『黙れ・・・黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇ!!この能無し女王め!我こそが国王に相応しいのだ!貴族に特権も恩恵も無い王国が何処にある!貴様の様な能無しが王座を治めているからこの国の貴族が衰退するのだ!』
ロンゼウムは立ち上がり女王に詰め寄ろうとした。
すかさずザックが脚に銃を撃つ。
ロンゼウム:『あぁ!あぁ!脚がぁ!!殺してやる!貴様は絶対殺してやるからなぁ!!』
ザック:『勘違いするな。俺は殺そうと思えば今すぐお前を殺せるんだよ。だがお前を裁くのは女王陛下の仕事だ。それにコイツの弾は結構貴重品でな、お前ごときの命を奪うにはあまりに勿体無い。』
ロンゼウムはザックを睨み付けてこう言った。
ロンゼウム:『これで終わりでは無いぞ!我の意志を継ぐ者達が、必ずや貴様等を討ち滅ぼす!』
女王はロンゼウムを見下ろしながら良い放った。
女王:『この愚か者を引っ捕らえよ!!』
その後、ロンゼウムの側近と息の掛かった騎士団の一部や同調していた貴族、さらには商人ギルドの内通者に至るまで総て捕らえられ処罰された。
家が取り潰しになった貴族も何名か居たが、女王の恩赦により下級貴族からの復権を与えられた者も居た。
シーラの一件を話すと、騎士をオークションに走らせてオークションを停めて貰えた。
シンクレアに支えていた者達はロンゼウムの別邸にある地下牢から無事救い出された。
女王:『この度の事件に関し、一国の女王として感謝を申し上げます。』
ザック:『お気になさらず、俺は自分の仕事をしたに過ぎません。あと、俺の事は国民や他国に対してもご内密に願います。今後の活動にも支障を来す恐れが有りますので。』
女王:『しかしそれでは使徒様に申し訳が!このまま御留まり頂き、是非王宮を拠点にして下さいませ。』
ザック:『俺の拠点はアーデンにありますので。仲間も居りますし、俺は堅苦しいのは苦手で気楽な冒険者稼業が好きなのです。』
女王:『欲の無い方ですね。なんならシンクレアの婿になってこの国の王となって頂きたかったのですが。』
ザック:『神の使徒が一国に肩入れしたとなれば他の国々が黙って無いでしょう?これからあちこち旅をしたいのでそれは困るんです。それじゃ仲間が王都の近くまで来てると思うので一端戻ります。話の続きはまた後程。』
そう言うとザックとメルは王宮を後にした。
王宮から馬車を借り、騎士を護衛に王都の入り口を抜けて郊外まで行くと、程無くしてアン達と合流する事が出来た。
ザック:『事態を何とか解決出来たよ。』
アン:『お疲れ様。って言うか、もう終わったのね?』
ザック:『女王陛下が話の分かる人で助かったよ。』
女:『あのぉ、ザックさん、私達はどうすれば・・・。』
ザック:『一応君達の事は騎士団長に話してみたんだけど、正規の騎士団員はさすがに無理だけど兵士団の特務団員に取り立てて貰える事になったから、このまま王宮まで行ってくれ。』
女:『有り難う御座います!』
ザック:『シーラ、オークションは停めて貰ったから、焦らなくて大丈夫だよ。』
シーラ:『本当に?良かった・・・。』
その後全員で王都に入り、そのまま王宮に向かった。
王宮では騎士団志望だった女達を兵士局に預け、再度女王に謁見した。
王宮騎士団が見守る中、女王がザック達に口を開く。
ベルクレア『アーデンより参られしザック・エルベスタを始めとする冒険者達、並びにクレアギルド所属の冒険者シーラよ。まずはこの度の事件に関しての多大なる貢献を讃え、国を預かる女王として礼を申す。国家を救いし貴公等に対し、我、女王ベルクレアの名において、王家より褒美として一人当たり王金貨20枚の謝礼金と王国最高位勲章を贈る事とする。』
近衛大臣と近衛騎士がザック達の前に褒美の品を置く。
ベルクレア『続いて今回国家の危機を救ったせめてもの報いとして、現在ザック殿が住まいし商人ギルド所有のアーデンの屋敷を、妾の権限により商人ギルドより買い取りザック殿に譲渡する。今後はその屋敷を好きに使うが良い。』
『更に、アーデンギルド所属のネームパーティー【チーム・アポストロ】とクレアギルド所属のネームパーティー【クイーンズエレメント】を国家名誉騎士団に任命し、 国内における活動制限の解除並びに王宮への入退の自由を与えるものとする。これにより後日、国内全ギルドに通達をする。』
女王はザック達を王宮の客室に案内し、食事の用意もしてくれた。
ザック:『やられた・・・。結果的に女王に囲われてしまったじゃ無ぇかよ。』
アン:『私達が国家名誉騎士団ねぇ・・・どうすんのよ?』
ザック:『どうするもこうするも、【クイーンズエレメント】と合わせ技で来られたら断れ無いだろ?屋敷まで貰っちゃったしさぁ。』
アン:『まさかとは思うんだけど、私達にアーデンを預けるって事じゃ無いわよね?
ザック:『国家名誉騎士団って事は兵士団より上の扱いだから、多分遠回しにそう言ってんだろ?』
メル:『名誉な事だとは思いますが、ちょっと複雑ですね・・・。』
ローラ:『あのぉ、私奴隷なのに最高位勲章なんか貰って良いのでしょうか?』
ザック:『なぁローラ、俺が奴隷から解放してもパーティーに残ってくれるか?』
ローラ:『それはもちろんですけど・・・私は奴隷のままで満足してますよ?』
ザック:『立場が変わっちゃったから、ローラをいつまでも奴隷にしておくのもなぁ。』
アン:『そうねぇ、名誉騎士団で最高位勲章貰ってるパーティーのメンバーが奴隷のままじゃね。』
メル:『良いと思いますよ。』
ザック:『良し!決まりだ!ローラ、明日解放手続きするけど、これからも宜しくな。』
ローラ:『あ・・・有り難う御座います!』
翌日、ザック達は奴隷商に行き、ローラの奴隷解放手続きをした。
そして新たに憲兵大臣に就任した貴族によって、不当に落とされた奴隷の調査が迅速に行われた。
オークション出品予定の中に12名もの不法奴隷が見つかり、直ちに保護・解放がなされた。
すでに競り落とされた者に関しては、買い主と協議をして解放するかを決めて貰うと言う。
オークション出品予定者の中にセーラも居たが、所在を確認するのに2日掛かった。
セーラは奴隷の首輪を着けられたまま、王都郊外の家に数名の奴隷と監禁されていた。
監視をしていた者達はロンゼウムが捕らえられた事を知らなかった様だ。
シーラ:『ザック、本当に色々有り難う。これでまた妹とやっていけるわ。』
ザック:『無事見つかって本当に良かった。明日ギルドの方にも顔を出しに行くよ。』
その数時間後シーラは妹のセーラと無事再会を果たす事が出来た。
ザックとアンは王宮内に用意された部屋で語り合っていた。
ザック:『疲れたぁ~、俺こんなに働く為に転生したんだなぁ。』
アン:『本当にお疲れ様。でもこれで闇の奴隷商人の一件は片付いたんじゃない?』
ザック:『それはどうかな?』
アン:『どういう事?』
ザック:『第2第3のロンゼウムが出て来ない保証は無いだろ?他の国でだって同じ事は起こりうるんだしね。』
アン:『神託が出たら他の国にも行くのよね?』
ザック:『当分はゆっくりしたいけどね。出来れば討伐も休みたいよ。』
アン:『あら、帰ったら色々忙しいと思うわよ?冒険者ギルドでカリンさんが待ち構えて居るだろうし。』
ザック:『ねぇアン、やっぱ帰るのやめない?怖いよ。』
アン:『だぁ~め!サリー達だって待ってるんだから!』
翌日、王都の冒険者ギルドに行った。
クイーンズエレメントが全員で出迎え、ギルド長からも祝辞を受けた。
セーラ:『ザックさん、初めましてシーラの妹のセーラです。貴殿方が居なければ私はどうなって居た事か・・・。』
ザック:『はじめましてセーラちゃん。無事に助かって本当に良かった。お姉さんに感謝しなよ?』
セーラ:『はい!』
クイーンズエレメントのリーダーが声を掛けて来た。
エルザ:『クイーンズエレメントのリーダーをやっているエルザです。ザックさんの御高名は伺っております。メルも久しぶりね。』
ザック:『突然変な事になってすいません。国家名誉騎士団になる事で色々と不便を掛けるかも知れませんが。』
エルザ:『いいえ、我々としてもとても名誉な事です。王都で舐められる事もなくなりますしね。』
それからクイーンズエレメントとは同盟を結ぶ事になった。
王都とアーデンの国内で二つしか存在しない名誉騎士団が同盟を結ぶ事により、国内の冒険者達による不法行為の抑止力となる可能性を考えたからだ。
王都のギルド長とも今後の事で話し合いカリンへの伝言も預かった。
そして王都を去る日がやって来た。
ベルクレア:『帰ってしまわれるのですね。』
ザック:『陛下、大変御世話になりました。』
シンクレア:『ザック様、どうかお気をつけてお帰り下さい。』
ザック:『姫様もどうかお元気で。それより陛下、何故我々を名誉騎士団に?』
ザック:『ザック殿にとって、普通の冒険者である事は身軽かも知れませんが、名誉騎士団となり行動を制限される事が無くなる事で、今後使徒様としてのお役目を遂行しやすくなると思ったのです。他国へ行かれた時にも何かと役立つかと思います。』
ザック:『そういう事でしたら改めて拝命いたします。それでは皆様お元気で。』
こうしてザック達は王都を後にした。
お読み頂き有り難う御座いました。