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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第三部「決戦! 桜蘭帝国軍!」

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第二十一話「古き良き戦友(とも)」③

「……磯風さん、貴女はどうするんです? 降伏するって事でいいんですか?」


「あたしは、こんなやけっぱちみたいな作戦に付き合って、自爆して果てるような趣味はないんや。雪風とあたしの身体に内蔵されてた自爆装置や重力爆弾も、遠隔爆弾にするっちゅー口実で外させてもらったからなぁ……。とりあえず仕掛けるポーズはしとったけど、初めから使う気はあらへんかったよ。見てみぃ……こいつをしっかり止まっとるやろ? 裏切り防止の遠隔起爆装置も、もうありゃせんで! 晴れて、うちらは自由の身って事やな!」


 そう言いながら、アーモンド型の超小型重力爆弾を見せる磯風。

 なるほど、裏切ったら爆破する……要は、首輪のようなもの。


 それを破壊工作に転用すると称して、外してこっそりと無害化する。


 とんだ裏切りもあったものだけど、磯風にも、色々思うところがあったのかも知れない。


「……それなら、そうと初めから言ってくれればよかったのに……」


 はっきり言って、雪風との真剣勝負なんて、紙一重もいいところだった。

 一手間違ってれば、こちらの首が飛んでても不思議じゃなかった……。


「まぁ、そう言わんといてや……。雪風もお前とやり合いたくて、どうしょうもなかったんや……。全力を尽くして負けたんなら、もう言うことは無いやろ……? なぁ、初霜さん、単刀直入にきくけど、どうなんや……? この世界の連中、あたしらが助けてくれって頭下げたら、助けてくれるんかなぁ? あたしは……桜蘭帝国やあたしらの世界の連中が助かる道としては、それが一番やって思ってるんや。あたしらが降伏すれば、そっちのお偉いさんとかと、話とか出来へんかな? あたしらの決められることじゃないってのは解っとるけど、こんなしょうもない戦いで犬死とかごめんなんや」

 

 ……しょうもない戦い。

 桜蘭にとっては、その興亡がかかった一戦をそんな身も蓋もなく表するのはどうかと思うのだけど。


 考えてみれば、わたし達示現体から見たら、こんな戦いに何の意味も見いだせない。

 戦う相手を間違えているとしか、思えない……こんな戦いで、倒れた日には、納得なんて到底出来ないだろう。


 桜蘭帝国の目的も、少しでも勝って交渉を有利にしたい……そんなところだったのかもしれない。

 どこか節度を保った攻撃も磯風も言っていたように、やり過ぎない程度と言うのが、向こうの本音。


 もしかしたら、パワープラントを破壊し、ゲートを丸裸にした上で最後通牒でも突き付けるつもりだったのかもしれない。


 なぜ、初めから戦争前提なんかでなく、平和的に話し合おうと思わなかったのだろう?

 

「……初霜……お前が雪風と泥仕合やってる最中に、こいつに色々話し聞かせてもらったんだけど。こいつらの敵って私らと同じ黒船なんだってな……。そもそも、私らの敵はあくまで黒船であって、こいつらじゃない……。こいつらは、言ってみりゃご同類、仲間みてぇなもんだろ。だったらなんで、私ら戦ってるんだ? 命がけで戦う意味なんて、ねぇじゃん」


 さすがタシュケントさん。

 わたしと同じ様に感じたらしかった。


「せやなー! タシュケントはん、よぅ解っとなるな! まぁ、うちらは拳を交え合ううちに、友情が芽生えた強敵と書いて「とも」と読むって奴やからな! これからは、仲良ぅしようや!」


「てめぇっ! 放しやがれっ! なれなれしいぞっ! そりゃまぁ……ちょっとは楽しかったけどな……」


 磯風が馴れ馴れしく、タシュケントさんの肩に手を回すと、タシュケントさんも振り払おうとするのだけど、満更でもない様子。


 確かに、わたし達は同じ敵を相手にしているのだ。


 敵の敵は味方……なんて言葉だってあるんだから、話し合えば必ず妥協点だって見つかっただろうし、そもそも、こんな戦争だって起こす必要もなかったんじゃないだろうか。


「そうなんですよね……。全然、意味がない戦いなんですよね……これ。磯風さん……少なくともわたし達の提督は話し合いが出来ないかって言ってたし、元々争いごとは嫌いな人なんで、話し合いたいって事ならきっと応じてくれるはずです。雪風は……どうなんですか? まだ戦いますか? わたしは……もう無理です……頭クラクラでお鼻が痛いです……。こんな戦いもう嫌なんで、止めませんか?」


 本音を言うと、雪風みたいにもう横になりたい……疲れた。

 そう言えば、お腹も減った……補給のついでに、何か食べようと思ってたから、すっかり食いっぱぐれてしまった。


 ここで、果てるなんてなってたら、今際の際に色々後悔してたかも知れない。


「……ははっ……僕ももう指一本動かせないよ……。今の磯風の裏切りで完全に心も折れた……やってらんないっ! まさに完敗だよ! ああ、ちくしょう……本気でここで死んでも良かったんだけどなぁ……。初霜はやっぱ強いなぁ……結局、一度も勝ててない! 僕は……! 君にだけは何回やっても勝てないんだ! なんでだ、ちくしょうっ! 正直、これで終わりとか絶対、嫌だ! もう一回! いや、もっともっと何回だって戦いたい……君と……」


 ……雪風が子供みたいに悔し泣きしてる……。

 そう言えば、覚えてる限りだと、模擬戦で、雪風相手になんだかんだで勝ち越してたっけ……。

 ……うん、なんかゴメン。


 よく見ると服もズタボロの状態で大の字になって……下着とか色々見えてて、ちょっとはしたないカッコ。


 でも、わたしも似たようなもの……そう言えばつかみ合いになって、相手の服とかにしがみついて殴り合ってたから、こうなったんだっけ……。


 雪風との決戦がこんな脱がし合いの頭突き合戦とか……もう何をやってるんだか……。

 こんな勝利、微妙すぎて嬉しくもなんともない。

 

 雪風には悪いけど、もうこんな酷い殴り合いなんてやりたくもない。

 

 けど、雪風自体は……心から満足したようだった。

 悔し泣きはしてるけど……結果自体に文句はない様子。


 お互い、文字通りの全力だったのだ……なりふり構わず一心不乱に戦って、お互い動けなくなるまで戦い抜いた。


 そこには、悔いも後腐れも何もないに違いなかった。

 

 タシュケントさんがそばに来ると、上着のジャケットを肩からかけてくれる。

 向こうも磯風さんが上着を雪風にかけながら肩を貸して、起き上がらせていた。

 

 痛み分け……結果としてはそんな感じだけど。

 

 少なくともこの場の4人の間では暗黙の了解で、休戦が成立していた。

 

 カドワキさんから、メッセージ通信……拠点各所に点在する5箇所のパワープラントからのゲートへのパワーバイパスラインを構成……。


 つまり、仮にこのパワープラントが破壊されても問題ない体制が整ったようだった。

 

 最悪、時間だけでも稼いでくれとか言われてたけど、こんな事をしていたのかと感心する。

 けど、磯風が本気だったら、時間切れで皆吹き飛ばされてただろうから、本当だったら、こうは行かなかっただろう。

 

 続いて、ロケットブースターを装備して、超高高度戦に対応させた秋茜隊30機が富嶽本隊のインターセプトに成功との信濃さんからの戦域情報が入る……。

 奇襲に成功したことで、一撃で1/3に当たる4機を撃墜。

 

 先発隊が素通り出来たことで、安全と思い込んでいた高度での奇襲に、すでに富嶽隊は壊乱状態との事だった。

 

 桜蘭帝国軍の本隊も、ジスアータの基地航空隊との航空戦の末に、超空間ゲート周辺流域の確保を断念。

 

 味方の損害は軽く1000機を超えた様子なのだけど、帝国軍の艦載機隊もその半数を失い、その上、満を持して本隊が出てきた所で、610艦隊と戦艦アイオワ率いるジスアータ艦隊による後先考えない側面からの奇襲挟撃を受け、空母阿蘇、生駒が轟沈……機動爆雷母艦竜舞と塩瀬、他駆逐艦多数を失うと言う手痛い損害を受けていた。

 

 現状としては、桜蘭帝国艦隊は戦艦長門を殿としてジリジリとプロクスター方面へと、両艦隊の追撃を受けつつ、半ば敗走状態で後退中。

 

 けれども、その先はマラートさんとミシシッピさんの戦艦二隻と、祥鳳戦闘機隊と雷達とハーマイオニーさん達、更にプロクスターの小型戦闘艦群が待ち伏せしており、機動爆雷もほぼ掃討……更にダメ押しとばかりに大佐のスツーカが出撃したとの事。

 

 追加情報で、敵殿艦を勤めていた戦艦長門がアイオワと撃ち合いの末、航行不能、鹵獲……。

 帝国艦隊旗艦の加賀が大佐に爆撃され、大破炎上したとの報告が入る。

 

「雪風、磯風……最新情報をお伝えしますね……。楼蘭帝国主力艦隊は航空決戦に敗れ、超空間ゲートを放棄したそうです。こちらの主力の奇襲攻撃で正規空母生駒、阿蘇、機動爆雷母艦の竜舞と塩瀬が轟沈……続く追撃戦で、戦艦長門が航行不能の末鹵獲……旗艦加賀も被弾、大破炎上したようです」

 

 わたしがそう告げると、雪風と磯風……どちらも苦笑する。


「なんてこった……善戦しとると思ったのに、結局主力が壊滅しとるやん……。そうなると主力で無事なのは赤城くらいか? やれやれ、やっぱうちの負け確やったんやなぁ……。雪風、どう転んでもあたしらは犬死だったな! だから、言ったんや……こんなクソ任務、投げ出してどっかでサボってようって! もうやっとれんわ……もうやめやっ! やめーっ! こうなったら、煮るなり焼くなり、好きにせーいっ!」


 そう言って、磯風も大の字になってひっくり返る。

 もはや……この戦いの勝敗は決した……戦いはおしまい……わたしもそう確信していた。

 

 けれど……。

 

「こちら信濃! 全艦へ緊急連絡! ごめんっ! 一機取り逃したっ! どうなってるの……あれ! 秋茜の銃撃が効いてない! それに……それにっ! あの富嶽、人が乗ってたっ! なんで、戦場に生身の人間がいるのよっ! 全部無人機じゃなかったのっ! ごめん……私、その事に気づいちゃって、つい撃てなくなっちゃって……」


 悲鳴のような信濃さんからの報告! 

 上空を見上げると、はるか上空、巨大な富嶽が一機だけで急降下を始めていた。

 

 何かフィールドのようなものを展開しているようで、秋茜の銃撃や対空砲火を物ともせず、ただまっすぐに墜落するようにこちらに向かってきていた……目標は、恐らくゲート施設。

 

「……あれは重力フィールド? ア、アホか……この期に及んで、有人機で重力爆弾抱えて特攻なんて……無茶苦茶やないけ!」


 磯風の言葉に、愕然とする……重力爆弾使用時に、爆縮範囲を広げ過ぎないための重力フィールド。

 あの状態になると、外部からの干渉はほぼ受け付けない。

 

 つまり、あれはもういつでも起爆できる状態。

 ……その上での特攻……それも有人機で……誰一人生還なんて叶わないのに……。

 

 桜蘭帝国は……そこまで追い詰められてしまったのか……。


 けれども、その捨て鉢のような攻撃は雪風達の用意した携行重力爆弾の比ではない。

 航空機搭載型ともなると、かなりの大型……無制限解放などしたら、恐らくプロクスター中継港をまるごと消滅させるほどの規模の威力がある。

 

 これはもう……わたしの命運も尽きたかもしれない。

 ……そんなものを止める術はわたしには無い。

 

 すべてが上手く行って、丸く収まると思っていたのに……最後の最後に、こんな絶望的な状況になるなんて……。

 

「……やれやれ、磯風……こうなったら、ここはボク達がなんとかするとしようか」


 わたしの不安を見透かしたように、雪風がそっとわたしの肩に手を置くと軽い口調でそんな事を言う。


「あー、そうなるんか。……まぁ、こりゃ仕方ないね」


 そう言って、ひっくり返っていた磯風が起き上がる。


「あのフィールドの展開状況……どんどん範囲が広がってる。恐らく、もう乗員は全員潰れちまって、制御不能状態になってるんやろうな。あの調子だと、この拠点全部が消滅するくらいの無制御大規模爆縮が起きる……。最悪、ブラックホールが出来て、ここの接続星系は未来永劫生き別れになるやろな……」


「ああ……そうなったら、もう和平どころか殲滅戦の未来しか見えない……。なんで、こんな無茶が許可されたのか解らないけど、さすがにこれは、やらせちゃいけない……。まぁ、そう考えると死に場所としては悪くないかな」


「あたしは……そう言うの気が進まないんやけどな……。けど、さっさと任務放棄したあたしらも悪いし、このままだと、どっちみち爆縮に巻き込まれるだけやしな……。ここはひとつ、やったるか! 桜蘭帝国の未来の為に!」


「悪いねぇ……磯風……。うん、祖国の未来の為とかいいねぇ……。どんなにトチ狂っても、祖国は祖国だからね。まぁ、出来るだけいい未来へ繋げる為の礎となるか……うん、死に場所としちゃ悪くないね」


 二人共解りきったように、平然とそんな事を言い合う。

 

 彼女達は……ここで死ぬ気だった。

桜蘭帝国との艦隊決戦……まぁ、詳細にやっても無駄に長引くだけなので、カットしました。

まぁ、そのうち島風目線での艦隊決戦の話でもやりたいなって思ってます。


ちなみに、機動爆雷母艦の竜舞と塩瀬と言うのは、架空艦ですが。

一応、モデルとしては鷹野型給油艦となります。


速吸と同じく、航空機搭載型のタンカーの予定でしたが、全部建造中止となりました。

生駒と阿蘇は、雲龍型の空母ですが……いいとこなしです。


なお、一応ラストまで書き上がっています……2-3話に収まる予定です。

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