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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
第1章 闇の奴隷商人。
10/77

第10話 新たな仲間と使徒の一団と。

お読み頂き有り難う御座います。


第10話です。


目が覚めると、まだ周りは暗かった。


身を起こして背伸びをする。


スマホで時間を見たら、04:07の表示が出ている。


部屋の外からは、微かに誰かが働いている様な気配がする。


アン:『おはよう』


隣で寝ていたアンも目を覚ました様だ。


ザック:『おはよう、アン』


顔を洗い歯を磨いたらリビングへ行く。


食器棚から2人分のカップと紅茶ポットをテーブルに置く。


フェルテがリビングへ来たので朝の挨拶をしてポットにお湯を頼むと、アンもリビングへやって来た。


ザックの隣に座り、肩にもたれながら眠気と戦う姿を見るとザックはアンの頭を優しく撫でた。


ザック:『まだ眠かったんだろ?』


アン:『うん、少しね。』


程無くしてフェルテがお湯を持って来たので紅茶を煎れる。


サリーが朝の見回りを終えてリビングに来る。


ザックはサリーとフェルテの分の紅茶も煎れてスタンドテーブルに持って行き、サリーにも朝の挨拶をした。


4人で寛いでいるうちに窓の外からは朝陽が入って来る。


ジーナ:『おはようございます!朝食の準備が出来ました!』


ジーナの声に、ようやくアンもはっきりと目が覚めた様だ。


全員で食堂へ行きテーブルを囲む。


ジーナが作った料理はどれも素晴らしく、最後には全ての器が空になっていた。


ザック:『ジーナ、とっても美味しかったよ。』


ジーナ:『えへへ、有り難う御座います♪』



その後久しぶりにアンと冒険者ギルドに行く。


途中ムーランに寄って、無事引っ越しが終わった事を報告した。


ザック:『シルビアさん、おはようございます。』


シルビア:『ザックさん、アンさん、おはようございます。』


ザック:『ギルドカードの所在登録をお願いします。』


シルビア:『あぁ、部屋を借りたんですね、では書類とお二人のカードをお預かりします。』


シルビアが手続きを終えて、新しいカードを持って来た。


シルビア:『お待たせしました。』


ザック:『有り難う御座います。』


シルビア:『そう言えばギルド長が部屋に来て欲しいとの事でした。』


ザック:『分かりました。行ってみます。』


執務室のドアをノックして部屋に入る。


ザック:『失礼します。』


カリン:『あぁ、ザックさんにアンさん、そこに掛けて下さい。』


ザック:『それで何かご用ですか?』


カリン:『ザックさん、奴隷を買われたそうですが。』


ザックは奴隷を買った経緯と詳細をカリンに話した。


またその奴隷の境遇と、現在の扱いも含めて説明した。


カリン:『それでその者達を今後どの様に扱うおつもりですか?』


ザック:『一応将来的には彼女達を解放出来ればと考えてはいますが、彼女達の希望もあるとは思いますので、当面は保留にしようかと。』


カリン:『ザックさん、これは貴方の所有する奴隷の話なので本来私が口出しする事では無いとは思いますが、あえて言わせて頂くとその者達は解放すべきでは無いと考えます。』


ザック:『どういう事ですか?』


カリン:『今までの話からすると、貴族の間ではその様な使用人の奴隷化や、貴族自身の護身の為に使用人を奴隷落ちにする行為が他にも例があるという事になります。となればせっかくザックさんが解放した者達が再び不幸な境遇に陥り兼ねないという事になるのです。


カリンの言う事はもっともな話だった。


たとえザックが3人を解放したとして、その内の何人かが再び貴族に支える事になればその可能性は高い。


ザック:『なるほど、それでは俺が必要としている限りは、彼女達を保護すべきという事ですね。ならば出来るだけ彼女達にとって良い環境を作れる様に努力してみます。』


カリン:『その方が宜しいかと思います。』


執務室を後にしてギルドから出ようとすると、後ろから声を掛けられた。


『ザック!』


声を掛けて来たのは昨日ムーランを紹介したドワーフの女の子のメルだった。


ザック:『メル、おはよう。』


メル:『昨日はありがとね、良い宿屋を紹介して貰ったよ。』


ザック:『気に入ったなら良かった。あぁ、こちらは昨日アーデンに来たメルだ。こっちはパートナーのアン。』


アン:『よろしくメルさん、アンよ。』


メル:『よろしく、アタシはメルよ。・・・まって、ザックとアンって・・・え!?』


ザック:『ん?どうした?』


アン:『ん?』


メル:『ねぇザック、アンタまさかカードがノワールじゃ無いわよね?』


ザック:『スキルならノワール認定だけど?よく知ってるね?』


メル:『やっぱりかぁ!ギルドで話題のカップル冒険者ってザック達の事なのね!?』


ザック:『え?何そのカップル冒険者って。』


アン:『何か妙に嫌な呼ばれ方してるわね。まぁ間違っては無いけど。』


メル:『たった2人で中級を1日40体も討伐するブロンズが居るってかなり有名よ?』


ザック:『まぁ物要りだったからなぁ。』


アン:『ちょうど引っ越し考えてた頃だったもんね。』


メル:『いや、でも中級40体とか異常だし!5人パーティーで狩る数字よ!?』


ザック:『いや、俺達の場合は少ない人数の方が動き易いんだよ。』


アン:『そうね、下手に人数が居ると連携が狂い易いし。』


メル:(この人達絶対に普通じゃ無い・・・。)



メル:『ところで、アンタ達って一緒に住んでるの?』


ザック:『あぁ、一軒家を借りて一緒に暮らしてるよ?』


アン:『昨日までは2人共ムーランに泊まってたんだけどね。』


メル:『そうなんだ・・・これから遊びに行って良い?』


見るとアンは頷いた。


ザック:『良いよ、それじゃ行こうか。』




屋敷の前に着くとメルが声を上げた。


メル:『なっ!?な、なによこのお屋敷!?』


ザック:『安定の反応だな。』


アン:『そうね、私達もそうだったもん。』


玄関の扉を開けるとサリーが迎える。


サリー『お帰りなさいませザック様、アンさん。』


ザック:『お客様だ。紅茶の準備をしてくれ。』


サリー:『畏まりました。』


サリーを見たメルが引きつった顔で聞いてきた。


メル:『あ、アンタ何者なの!?何で執事まで居るのよ!?』


リビングへ行き、ソファーに3人で掛ける。


サリーとフェルテが紅茶とビスコッティを持って来た。


フェルテ:『ごゆっくりどうぞ。』


そう言うと2人がさがって行った。


メル:『・・・ちゃんと説明してもらいましょうか?』


ザック:『説明も何も今見たまんまだよ?』


メル『いや、説明になって無いわよ!何で昨日まで宿屋暮らしだった冒険者がお屋敷で執事やメイド使って優雅に暮らせんのよ?おかしいでしょ!?』


アン:『まぁ普通に考えたらそうなるわよね。』


ザック:『しょうがない、ネタバラしするか。』


ザックとアンはこの屋敷をギルドから借りた事と使用人が全員職業奴隷である事を話した。


彼女達の境遇や購入した理由も含めてだ。


メル:『何て言うか、凄いタイミングが重なったのねぇ。』


アン:『まぁ料理人も含めて全員ザックの奴隷だから、私は主では無いんだけどね。』


メル:『・・・ねぇザック、アタシをアンタのパーティーに入れる気は無い?』


ザック:『・・・メル、お前今まさか宿代が浮くとか考えなかったか?』


メル:『ん~・・・てへっ♪』


ザック:『おい、マジかよ!』


メル:『まぁ半分は冗談よ。でも私をパーティーに入れて欲しいと思ったのは本当よ?貴方達の腕前は聞いてるし、さっきの話で貴方達が誠実な人達だって事は分かったからね。』


アン:『でも私達のパーティーに入るなら、結構厳格な守秘義務が発生するわよ?』


ザック:『アン、まさかアレを教える気か?』


アン:『どのみちパーティーに入るなら知る事になるでしょ?』


ザック:『それは確かにそうだけど、この事はまだうちの使用人にも言っていない事なんだぞ?』


メル:『ねぇちょっと、その守秘義務って、バレたらそんなにマズい事なの?』


ザック:『・・・なぁメル、何で俺とアンがパーティーメンバーを増やさずにペアでやっているか理由が分かるか?』


メル:『2人がカップルだから・・・ってだけじゃ無いの?』


ザック:『確かに俺達は恋人同士ではある。でもそれだけじゃ無いんだ。簡単に言うと他の人に知られては不味い事情を共有している。つまり運命共同体って奴なんだ。だからメルが本気でうちのパーティーに入るつもりなら、その秘密を共有する覚悟をして貰わなきゃならないんだ。事と次第によってはメル自身に危険が及ぶ可能性もあるからな。』


ザックは真剣な表情でメルの目を見つめて話した。


それを話すザックの表情を見たメルはその事の重大さを理解した。


メルはザック達の腕前と評判を知っている。


メルが今までソロでやって来た理由も、より強く誠実な仲間が欲しかったからだった。


奴隷の話と今回の話、その両方を考えた時、メルが意を決した様に口を開いた。


メル:『ねぇザック、確認しておくけど貴方達の言う事情っていうのは悪巧みとかそういう事では無いのね?』


ザック:『決して悪巧みでは無いよ。でも内容によっては国家や世界を敵にまわす可能性もある。だからこそ仲間を慎重に選んでいるんだ。』


神託の内容によっては世界を守る為に世界そのものを敵にまわす危険がある。


単なる友人やスカウトでパーティーメンバーをお尋ね者にはしたく無い。


メル:『じゃあもう一つだけ聞かせて。貴方達が隠している事って、この世界にとってとても重要な事なんじゃないの?』


ザック:『かなり重要だと思う。というより、この世界の未来を左右する程の事だと思っている。』


アン:『私は今後ザックがどんな状況に陥ったとしても、ザックに着いて行く覚悟を決めているわ。それだけの覚悟が必要だと思って欲しいのよ。』


メルは無言で立ち上がり、ザックの前に向き合うと突然ザックの足下にひれ伏した。


メル:『その大義、謹んでお手伝いさせて頂きたくお願い申し上げます。これより私はザック様に忠誠を誓い、従者として僮として生涯身も心も捧げさせて頂きたく存じます。』


メルはザックとアンが言った言葉の意味を重く理解した。


その誠実さと強い志に感銘し、ザックに対して忠誠を誓ったのだ。


呆気に取られてしまったザックのとアンに対し、信念の現れとも取れる眼差しを向けた。


ザック:『メル・・・本気なのか?』


メル:『私は本気です。ザック様が成されようとされている事が如何なる事で有ったとしても、決して疑念を持たずに従わさせて頂きます。』


ザック:『言葉の真意を理解してくれたのは嬉しいけど、何もそこまでしなくても・・・。』


メル:『私の本当の名はメリアル・ジルゴートと言います。ドワーフ属で唯一の神殿騎士の一族、ジルゴート家の末裔に御座います。訳有って身分を隠し冒険者として生活しておりましたが、我が一生の主に身分を証した次第で御座います。』


ザック:『神殿騎士の末裔・・・。メリアル、アンと俺の部屋に来てくれ。』


リビングから出るとサリーが前室から出て来た。


ザック:『サリー、他の2人には俺の寝室に近付かない様に伝えてくれ。そしてサリーは俺の部屋に来てくれ。』


サリー:『畏まりました。』


アン:『サリーにも?』


ザック:『今後の事を考えると、彼女には知っておいて貰った方が良いと思うんだ。』


アン:『反対するつもりは無いけど、大丈夫なの?』


ザック:『ちゃんとアフターケアはするさ。でも後から知る方が面倒が多いだろ?』


ザックの寝室に4人が集まった。


ザックは記憶の指輪のステータスを可視にし、スマホも取り出してから3人に全てを明かした。


既に知っているアンからも補足の説明があり、今までの神託や今後の方針等も伝えた。


メリアルは歓喜に涙を流し、使徒に支える事の意味を噛み締めていた。


サリーはその場にひれ伏してしまったが、今後の自分の役割を知るにつれ何かを覚悟した表情になっていた。


無理も無い、メリアルは神殿騎士団の末裔であり、神という存在に対しての忠誠心はかなりのものな筈だ。


サリーに関してはザックに対してある種の信仰心すら持っている。


自分を絶望の淵から救い出した主が神の使いだと知れば、当然ザックを神格化してしまうだろう。


ザック:『この事は此処に居る者達だけの秘密だ。口外は一切無用でお願いしたい。それとメリアル、俺は君をメルと呼んでパーティーメンバーとして扱わせて貰う。ムーランの宿代は何日分払ってる?』


メル:『はい、元々今日の午後には宿を出る予定でしたのですぐにでも此方に移れます。』


ザック:『サリー、メルの部屋の準備を頼む。』


サリー:『畏まりました。』


ザック:『よし、じゃあリビングに戻ろう。サリー、フェルテに紅茶をリビングに持って来させてくれ。』



メルは一度宿屋に戻り、ザックとアンはリビングで紅茶を飲んでいた。


アン:『本当に話して良かったの?』


アンが心配そうな顔でザックを見る。


ザック:『メルがただの冒険者なら躊躇したかもな。だがあの子は神殿騎士団の一族の末裔だ。となれば今後マズい事になった時に神殿に助力を頼めるかも知れないだろ?それにあの子はソロだから世渡りが上手い。旅に出たらきっと役に立ってくれるよ。』


アン:『ほんとザックって瞬間的に人を見極めるのが上手いわよね。』


ザック:『たまたま良い出会いが続いたんだよ。アンとだってそんな感じだろ?』


アン:『問題はサリーの方ね。彼女はこれまで以上にザックに信仰心を持つ気がするわ。』


ザック:『ある意味その方が良いのかも知れない。執事として屋敷を預かる場合は、主に対する忠誠心が高い方が良いからね。』


アン:『確かにそうね。でもこれで彼女達は普通の暮らしを送れなくなったのよね・・・。少し罪悪感はあるかな。』


ザック:『メルは神殿騎士団の末裔だ。元々重責を負った暮らしをしていたと思う。それにサリーは俺の奴隷だ。少なくとも使用人達のリーダーとして、俺の事を全て知って貰う必要があるんだよ。今後何らかの事態が発生した時に、味方は少しでも多いに越したことはないだろ?』


アン:『そうね。逆にこれで良かったのかも知れないわね。』


そう言うとアンはザックの肩に頭を乗せた。


しばらくするとサリーがリビングにやって来た。


サリー:『メリアル・・・メルさんの部屋の準備が整いました。』


ザック:『有り難う。サリーもこっちに座ってくれ。』


サリー:『はい。』


サリーがソファーに座ると口を開いた。


サリー:『しかし驚きました。主様が素晴らしいお方とは思っていましたが。』


サリー:『黙っていた事はすまないと思ってるよ。でも俺はあくまでも君たちの主であって、俺自身が神な訳じゃ無い。1人の人間だから出来ない事だって沢山有る。だから君達の助けも必要なんだよ。』


サリー:『でもジーナとフェルテに隠し切れるかが不安です。例の調味料の事といいメニューの事いい、確かにこの世界では説明がつかない事が多いですから。』


ザック:『一応2人には折を見て話すつもりではいるんだけどね。サリーでさえひれ伏してしまうのに今彼女達に話したら・・・分かるだろ?』


アン:『そうよねぇ。確実にザックを神様扱いしちゃうよねぇ。』


サリー:『そうですね・・・でもなるべく早い段階であの子達には打ち明けて頂けると有り難いです。』


昼前にメルが屋敷に引っ越して来たので、ジーナに頼んで昼食を作って貰った。


午後はメルの実力と3人パーティーの連携を見る為に北の森で討伐をする事になった。


ザック:『サリー、夕食までには戻るから。』


サリー:『行ってらっしゃいませ。』




まずは冒険者ギルドに寄りパーティー登録とメルの所在登録をする。


メルがザックのパーティーに入る事を知った他の冒険者達からはどよめきが沸いた。



西門から平原を抜けて北の森に行く。


平原では低級が大型も含めて20体ほど出たが、メルが大半をやっつけてしまった。


ソロで冒険者をするだけあって腕前は確かだ。


森に入るとアンに魔物が複数居る所を重点的に回って貰う。


『中級3体か・・・アンは陽動と遊撃、メルが撹乱と削り役で俺が遊撃と突撃だ、良いな。』


『私は左からね。』


『では私は中央から攻めます。』


アンの牽制から2人が飛び出す。


メルが中央から魔物の側面に移動し一撃を加えるとザックがその隙を縫って後方から斬り付け、すぐに火炎魔法でアンの援護をして更にフリーになっている魔物に斬り付ける。


メルが魔物の急所に一撃を加えて倒すとアンの方に居る魔物に向かう。


ザックはフリーの魔物に剣と魔法で連続攻撃をし、動きを止める。


その間にアンとメルで魔物を倒し、アンはフリーになっていた魔物に矢を放つ。


矢に気を取られた魔物の側面からザックが首元に剣を突き刺し魔物が倒れた。


メル:『中級3体にこれしか時間が掛からないって凄いですね・・・。いつもこんなに早い動きでやってるんですか?』


ザック:『え?』


アン:『え?』


メル:『あの、何かおかしい事言いましたか?』


ザック:『いやぁ何て言うか、俺達2人の時はもっと違うやり方って言うか・・・。』


アン:『ぶっちゃけるともっと早いのよねぇ・・・。』


メル:『えぇ!?もっと早いんですか!?』


ザック:『・・・アン、次は2体の所でいつものやり方見せるぞ。』


アン:『まぁ一回見せた方が早いわね。』


次の魔物を倒す時、アンとザックは縦横無尽に走り回り、先ほどの半分以下の時間で倒してしまった。


さっきは連携を見る為にのんびり狩っていたのだ。


ザック:『とまぁこんな感じだ。』


アン:『ねぇもうちょっとスピード上げない?』


メル:(この人達バケモンか!?)


その後は中級を20体ほど倒して町に戻った。


アン:『メルさん、やれそう?』


アンがメルを心配して声をかける。


メル:『お二人がギルドで有名になる理由が分かった気がします・・・。何ですかアレ、まるでゴールドランカー並みの動きじゃないですか。あんなんついて行けるブロンズ居ませんよ。』


ザック:『そうかなぁ?高速で動く事自体はそんなに難しく無いと思うけど・・・まぁでも今日のでシルバーかな?』


アン:『あっ!そうかも?』



町に戻ってギルドに行くと、やはりザックとアンのランクがシルバーになった。



シルビア:『おめでとうございます!これでお二人はシルバーランクの冒険者となりました。パーティーリーダーのザックさん御自身がシルバーランクとなられた事で、パーティーが正式にギルド登録となります。パーティー名を登録する事になりますが、こちらで登録しますか?』


ネームパーティーはアーデンだけでは無く、全大陸の各ギルドに照会登録される。


ネームパーティーはその名前だけで全世界で通用する。


ザック:『う~ん・・・じゃあ【チーム・アポストロ】で。』


シルビア:『チーム・アポストロ・・・失礼ですが、意味を教えて頂けませんか?』


ザック:『俺が昔住んでいた所では【神の使徒】を表す言葉でアポストロという呼び方をする地域があったんです。つまりは【使徒の一団】という名前です。』


アン:『ちょっザック!?』


メル:『ザック様!?』


シルビア:『っ!!神の使徒!・・・使徒の一団・・・素晴らしい名前だと思います!それではチーム・アポストロをアーデンギルドの所属パーティーとして正式に登録致します。』



その帰り道。


アン:『もうザックったら冷や冷やしたわよ。』


メル:『そうですよ、まさかパーティー名を【使徒の一団】にするなんて・・・。』


ザック:『だって他と被ると面倒だし【紅の剣】とか【黒の騎士】とか気持ち悪いだろ?』


アン:『それは確かにそうね。』


メル:『確かにナルシスト入ってて嫌ですね。』


ザック:『だろ?ならいっそ大それた名前にした方がハッタリも利くってもんだ。』


アン:『確かに王都には【神の騎士】とか【精霊王】とかもあるわね。』


その日のうちに【チーム・アポストロ(使徒の一団)】の名前はアーデンギルドで話題の的となっていた。


シルビアの元には加入希望者が何人も来た様だが、ザック本人が募集を出していない事から皆肩を落として諦めたという。


数日の内に西南大陸の各ギルドに新たなネームパーティーとしても照会登録もされる。



屋敷に帰るとサリーが迎えてくれた。


夕食の席でザックとアンがシルバーランクに昇格した事とパーティーが正式にギルド登録になった事を報告した。




リビングで寛いでいると、ジーナがやって来た。


ジーナ:『ザック様・・・お一人様ですか?』


ザック:『うん、アンは今弓の手入れをしてるしメルは疲れ果てて寝たらしいから。』


ジーナ:『ではこれをどうぞ。』


ザック:『これってもしかしてジーナが作ったの?』


ザックの前に置かれたのはシフォンケーキだった。


ジーナ:『試しに作ってみたんですが・・・。』


ザックがシフォンケーキを一口食べてみると、その出来はかなりの物だった。


ザック:『うん、美味しいよ!甘さも控え目だし、味も良い!』


ジーナ:『良かったです。今度お茶の時間に合わせてまた作りますね。』



その後寝室に戻り、戦闘でのメルの使い方について考えた。


メルは一発の攻撃力こそは高いが俊敏さに欠ける。


ドワーフは元々パワーファイターだ。


スピードを求めるには限界がある。


無理にスピードを求めるのでは無く、前衛でも定位置で戦える状況を作ってやった方が良いだろう。


その後も色々な事を考え夜が更けていった。




お読み頂き有り難う御座いました。

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