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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第三部「決戦! 桜蘭帝国軍!」

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第二十一話「古き良き戦友(とも)」②

 

「じゃあ、こっちも始めようか……時間が惜しいからね! 最初から、全力で行くよ! 一瞬で終わって、がっかりさせないでくれよ!」


 雪風が黒刀を振りかざしながら、突撃!

 先程の一撃はいなせたものの、今度の連撃は恐ろしく速い上に一撃一撃が重い……。

 一発でも受ければ致命傷、それがこちらの予想値を超えるスピードで容赦なく降り注ぐ。

 

 さすがに、こちらも防戦一方になってしまう……磯風の言葉通りなら、時間は殆ど残されていない。

 

「どうしたんだい?! 腕が鈍ったのかな……初霜? そんな調子だと死ぬよ」


 一瞬、髪の毛を掠めたらしく、髪の毛がパラパラと舞い散る……相変わらず、間合いが掴めない……。

 変幻自在の無拍子……それが雪風の剣。

 

「さすがですね……剣では、雪風に勝てる気がしません」


 そう言いながら、何故か表情が緩む……わたしの知る雪風の剣筋……いつも見慣れた剣。

 雪風は何処まで行っても雪風なのだと……少しだけ安心した。


「……ふん、真剣勝負の最中に笑えるとか、余裕じゃないか……なら、これならどうだ!」


 雪風が両手を後ろ手に組むと、黒刀の刀身が見えなくなる……。

 

 居合抜きと同じく、相手に間合いを読ませない雪風の必殺剣。

 

「……見きれるか? 暗・剣・殺!」


 雪風の姿がブレて、一瞬ぼやける……けれど!

 

 目を閉じて、黒刀を左手に纏うように一点収束。

 

 微かな殺気と圧迫感を感じて、一歩踏み出して、左手を払うと手応えがあった!

 

 ……目を開けると、踏み込んだ瞬間に、カウンターで剣筋を逸らされて、驚愕する雪風と目が合う。

 右手の掌底をがら空きの雪風の鼻っ面に叩き込む!

 

 軽い手応えとともに、もんどり打って転がる雪風。

 

「マジか! 初霜はん……あの雪風に一本決めるとか、やっぱ半端ないわっ!」


 タシュケントと拳の応酬を交えながら、磯風が感心したような声を上げる。

 

「てめぇ! よそ見とか余裕じゃねぇか! 死ねやコラァ!」


「わっ! 待ちぃや! そんなガチにならんでもいいやん! なあ……こんな名勝負、見んと損やで! タシュケントはん、どうせあたしらなんて、消化試合なんだし、ここはひとつゆるーくやろうや! な?」


「てめぇ! ふざけんな! いい加減、真面目に戦えっ!」


 タシュケントさんと磯風は……。

 磯風がダークブレイドを使ってないためか、どうやら実力もほぼ互角。

 磯風は、遊び半分といった調子で、タシュケントも決め手に欠けるようで、もはや千日手状態の様相。


 磯風は……この様子だと、勝ち負けにすら拘泥していないらしい。

 雪風にさえ勝てれば、降伏してくれるかも知れない……甘いかも知れないけれど。


 ……けれど、雪風も今の一撃で倒せているわけがない。

 むしろ、嬉しそうに起き上がってきていた。

 

「あははっ! さっすが……僕の必殺の暗剣殺を見切ってカウンターを入れてくるなんて、君くらいだ! けど、今の一撃……なんで黒刀で決めなかった? 確かになかなか痛かったけど、そんなので示現体を倒せると思ってるのかい? 情けとか手加減は、無用だと言ったはずだ!」


「ごめんなさい……さすがに、今のを捌くには黒刀を一本に収束してやっとなんです。それに……元々わたしは剣は不得手なんです……知ってますよね?」

 

「知ってるさ……後の先殺しの初霜。君は、カウンターの名手だからね……。先に手を出すと手痛い一撃が返ってくる……流石に一筋縄じゃいかないな」

 

「もう止めませんか? わたしでは雪風に勝てませんが、守りに徹する限り負ける事もありません……。このままでは皆、重力爆弾の爆縮に巻き込まれてしまいます。そんな終わりをお望みなんですか?」


「言っただろ? 戦いの最中に果てるなんて、まさに僕の本望! それが君との戦いなんて、もう最高だっ!」


 そう言って、雪風も今度は黒刀を一本に集中……長い日本刀のように反り返った黒い刀身を正眼に構える。

 

 正眼から水平に黒刀を構え、八双の構えへ移す雪風。

 

 こちらも左腕を前に身体を半身にして、黒刀を構える。

 

「さぁ……初霜、ボクの必殺剣……月命殺! たぶん、これは初見のはず……見切れるかな?」


 上段唐竹割りから、横薙ぎへと剣筋を移行しながら、更に瞬歩で間合いを詰めながらの右手側からの一撃っ!


 こちらは黒刀を左腕に収束させているので、右手側からの黒刀は防ぎようがない……。

 

 けれども、それも読みのうち……踏み込んで雪風の懐に飛び込むと、雪風の腕を取る。

 間合いが狂わされた上に、腕を掴まれた事で雪風もとっさに振り払うべく、身体を半身にしながら、下がろうとする。


 その上で更に雪風の右足の後ろに、踏み込んだこちらの右足を回り込ませつつ、掴んだ腕から手を離した上で、雪風を突き飛ばす!

 

 バランスを崩した挙句に、わたしの足に躓くように雪風が後ろへと倒れ込む!


 ……合気柔術の応用技。

 

 頭から倒れ込むことになるので、生身の人間だと下手をすると死にかねないのだけど。

 どうせ、雪風はそこまでヤワじゃない……。

 

 後ろに倒れ込みながらも身体を捻って、半ば無理矢理の回転蹴りを放ってくる!

 

 けれど、バランスを崩した状態でのその一撃は、腰の入っていない浅いもので、悪あがき以外の何物でもなかった。

 

 そのまま、足を取ると雪風の蹴りの勢いを借りて、思い切り投げ飛ばす!

 空中でクルリと回転させられて、マトモに受け身も取れず、背中から地面に叩きつけられ、雪風がうめき声を漏らす。

 

 すかさず雪風に馬乗りになって、両膝で彼女の両腕を押さえ込む。

 これならば、さしもの雪風も完全に死に体。

 

 黒刀を生成して、雪風の目の前に突きつける!

 

「……雪風、この状態からではいくら貴女でもどうにもならないでしょう……もう諦めてください! 貴女の……負けですっ!」


「ははっ……相変わらず、組み合いになると強いな……。黒刀なしの方が強いとか意味が解らない」


「わたし……黒刀って手加減できないし、危なっかしくて、余り好きじゃないんですよ。でも……こうなったらもう、わたしの勝ちですよね? 潔く降伏してもらえますか? 降伏していただけるなら、悪いようにはいたしません」


「はっ! 降伏なんて、誰がするか! まだ終わってないだろっ! 君は……甘いんだよっ!」


 そう言って、雪風が上体を無理やり起こして、こちらがバランスを崩した瞬間を狙って、思い切り頭突き!

 

 この距離では避けられず、マトモに食らってしまう……一瞬視界が真っ暗になって、目の前に火花が飛び散って、鼻の奥がツンとする。

 

 さすがに、これは効く……。

 けれども、雪風もノーダメージの訳がなく、額を抑えながら涙目で睨み返してくる……こちらもお返しとばかりに、頭突き一発!

 

 お互い座り込んだ状態で、ゼロ距離で額と額をぶつけあった状態。


 更に、勢いを付けて、頭突きを食らわせる!

 こうなると、もうこれが一番手っ取り早い……でも、これ……凄く痛い。


 ……私もグワングワンになって、思わず後ろへ倒れ込みそうになる。

 

 チャンスとばかりに雪風がわたしを突き飛ばし、立ち上がろうとした所で、ヘロヘロペタンとへたり込む。

 お互い腰砕けで座り込んで向かい合った状態で目が合う……雪風はまだ諦めてない……。

 

 もう立ち上がれそうもないし、腕もマトモに上がらない……でも、向こうも似たようなもん。

 更に、お互い勢いをつけて、頭と頭のぶつけ合い……もう技術も何も関係ない……ただの意地の張り合い。

  

 そこから先は、そりゃあもう酷い泥仕合だった……。

 

 お互い足腰立たないまま、ゼロ距離での接近戦と言えば聞こえがいいけど……要するに、座り込んだ姿勢での、つかみ合いと殴り合いの応酬。


 ……もう何がなんだか解らないうちに、何度ともなく繰り返された頭突き合戦の末、お互いもたれ掛かるように、ぐったりと力尽きる。


 どちらも身体の外傷は、ほぼ瞬時に修復されてしまうのだけど、頭部コアへのダイレクトな衝撃は流石に堪える……視界にアラートがたくさん見える……エラーだの再起動要求とかそんなのばかり。

 

 けど、今はまだ……出来ない……。

 再起動のために気を失ったら、その時点で負けだ。

 

 そう言えば……時間はどの位経ったのだろう……10分なんてとっくに過ぎたような気がするのに、何も起こらない。

  

「……おい、磯風……これは、どう言う事だ。……もう10分どころか15分以上経ってるはずだ……。なんで……何も……起こらないんだ……? どうなってるんだ……」


 息も絶え絶えに、わたしの肩にもたれかかった雪風が磯風を問い詰める。

 わたしももう反撃する気力が沸かない……わたしも雪風の身体を支えにして、かろうじて倒れ込まずにいられているのだから、同じような状態。


「せやな……そういや、うんともすんとも言わんなぁ……? こりゃ、不発だったんとちゃうかなー! まったく、こんな大一番で不発するようなポンコツ寄越すなんて、桜蘭帝国もいよいよお終いやな……。もうあたしらも、万策尽きたでーっ! もう白旗あげようやっ! 雪風! それに、こうやって傍から見ると、お前ら仲良しにしか見えんで! イチャラブってヤツやなーっ!」


 さも当然のように、磯風が偉そうに腕を組んで、白々しいことを言うと、笑顔で胸を張る。

 いつの間にかタシュケントさんとも休戦したらしく、タシュケントさんも苦笑しながら、その隣でわたしを見つめていた。

 

 何の事はない磯風……彼女は、初めから自爆する気なんて、これっぽっちもなかったらしい。

 パワープラントに重力爆弾を仕掛けたと言っておきながら、その実ハッタリ……だったのか。

 

 磯風の返事を聞いて、色々察したらしい雪風が大きくため息を吐くと、真後ろに向かってばったりと倒れる。

 

 もう戦いは終わり……そう言う事だった。

雪風戦……グダグダのド突き合いと言うのが何とも。


ちなみに、宇宙駆けはあと数話で一旦完結の予定です。

その後は、外伝とか幕間エピソードとか不定期でやっていこうかと。

割烹でもちょろっと話出てますけど、関連作品なんかも書くかもしれません。


まぁ、もうちょっとお付き合いください。

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