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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第1章 闇の奴隷商人。
14/77

第14話 旅2日目と手掛かりと。

お読み頂き有り難う御座います。


第14話です。

ランス郊外。


イブを出て3時間ほど馬車で走ると、幾つかの集落が見えて来た。


シーラ:『ザック、この辺から盗賊が増えるから気を付けた方が良いわよ。』


シーラが危険を知らせて来た。


ザック:『ここらの集落にアジトでもあるのか?』


シーラ:『昨日アンタ達が捕まえた盗賊のグループもこの辺の連中よ。兵士団もアジトの存在自体は知ってるみたいだけど、なかなか手が出せないみたいね。』


ザック:『メル、一応周囲を警戒してくれ。』


メル:『了解です。』


アン:『ザック、ちょっとあそこに気になる集団が居るんだけど?』


アンが指差す方を見ると、明らかにこちらを意識している集団が居た。


時間的には日が昇る頃だ。


人々が歩いていてもおかしくは無いが、あまりにも不自然過ぎる。


ザック:『全員戦闘準備しておけ。』


ザックの言葉に全員が武器に手を掛ける。


その集団はこちらの進路を先回りする様に走り出した。


ザック:『当たりだな。メル、奴等が道を塞ぐまではこのまま進め。』


メル:『畏まりました。』


案の定馬車の前方からその集団が道を塞ぐ。


ザック:『相手は10人だ、囲まれる前に叩くぞ!』


そうザックが言うと、アンとローラが後ろ側から馬車を降り、戦闘準備に入った。


他の3人も馬車から降りて迎撃体勢に入る。


行動を読まれた盗賊は慌てて駆け寄るが、次々にザックの銃とローラの攻撃魔法の餌食になる。


その合間を縫って駆け寄った盗賊はメルとシーラが応戦する。


後方で待機していた盗賊達にはアンの矢が飛んで行く。


ザックは飛び込んで来た盗賊のリーダーらしい男の肩と脚を銃で撃ち抜き、動きを止めた所で縛り上げた。


ローラが火炎魔法で後方に待機していた残りの盗賊を倒すと、全員が無事を確認しあった。


ザック:『終わったか。』


アン:『まぁこんなもんね。』


メル:『ザック様、残党は居ない様です。』


ローラ:『捕らえた者が口を割りました。やはり闇の奴隷商人からの依頼があった様ですね。』


シーラ:『アンタ達・・・手際良すぎない?盗賊との戦闘でこんなに早く終わったの初めてよ?』


ザック:『魔物討伐よりは盗賊相手の方が面倒だよ。相手が人だから余計な知恵もあるし。』


面倒だが1人をランスまで護送し、兵士団に引き渡す事にした。


捕らえた盗賊は闇の奴隷商人との繋がりは浅い様だったが、少なからず情報を入手する事が出来た。


その内容は驚くべきものだった。


闇の奴隷商人はとある伯爵家と密接な関係があるらしい。


伯爵家の一つ、ロンゼウム家が私的に利益を稼ぐ為に商人ギルドに息の掛かった者を送り込み、奴隷の首輪を横流しして伯爵家の名を堂々と使って不法に奴隷を取引する。


闇の奴隷商人の正体はまさにそれであったのだ。


この話は闇の奴隷商人と直接取引している盗賊は知っているとの事だった。


ザック:『ロンゼウム家って有名なのか?』


シーラ:『ロンゼウム家は4大伯爵家の一つで、王宮の憲兵大臣を拝命された名家よ。王宮内ではかなりの狂犬で有名らしいわね。』


ザック:『となるとそれと同等かそれ以上の実力者を味方に着けるか、王宮の外から切り崩すしか無い訳か・・・。』


アン:『まさかの大物が絡んでいたわね。ねぇザック、これ結構時間掛かるかもよ?』


ザック:『もちろん1日や2日で終わるとは思って無いよ。ただ今回の事で少し気になる事があるんだ。』


アン:『気になる事?』


ザック:『俺とアンはアーデンとリーンの一件で、奴等に素性がバレてるんじゃないかって事だよ。王都の冒険者ギルドまで俺の名前が知れてるとなると、奴等にもバレてる可能性が高い。ただメル達はその頃一緒に行動して無かったから、聴き込みをみんなに任せようと思ったんだ。』


シーラ:『確かにアンタ達の話は王都のギルドでもかなり有名よ。他にも橋を数時間で作ったとか兵士団を指揮して暗殺者を倒したとかね。そんな人達がネームパーティーを立ち上げたんだから有名になるのは当然と言えば当然なんだけど。』


アン:『それはヤバいわね。かなり行動が制限されそう。』


ザック:『なぁシーラ、うちのパーティーの知名度ってどのくらいか分かる?』


シーラ:『そうねぇ、少なくとも【チーム・アポストロ】って名前とザックとアンの名前は王宮の兵士でも話題にはなってたわ。一部の冒険者達なんて勇者みたいに言われてるもの。』


ザック:『あっちゃ~参ったなぁ。・・・まてよ?逆にそれを・・・。なぁシーラ、て事は王宮内では結構な数の人間が俺を知っているって事だよな?』


シーラ:『恐らく女王陛下も知っていると思うわよ?』


ザック:(それなら王宮から切り崩す方法もある訳だ。)


ザック:『なるほど・・・。いっそその手を使うか・・・。』


アン:『どういう事?』


アンが不思議そうに聞いて来た。


ザック:『ほら、向こうに着いたら自分達の身の安全を確保する必要があるだろ?それでも狙われるのは仕方無いとしても、王宮が後ろ楯になって行動するとなれば、かなり動き易くなる。ロンゼウム家が手を出したくても出せなくすれば良い訳だ。』


アン:『ちょっと!?王宮まで巻き込むの!?まさかと思うけど、女王陛下に話をするつもりじゃ無いでしょうね?』


ザック:『そのつもりだよ?陛下が内情を知れば、当然騎士や兵士が動かざるを得ないだろ?伯爵家を相手に喧嘩売ろうってんだから、そのぐらいはやんなきゃ。』


シーラ:『アンタの作戦は確かに的を射てるけど、それ以前に陛下にどうやって謁見するつもり?それなりに影響力のある人の紹介が必要になるわよ?』


ザック:『そこなんだよなぁ。幾つかの手段は考えてはいるけど、それが上手く行くかどうか・・・。』



程無くしてランスの町に入った。


まずは兵士団へ行き、盗賊の引き渡しをした。


懸賞金を受け取り、王都までの盗賊出没の目撃情報も聞く。


馬を休ませる間に食料と水の調達をする。


丁度昼時なので食事もして行く事にした。


ザック:『シーラ、妹さんの名前は何て言うんだ?』


シーラ:『【セーラ】よ。あの子はアンと同じ弓士で、近接戦闘が駄目な子なの。誘拐犯は魔法使いや弓士みたいに格闘戦や剣術が苦手な女性を狙って拐ってるみたいね。』


ザック:『そっか・・・食事をが終わったら俺はシーラと奴隷商に行って来る。みんなは一通り買い物が終わったら馬車で待っててくれ。』


アン:『やっぱりもうシーラの妹さんが売られてる可能性高いの?』


ザック:『誘拐されてからすでに5日以上経ってるからね。多分7日以内にはオークションに出して無いとおかしいんだ。』


シーラ:『セーラ・・・。』


食後、調査も兼ねて奴隷商に行った。


シーラは店の外に待たせておいた。


受付嬢:『いらっしゃいませ。今日はどの様な御用件でしょうか。』


ザック:『セーラという娘が売られていないかと思って来たんですが。』


受付嬢:『ちょっと調べてみますね・・・。うちには居ませんが、オークションリストに同じ名前の奴隷の出品予定が有りますね。』


ザック:『それは王都のですか?』


受付嬢:『はい、3日後に出品予定になってます。』


ザック:『分かりました。有り難う御座います。』


店を出るとシーラが心配そうに聞いて来た。


シーラ:『どうだった?』


ザック:『この店には居なかったけど、3日後に王都のオークションで同じ名前の奴隷が出品されるらしい。』


シーラ:『3日後・・・ザック、急ぎましょ!時間が惜しいわ!』


みんなと合流し、ランスの町を後にした。



アーデン ザックの屋敷。


フェルテがエントランス前にテーブルと椅子を用意し、サリーが紅茶とお菓子を持って来た。


サリー:『こちらで少し休まれては如何でしょうか?』


屋敷はワルデンナイツのメンバー2人が12時間交代で警備をしている。


希望者が多いので、フランシアが人数を調整しているそうだ。


今日はワルデンナイツのサブリーダーであるエリンデとイザイヤの2人が来ていた。


エリンデ:『良いんですか!?』


サリー:『こちらでお茶でも飲みながらゆっくりして下さい。門の前に立っていると近くの住民の方も気を使いますんで。』


イザイヤ:『お気遣い感謝します。』


サリーが紅茶を煎れるとエリンデが話し掛けた。


エリンデ:『執事殿はザック様にいつ頃から支えていらっしゃるのですか?』


サリー:『私の事はサリーとお呼び下さい。私は数日前にザック様に奴隷商から買って頂いた奴隷なのです。私だけでなく他の使用人も一緒に。』


エリンデ:『えぇ!?そうなんですか!?』


サリーはザックの屋敷に来るまでの事を話し出した。


始めは興味本位で聞いていた2人だったが、話を聞くにつれ自分達が見ていたザックという人物を、どれだけ表面上の姿だけを見ていたかを知った。


エリンデ:『サリーさん、良い方に買って頂けて良かったですね。』


サリー:『私もそう思います。だからこそ私達はザック様に恥じない振る舞いをせねばならないと思っております。』



警備の2人はフランシアですら知らないザックの優しさと男気に感動し、今まで以上に真剣に事に望む事を誓った。

お読み頂き有り難う御座いました。

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