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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第1章 闇の奴隷商人。
15/77

第15話 王女とロンゼウムの刺客と。

お読み頂き有り難う御座います。


第15話です。

ランスの町から約6時間、小さな村を幾つか抜けると王都の手前では最後の宿場町であるアイゼンが見えて来た。


アン:『ねぇザック、取り敢えず今夜はこの町に泊まりましょ?ここから先は宿場町も無いし。』


ザック:『そうだな。シーラ、馬も休ませたいし今夜はここに泊まるぞ。』


シーラ:『うん、焦ってもしょうがないもんね。』


メル:『ザック様、宿屋の前に着けますんで、先に降りて下さい。私は停車場に馬車を預けますので。』


ザック:『うん、メル悪いな。』


宿屋の主人:『おや、何名だい?』


ザック:『5人です。早朝には出るので。』


宿屋の主人:『そうかい、3軒隣が酒場になってるから夕食はそこでしとくれよ。大部屋になるけど良いかい?』


ザック:『はい、結構です。』


部屋に荷物を置き、メルと合流すると酒場に向かった。


ローラ:『さすがに疲れましたねぇ。』


アン:『結局ランスではあんまり休めなかったもんね。』


シーラ:『ごめん、アタシが急いだから・・・。』


メル:『シーラさん、気にする事は無いです。』


ザック:『そうだよ。結構距離も稼げたし、明日の夜には王都に着けそうだ・・・って、痛っ!』


突然1人の少女がぶつかって来た。


少女:『ごめんなさい!少しだけかくまって下さい!』


少女をテーブルの下に隠して入り口を見ると、盗賊らしき怪しい男が2人店内を伺って出ていった。


ザック:『行ったみたいだよ。大丈夫?』


少女:『有り難う御座います。』


ザック:『追われてるのか?奴等盗賊みたいだったけど。』


少女:『・・・貴殿方に御迷惑をお掛けする訳には参りません。どうかお忘れ下さい。』


ザック:『待って、もしかして闇の奴隷商人と関係があるんじゃない?』


少女:『っ!!』


ザック:『良かったら話してくれないか?俺達は闇の奴隷商人を壊滅させる為に王都に行く所なんだ。』


少女:『・・・貴殿方は一体・・・。』


ザック:『俺達はアーデンギルドのネームパーティー【チーム・アポストロ】だよ。』


少女:『貴殿方が使徒の一団!?では貴方が・・・。』


ザック:『ザック、ザック・エルベスタだ。』


シンクレア:『・・・そうですか、貴方が・・・。貴方があのザック様ならば名乗らぬのは失礼ですね。私はレデンティア王国第一王女、シンクレア・アンネ・レデンティアと申します。』


≪えぇ!?≫


シンクレア:『これが王家の人間である証です。』


そこには王家の一族しか持つ事を許されない紋章の入った宝剣があった。


そしてその宝剣にはシンクレアの名が彫られており、シンクレアが王家の人間である事を証明していた。


ザック:『お姫様が何故ここに!?』


シンクレア:『実は王家に支えるロンゼウム家当主、ブロジアム・ベルク・ロンゼウム伯爵が、王家を乗っ取ろうという策略を知ってしまいました。母上にその事を知らせようとした事が伯爵に知れてしまい、王都から逃れて参ったのです。』


アン:『1人で逃げ回るなんて・・・何でそんな無茶を?』


シンクレア:『私に着いてた者達が次々に捕らわれ、私は危うく監禁される所でした。王都には伯爵の息の掛かった者達が大勢おります。私は王都から逃げ出すより他に方法が無かったのです。』


ザック:『・・・御姫様、少し御話が有るのですが宜しいでしょうか?』


シンクレア:『はい、実は私もザック様にお話が有ります。』


ザック達は食事を済ませた後宿屋に戻った。


宿屋には1人増えた事を告げ、部屋で話を始めた。


シーラには部屋の外でメルと警戒して貰った。


そしてザックは今回の旅の経緯と自分の素性をシンクレアに話した。


シンクレア:『それは・・・誠・・・なのですか?』


ザック:『これ等の物をご覧頂けますか?』


ザックは自分が神から貰ったスマホや銃、記憶の指輪に映し出された人として有り得ないスキル。


そして神託のメッセージをシンクレアに見せた。


シンクレアはザックの正体と旅の理由、更にはザックの計画を全て聞いた後でゆっくりと口を開いた。


シンクレア:『よもやこの様な所で使徒様に御会いする事が出来ようとは・・・使徒様、どうか我が国をお救い頂けませんでしょうか?』


ザック:『もちろんそのつもりです。ですがその前にやらねばならぬ事が御座います。それが済んでからでも宜しければ、微力ながら事に挑ませて頂きます。それと今表に居るシーラはこの事を知りません。どうか内密に願います。そして私の事はザックと呼び捨てにして下さい。』


シンクレア:『そんな!私が使徒様に呼び捨てなど!』


ザック:『し~、例え使徒とはいえ、俺はただの冒険者です。そして貴女は王女様、一国の姫が冒険者に様付けで呼ばれるのは他の者達が怪しまれるでしょ?』


シンクレア:『それは・・・そうですが・・・。』


ザック:『出来るだけ事を大事にはしたく有りません。それと、王都に着いたら女王陛下に謁見させて頂きたいのですが、ご助力頂けますか?』


シンクレア:『勿論で御座います。』


ザック:『それではちょっと失礼。』


ザックはシーラ達の元に行き、交代で警備する為の相談に行った。


シンクレア:『えっと・・・アンさんでしたか?』


アン:『はい。』


シンクレア:『貴女はあの御方の・・・。』


アン:『ザックは私のパートナーです。彼が何者であろうと、私は彼の一番の理解者で有りたいと願っております。そして私達パーティーはザックの決定に一切反論はしません。もしザックが王宮に入り、使徒としての務めを果たしたいと言うのなら、私は彼が冒険者に戻りたいと言うまで待ち続けるつもりです。』


シンクレア:『そうですか・・・貴女はあの御方を・・・いや、これ以上言うのは野暮と言うものですね。』


メルが部屋に入って来た。


メル:『王女殿下、改めてご挨拶申し上げます。私は神殿騎士団が1人ジルゴート家の末裔、メリアル・ジルゴートに御座います。縁有ってザック様の元に身を置かせて頂いております。どうぞお見知り置きを。』


シンクレア:『神殿騎士団の末裔・・・。その様な御方がザック様と・・・。メリアル殿、神殿騎士の血を受け継ぐ者として、是非ザック様に御助力願います。』


メル:『今の私はザック様の従者でありますれば。私も微力ながら王女殿下の御帰宮に同行させて頂きます。私目の事はメルとお呼び下さいませ。』


シンクレア:『それではメル、宜しくお願い致します。』


ローラ:『あ、あのぅ・・・。』


シンクレア:『貴女も此方へどうぞ。』


ローラ:『私の様な卑しい身分の者が話し掛けてすいません。わ、私は、ザック様に買って頂いた奴隷のローラで御座います!パ、パーティーメンバーとして、お供をさせて頂いております!』


シンクレア:『卑しいだなんてとんでも無い。そうでしたか。ザック様には良くして頂いているようですね。』


ローラ:『はい!とても!』


シンクレア:『あなたは魔法使いなんですね?どんな魔法が使えるのですか?』


ローラ:『はい、火・風・光が使えます。体調がすぐれない時にはいつでも言って下さい、治療魔法も使えますので!』


シーラがザックに促されて部屋に入って来た。


シーラ:『王女殿下、私は王都ギルド所属のネームパーティー【クイーンズエレメント】のシーラで御座います。どうぞお見知り置きを。』


シンクレア:『まぁ、王都の冒険者でしたか。貴女は何故ザック様と?』


シーラ:『はい、先日私の妹が誘拐され、闇の奴隷商人に奴隷に落とされる可能性が高いとの事でザック殿にご助力頂く為に同行させて頂いております。』


シンクレア:『妹さんが!?まさか・・・そんな・・・。』


シーラ:『その黒幕がロンゼウム伯の可能性が高く、ザック殿が事件解決の為に動くと聞いたのです。私の妹は2日後にはオークションに出されるかも知れないという事で、王都に着いたらオークションで競り落とし解放して下さると言って下さいました。』


シンクレア:『我が国の伯爵が措かした事とはいえ、何と御詫びして良いか・・・。』


シーラ:『頭をおあげください。これは全て伯爵が措かした事、殿下には関係の無い事に御座います。』


その夜、盗賊はシンクレアを見つけ出す事に失敗し、ランスへ移動したらしい。



アーデン ザックの屋敷。


ガタッ!


ザックの部屋から物音がしたのでサリーが扉を開けた。


ザック:『や、やぁ・・・。』


サリー:『え!?ザック様!?いつ!?どうやってお戻りに!?』


ザック:『ちょっと必要な物があって取りに来たんだ。此所へはワープって魔法で来たんだよ。』


サリー:『ビックリしましたよもう・・・。それでお戻りまではやはり結構掛かりそうですか?』


ザック:『ちょっと面倒な事が幾つかあって遅くなる。他のみんなには知らせといてくれないか?』


サリー:『分かりました・・・ザック様、お気を付けて。』


ザック:『あぁ、有り難うサリー。』


するとザックは再びワープでアイゼンへと戻って行った。


夜明け前、ザック達がアイゼンを出発して1時間程馬車を走らせると、物陰から大勢の女達が現れた。


女:『貴様等には興味は無い、シンクレア王女を渡して貰おうか。』


リーダー各の女がそう言うと前に出て来た。


ザックはみんなに手を出すなと伝えると、馬車から降りてこう言った。


ザック:『俺はおたくらに興味津々なんだがね?』


女:『貴様、大人しく渡さぬと言うならば皆殺しにして奪っても構わんのだが?』


ザック:『俺は女を斬る趣味は無いが、おたくらが盗賊や暗殺者の真似事をするって言うなら容赦はしないぜ?』


女:『何を言っている?我々は王宮騎兵団直属の捜索隊だぞ!』


ザック:『大方ロンゼウムとか言う伯爵の命令なんだろ?奴がどんな目的で王女を探しているのか知らない訳でもあるまい?』


女:『貴様には関係無い事だ!全ては憲兵大臣たるあの御方の御意志だ!』


ザック:『では王女と憲兵大臣、どちらの言う事を信じるつもりだ?』


女:『王女は薬を飲まされ、世迷い言を吹き込まれているのだ。閣下がその様な企み等をするはずが無い!』


ザック:『吹き込まれているのはどっちだろうな?盗賊どもはすでにロンゼウムの悪行を吐いている。王女に支えている者を更迭し、王女を追い回すその真意は?騙されてるのはあんた等じゃ無いのか?』


女:『黙れ!閣下を愚弄する者は許さぬ!』


ザック:『話しても無駄か・・・。王女様!あんな事言ってるぜ?』


シンクレアが馬車から降りて女達に向き合う。


シンクレア:『私は薬を飲まされた訳でも、世迷い言を申している訳でもありません!今すぐ剣を納めなさい!』


女:『王女殿下、貴女は騙されているのです!閣下がその様な事をすると本当にお思いですか!』


リーダー各の女がそう言うと物陰から矢が飛んで来た。


ザックが女達に声を荒げる。


ザック:『王女に今の矢が刺さったらどうするつもりだ!お前等は王女を殺す様に命じられているのか!』


女:『我々では無い!!』


その瞬間もう一本の矢が女の腕に突き刺さった。


矢が飛んで来た方から男の声がする。


男:『愚か者共め。さっさと殺してしまえば良いものを。』


ザック:『お前は何者だ!』


男:『我はロンゼウム様の従者・・・とでも言っておこうか。小僧、王女を渡せ。死にたく無ければな。』


ザックは表情一つ変えずその男を銃で撃った。


撃たれた男はその場にうずくまり、命乞いを始めた。


男:『まて!今貴様が王女さえ渡せば貴様達の命は保証する!』


ザック:『城に戻ってロンゼウムに伝えろ、今からてめぇに会いに行ってやるってな!』


そう言うとザックはその男の肩を撃ち抜いた。


男は脚を引きずり、肩を押さえながら逃げて行った。


ザックは女の腕から矢を抜き、回復魔法を掛ける。


ザック:『何か言う事あるんじゃないのか?』


女『我々は・・・裏切られたのか・・・。』


ザック:『最初から信じるに値しない奴だったのさ。俺達の話を聞いて貰えるか?』


女:『よもや仕方あるまい。貴様達の話を聞こう。』


ザックは女達にこれまでの経緯を話した。


盗賊・闇の奴隷商・誘拐事件。今回の事件に関する情報もだ。


女達はどうやらロンゼウムに今回の功績を上げれば正規の騎士団員に取り立てて貰う密約をしていたらしい。


さすがにロンゼウムとしても正規の王宮騎士団を動かすのは問題も多かったのだろう。


彼女達はザック達に力を貸す事を王女に誓い、一行は一路王都クレアに向けて出発した。




お読み頂き有り難う御座いました。

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