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神の使徒になりました。  作者: KEMURINEKO
序章 異世界。
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第1話 突然の死と神様と。

初めて小説を書かせて頂きます。


楽しんで頂ければ本望です。



『え~死因に関する説明は以上です、次に今後の事ですが・・・。』


事務的に話すこの男は自称神の使い。


どうやら俺は死んでしまったらしい。


原付バイクで通勤中に暴走車両に突っ込まれたのだ。


ぶつかった時の記憶は有るが、痛みを感じる間も無く死んだ様だ。


享年43歳


未婚の独身という、いわゆる負け組のオッサンだった。


未だに死んだっていう実感が無いのだ。


俺:『あの~ちょっと良いですか?』


男:『はい何でしょう?』


俺:『俺って今死んでるんですよね?』


男:『そうですよ?先程説明させて頂いた通りです。』


俺:(そっかぁ本当に死んだのかぁ。お袋や兄貴に申し訳無い事したな・・・うち貧乏だからこれから大変だろうな。)


自分の死に対しては素直に受け入れはしたものの、家族の事を考えると不憫でならなかった。


男:『続けても宜しいでしょうか?』


俺:『あ、はい。』


男:『今後の事ですが、我々の上司でもある世界神様から直接神託を受けて頂く予定になっておりますので少々お待ち下さい。』


俺:『神託ですか?』


男:『はい、通常では我々が亡くなられた方々の意向に出来るだけ合わせて【転生】や【天界移送】を行うのですが、今回は世界神様の御希望で直接【神託】を下されるとの事です。ですのでこの後は世界神様と直接面会して頂きます。』


俺:『分かりました。』


そう応えた途端、目の前が真っ白になった。



数秒後、見知らぬ応接室のソファーに座っていた。



扉が開き、髭を生やした貫禄のあるおじさんと秘書の様な綺麗な女性が現れた。


女:『お待たせしてすいませんね。』


俺:『御気遣い無く。』


と頭を下げる。


世界神:『私が世界神、皆さんで言うところの神です。こちらは貴方を担当する転生官のサクラです。』


このおじさんが世界神かぁ、本当に神って居るんだなぁ。てか転生官なんていう仕事があるんだ・・・。


サクラ:『担当転生官のサクラです。貴方を転生させるサポート役と思って下さい。』


俺:『はぁ。・・・それでこれから俺はどうなるんでしょう?』


世界神:『実は貴方に別の世界へ転生して頂きたいと思っているのですが、ちょっと複雑な事情が有ったのでこちらに来て頂いたのですよ。』


俺:『え?俺転生させて貰えるんですか?』


世界神:『正確には転生というよりは召喚に近いのですが。』


神様がそう言うとサクラがタブレットの様な物をこちらに向けた。


そこには世界地図の様なものが映っている。


俺:『その事情って何なんです?』


世界神:『この地図は貴方に転生してもらう世界のものなのですが、この世界は文化がまだ中世レベルなうえに、魔物や魔族や魔王が居ましてね、科学よりも魔力や魔法が発達した世界なんですよ。』


俺:(あぁ、俗に言うファンタジー世界か。)


神様の話によると現在魔王は封印されており、生活圏は確保されてはいるらしい。


しかし山や森や洞窟等には魔物がたくさん居るとの事だ。


街や村は活気があり、俺が居た世界の中世よりは戦争は少ないそうだが、近頃魔物の数が増えており魔王復活の兆しがあるとの事だ。


俺:(でも中世レベルの文化だと色々心配だなぁ。)


世界神:『そこで本題なんだが、貴方にはその世界の管理者として転生してもらいたい。』


俺:(マジっすか!?)


俺:『あの~管理者って具体的には何をすれば良いんでしょう?』


世界神:『私の使徒として人々を救ってもらいたい。勿論貴方が使徒である事は出来る限り秘密にしてもらう事にはなるが。』


俺:『使徒と言われてもピンと来ないんですが、どんな事をするんです?』


世界神:『つまり冒険者や英雄よりも強靭な力を持ち、神官や魔導師・魔法使いよりも強大な魔力を持つ。その両方を駆使して、私が下した神託に応えて人々を救って貰いたい。もっと直接的に言えば魔族や魔物と戦ったり、魔王が復活したなら勇者を助けてやって欲しい。』


俺:(無理無理無理!!痛いのも怖いのも御免だわ!魔族や魔王相手にガチバトルとか無いわぁ!)


俺:『そんな重要任務は俺には無理ですよ!!出来れば普通の生活をおくれる世界が良いんですが・・・。』


サクラ:『勿論普通に生活してもらって構わないですよ。それに貴方が使徒として働くのは非常時のみになりますから、街や村が襲われるだとか魔王復活とかだけになります。勿論それらに対抗する力は授けますし、御望みならば肉体年齢も若返った状態でお送りしますし肉体や魔力の強化や神力の付与もさせてもらいます。』


サクラがゴリ推しして来た。


俺:(それって最近流行りのチート転生とかって奴か?ノベルやマンガなら楽しかろうが、実際にそんな最強チートを貰ってもいざ現実となれば話は別だ)


俺:『それだけの強大な力を持ってたら色んな所から狙われたり妬まれたりしませんかね?結局暗殺とかされたら終わりなんでしょ?』


世界神:『確かに強大な力を持ち、その力を使う機会が多ければ狙われる機会も多くなるでしょう。しかしそれ等をなぎ払う為にも力は必要なのもまた事実です。』


俺:(まぁ神様の言う事も一理あるけどさぁ)


俺:『転生後のアフターケアとかってあるんですか?』


サクラ:『我々は基本的には世界に直接干渉はしませんし、転生後はあくまでも貴方御自身の人生です。生活を始める上での準備に必要な物や言語学習や当面の生活資金等は御渡し出来ますが、それ以上を望まれるのは些か我が儘かと。』


俺:(そりゃまあそうだわなぁ・・・。)


世界神:『ところで私が貴方の記憶を残しながら名前を消した事にはお気付きかな?本来転生とは記憶と名を消して、人格のみをそのままにするのが一般的なのですよ。何故貴方の記憶を残したか、それは貴方が今まで歩んだ人生の中で学んだ知識を活かせる様に配慮したのです。』


俺:(っ!!そうだ、俺、名前を覚えて無い!?)


彼は世界神が言った事に衝撃を受けた。


転生した場合、元の世界の記憶を持った者はその世界に無い文化を持ち込んでしまう可能性がある。


それは時にその世界の常識を根底からくつがえし兼ねない危険性があるのだ。


中世の世界においては定説や前例を重んじる事が多いので、異端として処刑される場合もある為に記憶を書き換えて転生させているのだ。


俺:『何故名前を消したんですか?記憶がそのままなら名前を消す必要も無いのでは?』


サクラ:『貴方が居た世界では普通の名でも、他の世界では普通では無いでしょう?仮に偽名を名乗るにしても、記憶に焼き付けられた名を使う事で以前暮らしていた世界への未練が大きくなります。記憶に関しても全ての記憶を残したのでは無く、あちらの世界に影響を与え過ぎる記憶に関しては先程消させて頂きました。ですから貴方が転生した時にその世界に合わせた新たな名を送ります。』


俺:(あ、そうだ、俺、もう帰れないんだよな・・・。)


その時サクラによって改めて突き付けられた現実。


彼が生きていた世界では死者が蘇る事は決して無い。


今有る自我を持ったまま、たとえ異世界でも新たな人生を歩ませて貰えるという事の意味を実感した。


世界神:『本来転生というのは、亡くなられた人の魂を新たな命として産み出させるものなのです。今回貴方はあちらの世界のマナや魔力と物質により身体を形成し、そこに貴方の魂を宿すという形で意識ごと転生を行います。これは千年に1度程しか行わない特別な事であり、貴方の居た世界で言うところの天文学的確率以上の確率の事だと思って下さい。』


俺:『すいませんでした。俺は何か勘違いをしていたみたいですね。本来なら全ての記憶を失ってゼロから始めなければならないところを、今の価値観や今まで歩んだ人生で学んだ事を活かして転生させて貰えるんですもんね。』


サクラ:『納得して頂けましたでしょうか?それではまず貴方の年齢を・・・そうですね17才にします。誕生日は前の世界と同じです。現在向こうでは745年9月15日です。』


サクラがタブレットの様な物に入力していく。


俺:(は!?17才!?)


俺:『さすがに17才は若くないですか?』


サクラ:『あちらの世界では15才で成人を迎えます。冒険者が平均18才~19才なので問題は無いでしょう。さすがに剣豪と呼ばれる方々はそこそこの年齢らしいですが。』


俺:(いや、だって俺今40代だぜ?)


サクラが入力を終えると世界神と何やら相談している。


サクラ:『さて、これで事前情報として話せる部分は終わりな訳ですが、転生が完了したらすぐにアーデンという町に出発して下さい。貴方の肉体はアーデン郊外の街道にありますので。』


そうサクラが言うと世界神が続ける。


世界神:『あちらの世界で貴方が素晴らしき人生を送れる事を祈ります。使徒としての活躍にも期待していますよ。』


俺:『やれるだけやってみます。』



程無くして目の前が真っ白になった。

読んで頂き有り難うございます。


のんびり更新していきます。

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