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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第三部「決戦! 桜蘭帝国軍!」

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第十九話「遠い世界の星々と踊る」③

 黒船の艦隊の殲滅直後に大量のゼロと共に現れた敵艦隊……。

 

 その艦隊の攻撃は凄まじく、こちらの信濃さんの航空隊第一陣は軽く一蹴され、マラートさん達囮艦隊も残存艦艇はマラートさんとタシュケント、それに戦艦ミシシッピのみ。

 

 残りは、尽く撃沈……こちらの被害想定を遥かに上回る、壊滅的被害だった。

 

 幸い各艦の頭脳体は脱出が確認されているようだけど……無事回収されるまでは予断は許せない。

 

「マラートさん、敵の駆逐艦はわたしが引き受けます! 最大戦速での戦線離脱を! 雷達はタシュケントさんの援護に回ってください!」


「「了解っ!」」


 二人からの小気味よい返事が返ってくる。

 

 更に、祥鳳さんのアサルト・ゼロ隊が上空に到達。

 マラートさんを追っていた瑞雲隊を蹴散らしていく……。

 

「信濃の秋茜は重戦タイプだったから、歯が立たなかったみたいだけど……ゼロなら元々瑞雲なんか目じゃないのよっ! 初霜ちゃん……制空権はこっちでなんとかするから、その駆逐艦を止めて! 相当やばい相手よっ!」

 

「はいっ! おまかせを!」


 敵駆逐艦に照準……解析機関の予想値にて、偏差射撃……フルファイアッ!

 けれども……こちらの砲撃は至近弾に留まる……それどころか、向こうの応射が夾叉する!

 

 これは……当てようと思えば当てられるという意味か?!

 

 敵の艦名を確認……ユキカゼ!

 

「初霜! 聞こえているか! 何故、撃った! 磯風は……お前にとっても戦友のはずだったのに! 何故だ! 答えろッ!」


 例のダイレクト通信……脳裏に何処かで聞き覚えのある声が聴こえる。

 ……誰だったかは思い出せない……。

 

「……あなた方は敵です! 戦場で躊躇えば、それだけ多くの味方が死ぬ。敵を撃つのは兵器たる我々にとっては当然です! ここから先はわたしが通さない……進むなら、わたしを倒していけばいいっ!」

 

 思わず、独り言のように怒鳴り返してしまった。

 ……こんなので通じたら苦労はしない……。

 

「……馬鹿な! 君は……僕を……我々を裏切るのか! 何があったんだ!」


 ……意外な事に、返事が帰ってきたようだった。

 これは……そうだ……示現体共鳴通信。

 

 わたしの中で……忘れてしまった記憶がゆっくりと頭をもたげる。

 

 ダメだ……これ以上、思い出してはいけない……!

 思い出してしまったら、きっとわたしはわたしで無くなってしまう!

 

 言い知れようない恐怖心が沸き起こる……。

 

「こっちへ! 来るなぁああああっ!」

 

 全火力を以ってしての総攻撃……けれども、これですら回避する雪風!

 

 恐るべき手練! 向こうもこちらと同レベルか、それ以上の未来予測精度を持つらしい……。


 味方の駆逐隊が容易く蹴散らされた訳だ……。

 こんなのを相手に手加減や躊躇いなんてしてたら、こちらがやられる!

 

 まだ何やら騒いでいるようだけど……精神を集中し、雑音を追い出す!


 この敵は危険! なんとしても、このわたしがここで沈めるっ!

 

 こちらの意図を汲んだ祥鳳さんが近辺のゼロを統率して、機銃による集中攻撃を仕掛ける!

 向こうも対空攻撃を開始する……更にこちらも、増設されたばかりの飛翔魚雷をバラ撒く。

 

 出し惜しみなしのワンパッケージ36発、全弾投射っ!


 けれども、敵は飛翔魚雷を対空機銃で叩き落とすという芸当を見せ、直撃見込み弾だけを綺麗に叩き落とす! 


 でも、向こうは、対空防御に意識を取られたようで隙が出来た。


 一瞬空いた射線を見逃さず、直射で敵艦艦橋を狙いうつ!


「うわぁあああっ!」


 一瞬脳裏に叫び声が聞こえて、静かになる……フルパワーで放ったレールガンの直撃を受け、雪風の艦橋は跡形もなく吹き飛んでいた。

 

 あの感じだと、敵もこちらと同じく頭脳体がいたはずだけど……。

 艦橋への直撃を食らって、さすがに無事に済むとは思えない。


 チクリと胸の奥が痛むような感覚……けれども、わたしはそれを頭を振って振り払う。

 

 雪風は未だ健在……回頭し後退しようとしている。


 ……更なる追撃をかけようとしたところで、周辺に弾着っ!

 

 この威力! 戦艦主砲に狙われている! 航空戦艦伊勢っ!


 直撃こそ免れたものの、至近弾による爆発だけで、各所から被害アラート! 右舷側対空機銃の半数を消失……18箇所に破孔。


 エーテル流体の流入で、内部被害が見る間に拡大していく……融合炉緊急停止。

 右舷側の超電導モーターがダウン!


 ……これは、マズい。

 

 すでに敵戦艦の射程内……マラートさん達はすでに射程外のようだけど……雪風に拘泥しすぎた!

 

 舵と生き残ったモーターの出力を巧みに調整して、艦体姿勢を維持。

 けれど、機動力の大幅減! 極めて危険な状況……これは、覚悟を決めなければならないかも……。



「諸君……待たせたなっ! 時間稼ぎとしては十分! これより敵旗艦を……沈めるッ!」


 全域通信で大佐の声……伊勢めがけて、垂直降下する大佐のスツーカの機影っ!

 一瞬間を置いて、伊勢の艦橋部が爆炎に包まれた!

 

 二度三度、派手な爆発を繰り返し……伊勢が……ゆっくりと傾いていくッ!

 

「……やったか? む……これはっ!」


 ……あの大佐が息を呑むのが解った。

 大佐のスツーカに割り込みをかけて、映像情報を所得する。

 

 きのこ雲状の空間ゲートの中から、夥しい数の小型舟艇のようなものが次から次へと湧き出してきていた。

 

 それはエーテル流体の流れに逆らって、上流や左右にも展開し、下流へも凄まじい量が流れてきている。

 

 ーー14式浮揚機動爆雷「蓮華レンゲ」ーー兵器名称、及び各種スペックを瞬時に理解する。

 

「……これは……スマートタイプの機動爆雷と言える物です……。事前にプログラミングされた通りに展開、目標を捕捉後、自動追撃した上で自爆する無人特攻兵器です。提督、如何いたしますか? この数相手ではとても防ぎきれません。私としては、艦隊の即時後退を進言いたします!」

 

 提督宛に「蓮華」の各種スペック、大佐のスツーカから送られてくる映像解析データも合わせて送信する。

 

「機動爆雷……無人特攻兵器。こんな兵器も使うのか奴らは! ……確かにこれは我々だけで対応できる数ではないな……凄まじい数だ。解った……全艦後退っ! プロクスター基地航空隊と小型艦艇も出してもらって、迎撃戦に移る!」

 

 提督さんが慌てたように、指示を出す。

 私も直ちに反転し、離脱を開始する……被害は甚大ながら、まだまだ動ける。


 これなら、かろうじてプロクスターへの帰還は叶いそうだった。

  

「うむ……それが賢明だな……。敵も撤退行動に移ったようだ。恐らくこれは、撤退支援と拠点制圧を兼ねた攻撃と言ったところだろう……。まったく、あの伊勢が旗艦だと思ったのだが、艦隊行動に乱れがない……このゼロも母艦が見当たらん。この艦隊すらも囮ということか。二段いや三段構えの布陣だったと言う事だな。我々は敵の裏の裏をかいたつもりが、更にその裏を行くとはな……。敵ながら実に厄介な奴らだ。すまないが……こうなるとこちらも位置関係上、当初の予定を変更し、プロクスター方面へ撤退せざるを得ない……前に出ている信濃へ着艦させてもらおう」


 大佐の周囲には、凄まじい数の敵機が群がりつつあったが、大佐は問題にしていないらしい。

  

 610艦隊とジスアータ主力艦隊は敵艦隊に追撃をすべく、突撃開始直前だったのだけど……撤退行動に移っていた。

 

 島風さんとグエン提督の間で色々問答があったようなのだけど……機動爆雷の群れに突撃するのはただの自殺行為。

 両艦隊も撤退行動に移った様子だった。

  

 ジスアータの基地航空隊による支援も敵のゼロファイターに押され気味。


 ……数的には倍以上の優位にも関わらず、キルレシオは10倍近い数値となっており、味方に尋常ではない被害が出ている様子。

 

 恐らくあの雲の向こう側に、空母を主力とする機動艦隊がいる。

 それが敵の本命であろうと予測された……やはり、敵は強大だった……一筋縄ではいかなさそうだった。

 

 かくして、戦いは第二ラウンドへ持ち越した……。

磯風に続いて、雪風も初霜ちゃんの餌食になっちゃいました……。

初霜ちゃん、容赦ない。


向こうも動揺してなければ、互角だったんですけどね。


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