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MagicaAnima(マギカアニマ)  作者: 丹下和縞
第三幕 全面戦争
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第五十五話 『開戦前の一日』

 朝の早い時間にフェルゼーから風の精霊を通じて連絡が来た。内容が内容であった為、早朝ではあるが全員を起こして確認する事にする。



「まずはおはよう。ちょっと良くない知らせがあるんだがいいかい」



アキラが非常に複雑な顔でそんな事を言うものだから皆の緊張が高まった。目の前には帝国以外の国の大まかな町が記された地図が広げられている。



「帝国が動き出したらしい。シッフル平野、ルフニエル王国南方、それとアスカルデって言う町の方角みたいだ」


「アスカルデ」



アキラが地図上で指差した町の名前を見て、メロディがその名前を反芻する。そして顎に手を当てて考えるポーズになった。



「アスカルデってどんな町なんだ?」


「アスカルデは壁に囲まれた城塞都市だな。以前も帝国の攻撃を受けたことがあると聞いたことがある」


「アスカルデ防衛戦は三英雄の二つ目の戦いと言われていますね」



そんなアキラの問いにはキールとロイスが答えた。そしてずっと考え込んでたメロディが話し始める。



「アスカルデは帝国にとってはルフニエル王国への入り口とも言える場所。落とされたら大変でしょうね」



なるほど、つまりアスカルデの町は最前線であり最終防衛ラインとも言える場所と言うことだろう。シッフルもアスカルデも絶対に守りきらないといけない。ん?待てよ、帝国が攻めている南方の町って何処の事だ?



「なぁメロディ、帝国が来てる南方の町って…」


「プリフィロの町」



たった一言だけで全てを理解する。その町は地図上でルフニエル王国の南東に位置する。そして帝国から見ればミスミティオン連合国家の大陸へ渡る唯一の場所でもある。ここを奪われたらと考えると、先の展開も想像に難くない。



「あたしとアキラが、出会った場所よ」



その場の時が、止まった。




◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




ここに来てメロディのとんでもない経歴が次々と明らかになった。



「えーっと、一応整理すると。メロディは、ミスミティオン連合国家の王家の親戚つまり貴族、魔道具製造・販売のリンデット社の社長兼開発者、魔獣払いとして各地を巡っていた魔女の孫、兄貴は国家最高の呪術払い、妹は世界でも有名な機械技師。で、極めつけがそのおばあさんの施した魔獣払いの術式の綻びがないかを旅をしながら点検していたと…」


「あとアキラの嫁」


「それは今言わんでええっ!」


「わぁっ…」



アキラの鋭いツッコミを受けてメロディが後ろに倒れた。それを起こしてやって元の場所へと座らせる。



「最初に会った時にやってた儀式的なのは何だったんだ?」


「あれが魔術の綻びがないかの確認作業よ。特にプリフィロとアスカルデは帝国の影響を受けやすいから」


「帝国の影響を受けやすい?」


「師匠、それには私がお答えしますよ」



ロイスが小さく手を上げながら話に入ってきた。



「帝国は我々の扱うマナとは違う、もっと魔獣の放つような汚染されたマナを扱うんです。それは人の人格を壊し、動物を魔獣に変え、泉を毒の沼に変えると言われています」


「瘴気みたいなものか」


「それを防いでいたのが、あたしのおばあちゃんが組んだ術式よ」


「ちょい前にシッフル丘陵でぶつかったディケルって男も黒いマナを垂れ流していたな」


「そのディケルは土を操る土人間です。体を自然のものに変換して行使する能力を得る研究が帝国で行われているのは私も知っていました。そして私とキクがシッフルで戦った相手、ルイス・リーベルトは火を操る火人間になっていました」



シッフル国でキールが対峙したのはディケル・ディキンソンと言う帝国の軍人で、帝国の行っている各属性の魔素を人間に組み込む実験で生まれた土人間だと言う。そしてロイスとキクの敵、ルイス・リーベルトもまたその実験で火人間となったと言うのだ。



「ロイスたちが全身大火傷になっていたのは相手がルイスだったからなのか。キールはよく無事でいられたな」


「ええ、ロイス様も私も何もできず終わりました。むず痒いです…」


「俺はフェニクレインの能力で生き返るようになってるからな」



キクが苦虫を潰したような顔をする。それもそうだろう、自分の一族の仇であり怨敵のルイスに傷一つ負わせる事ができなかったと言うのだから。キクの悔しさがわかる。



「まるで狙ったかのようなタイミングで帝国が仕掛けてきたわけだ。とりあえず事態は一刻を争う。フェル爺曰く明日攻撃が始まっても全くおかしくない状況らしい。というわけで配置を考えてみた」



アキラは炭を持って地図に書き始めた。



「まずシッフルの防衛はキールとモミジ、二人で行けるだろう」


「ディケルがシッフルに来そうだしな。俺はそれでいいぜ」

「分かった、すぐ終わらして、合流するけぇの!」


「それでロイスとキク。二人はアスカルデで出来る限り時間を稼いでくれ」


「あいわかった。なんとしても止めよう」

「百鬼兵を出すのが楽しみですねぇ…」


「で、メロディ」


「あたしはプリフィロね」


「お、おう。ココルルとシンシンの二人を付けるから、なんとか凌いでくれ」


「アキラは?」


「俺はルフニールと二人でいろいろな場所に協力を仰いでくる。メロディ、すまんが約束は延期だ。事が上手く運べばアスカルデで合流しよう。ココルルとシンシンはメロディを頼む」


「ほいさほいさ!任せてよねーん!」

「アキラも、気をつけて…」



アキラが手を差し出すと皆がそれに手を重ねた。



「俺たちで帝国を止めよう」


「あたしたちで止めよう」


「俺たちでぶっ潰そうぜ!」


「わしらで倒そう!」


「私たちでやりましょう」


「帝国をぶっ殺しましょう」



六人は結束を新たに、打倒帝国へ向けて動き出したのだった。

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