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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第一部「来訪者」

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第十話「決戦! 彼の者の名は」③

「提督……敵飛翔体群がタシュケント隊とビッグクローラーの上空制圧にあたっていたゼロ第一、第二、第三小隊と接触。レックス隊も第一から第十小隊までの主力戦闘機隊が敵機との交戦を開始しました。先行させたエリソン、マコームも疾風と合流……初霜ちゃん達とも間もなく合流できそうです。それと、リチャード少佐の救命ポッドもレックスさんの方で無事回収したとのことです」

 

 ……前線の状況報告をそうまとめると、永友提督もなんとも言えない顔で苦笑する。

 

「そうか……リチャード少佐、エリソンちゃんに放り投げられてしまったのか……。なんか揉めてるとは思ったのだけど……シホちゃん、君はそんな事しないでくれよ?」

 

「こっちももう、直掩機も索敵機も、持てる全戦力を投入……祥鳳の自衛火力で自力で守るしかない状況ですからね……イザとなったら、私も同じようにしますからご安心を!」


 きっぱりとそう言って、私は提督に笑いかける。


 それにしても……想定外の新手の大編隊にすっかり逃げ腰になってしまった提督を奮い立たせた初霜ちゃんの言葉がなんだったのか……私としてはとっても気になる。

 

 なんか駆逐艦同士のおしゃべりだと、勝ったら好きにしていいですとか何とか?

 ……うーわー、同性としてある意味尊敬するわ……それ。

 

 初霜ちゃん、あざとい。

 

 けど結局、私は気の利いた言葉の一つも言えないまま……戦線離脱に同意してしまったのだから、何も言う資格はなかった。

 

 一旦退いて、守勢に回りながら反撃……それも決して間違っていないと思うのだけど。

 戦場経験が豊富な大佐と初霜ちゃん……どこか似ている二人が選んだのは、死中に活を見出す……僅かな勝機に全てを賭けるという選択だった。


 まだまだ私の判断も甘いな……と思う。

 

「やぁ、祥鳳さん……そちらの状況はこちらでも把握してます。大佐の演説……生で聞いたけど、魂が震え立ちました……さすが伝説の英雄の言葉は違いますね。皆もすっかり盛り上がってもう手におえませんよ。私達は、予定通りエーテルロード支流へ突入中……最大戦速どころか各艦ブースター使ってかっとばしてるから、2-3時間もあれば敵の拠点へ突撃ってところね。そっちも、予定通り敵戦力の誘引には成功したようね……それにしても新型混じりで200機とはね……凌げそう?」

 

 島風さんだった……610の参謀格……と言うよりも、事実上の艦隊司令官のようなものじゃないかなって……さっきの電子会議で話した印象だったけど、多分間違ってない。

 

「敵はこっちの誘いに乗って、上空を侵攻中の大佐には気づいてないみたい……。新型のドラゴン型は動きも鈍いし的も大きいんだけど、とにかく装甲が硬くって……20mmでは駄目みたいね。たぶん、艦砲射撃でもないと仕留められない……なんとも厄介なのを出してきたわ……。とにかく、可能な限りデータ収集に務める。もう一種類の新型は……遠距離狙撃タイプみたい……緒戦であれの不意打ちで結構やられちゃったけど、今は乱戦状態だから、むしろカモ……なんか、敵なりにこっちの未来人の兵器を猿真似したって……そんな気がする」

 

「うわ……敵がこっちの真似してるって噂……ホントだったんですね。けど、その分じゃ、あまり怖くないかもしれないね……」

 

「まぁ、真似された未来人の戦闘機自体、割りとポンコツだったからね……観測しっかりやってれば、射線も読めるから対応は難しい相手じゃない……命中率も1-2割くらい……話になんない。むしろ、ご愁傷様ってとこ」


「あっはっは! そいつは傑作……けど、ドラゴン型は面倒な相手みたいね。重装甲の飛翔種とか……意味解かんないけど、機銃中心のこっちの戦闘機じゃキッツい……いっそ、上を取って爆撃でもしたほうが効くかもね」

 

「ああ、その手があったか……そっちでも迎撃に出てくるかもしれないけど、たぶん艦砲射撃で何とかなると思うから、そのつもりで……」


「いやはや、情報感謝だわ。ぶっつけで、そんなのと出食わしたら、こっちも困ってたわ。それにしても、ツイてない艦で有名な祥鳳さんが最前線で艦隊参謀として頑張ってるとはねぇ……。こちらも負けてられないわ……こっちも割りとギャンブルだからね。でも、今更Uターンも出来ないから、突っ込むだけ! そっちはなるべく派手にやって、敵の目を引きつけて……。じゃあ、そろそろ……無線途絶エリアに入る……お互いの健闘を!」

 

「こちらこそ……そっちは「不屈不沈の島風」の二つ名持ちだしね。心配なんかしてやらない……後でお茶でもご一緒しましょう」

 

「そのごっつい二つ名で呼ばれるのって、正直嫌なんだけどなぁ……まぁ、任せとけってところです。お会い出来るのを楽しみにしてます……またね!」

 

 島風さんとの通信が途絶する。

 

 続いて、目をつぶるとドラゴンに追いすがるゼロ隊の一機に意識同調する。

 

 ふわりとした浮遊感とともに、視界がドラゴンタイプを追撃中のゼロのコクピットからのものに変わる。

 

 ――ドラゴンタイプ飛翔種


 一言で言えば、メタボったトカゲに羽つけたような感じ。


 攻撃手段は、主に二つが確認されている……口から火を吐く「ドラゴンブレス」

 それと爆裂する火の玉「ファイアボール」とそれぞれ、命名。


 どちらも当たれば、ゼロ戦程度なら一撃で焼き尽くされる……駆逐艦クラスでも、まともに一発もらうと危うい。

 

 手足やら尻尾も生えてるけど、航空機相手にそんなものが役に立つわけがないから、これは脅威でも何でもない。


 むしろ、何でそんなもんが生えているのか、良く解らない。

 艦載型なのか、そもそも年中空飛んでるタイプなのか……黒船の宇宙には島みたいなものでも、あるのだろうか?

 まぁ、その辺はどうでもいい。

 

 比較的薄い皮膜状の翼が弱点だと思ったのだけど、機銃弾だとスパスパ抜けてしまい有効打になっていない様子。


 イギリスかどっかの複葉機でこんなのいたよねぇ……と思ったりもする。

 

 黒船の飛翔体の例に漏れず、全身に細かい繊毛が生えていて、それが高速振動しているらしくシルエットがぼやけて見える。

 

 20mmを見越し射撃……的が大きいので……当たる事は当たる。


 その装甲は、銃弾を全く寄せ付けていないようで……微動だにしない。

 狙うとすれば、関節の裏側、腹部や喉周り、顎の下……けど、背中を上にして飛んでるから、むしろ、下からのほうが狙いやすそうだった。

 

 初霜ちゃん達の対空砲火がそろそろ始まった……至近弾が炸裂し、一発二発と直撃もしている……けれど、それでも姿勢を崩しただけで落ちない。


 ……おいおい、どんな装甲してんのよ……コイツ。

 腹部装甲とか軟そうなのに、むしろザカーよりも硬いんじゃないのかな?

 

 なんか、息を吸い込むような動作を始める……やらせないとばかりにこちらも周辺のゼロと一斉に銃撃。

 頭への着弾に反応したようで、煩わしそうにこちらに顔を向けると、盛大なブレスを吐く。

 

 けど、その射程は精々200m程度……射程はこちらの方が遥かに長いし、21型ゼロは機動性が極めて高い。

 追いすがるブレスを軽く振り切る。

 

 今度はファイアボールを立て続けに放つけど、弾速は極めて遅い……炸裂時の危害半径はかなり広いが、これも距離を取っていれば問題ならない。

 

 なるほど、よほど近づかない限り問題なさそうだった……包囲している他の機体をブレスの射程に入らないようにさせながら、集中砲火!

 

 ファイアボールが当たらないことを悟ったのか増速して、ブレスを吐き散らす。

 

 その場でぐねぐねと動き回るせいで、ブレスが乱舞する……これはちょっとヤバイか?

 

 ……と思ったら、不意にブレスが止む。

 どうしたのかと思って見ると、ドラゴンはその頭部を失って、力なく墜落していくところだった。

 

「祥鳳さん……上手く注意を引いてくれてありがとうございます! さすがに、頭部に火力集中したらあっさり落ちましたね……他の部分は127mm砲の直撃でも耐えたようですが……口の中までは装甲で覆えなかったようですね。やりました! まずは、一匹っ!」

 

 初霜ちゃんの得意そうな声と共に、回線が黄色い歓声で埋まる。

 

「ナイス! とりあえず、攻略法は見えたね! 航空隊でブレスを誘発……口の中に砲弾叩き込めば沈むって訳ね。けど、そんな芸当……初霜ちゃんにしか出来ないんじゃないの?」

 

「……いや、そうでもないんすよ。初霜ちゃんから提供してもらった射撃管制ドライバ……。対空直射砲撃なんて、誰も経験ないんすけど、そいつのお陰で何とかなりそうっす!」

 

 ……初霜ちゃん……こんな敵も想定してたのだろうか?

 いや、さっきも直射砲撃を多用してたから、それをその場で応用したんだと思う。

 

 何というか……やっぱ、すごいなー。

 

 意識を本体に戻すと、提督に抱きとめられていて、心配そうに見つめていたところで目があった。

 そう言えば、何も言わず意識を飛ばしてしまった……。

 

 と言うか……これっ! 役得ってやつ? いやーんっ!

 

「大丈夫かい? シホちゃん、いきなり無反応になって、倒れそうになってたから思わず……。けど、あれか……戦闘機側に意識集中して、ダイレクトコントロールするとか言ってたやつか……」

 

 わたわた慌てふためく永友提督。

 いつもは座ったりしてから、意識転送してたけど……つい忘れちゃった……。


 体のバランスとかは無意識に取るのだから、放っといてくれても問題なかったんだけど。

 

 ……ま、いっか……役得ってやつ?

 

「あはは……ごめんなさい。けど、ドラゴンの方はなんとかなりそう……空戦自体は数的優位の向こうが優勢だけど、こっちも退きながら戦力集中で対抗してるから、戦線崩壊とまでは行ってない。ゼロやワイルドキャットじゃ、ドラゴンが止められなくて、突出されちゃったけど……駆逐艦の艦砲射撃で対抗できるみたい。ロシア隊は……割りと心配無用みたいですね」

 

 ロシア隊にもドラゴンが一匹向かっていたのだけど、そのマーカーが消失するところだった。

 

 敵機群の真っ只中に取り残されたような状況で、こちらも航空援護が難しい状況なのだけど、被弾すらせずに近寄る敵機をバタバタ落としているようだった。

 

 ロシアの駆逐艦は防空兵装も充実していて、日米の駆逐艦と比較しても遜色ないと言う話だったが。

 これは相当な修羅場をくぐっているようだった……目まぐるしく派手に動き回って、その周囲には次々と撃破マークが増えていっている。

 

「ドラゴン……一体こちらに向ってきます。8インチ砲の射程に入りました……撃ちますっ! Fire! 当たって下さーいっ!」

 

 嬉々としたレックスさんの声。

 止める間もなく、8インチ砲をぶっ放した! 空母なのに砲撃とかやっぱシュールだ。

 

「こちらエリソン……ちゃくだーん! 今ッ! すっごい! 一発で羽がもげましたですっ! 錐揉みしながら……バッシャーン! さっすが……8インチ砲! レックスさん、さいっこうっ! でーす!」

 

「当たった? 当たったのね! やったぁ! やっぱり、空母にだって大砲は必要よね。皆、空母が大砲装備しててどうする? とか、一発も撃たない飾りとか馬鹿にするんだけど……。実は、こないだ演習で赤城さん達と撃ち合いやって、すっごく楽しかったのよね。敵もあんな大型飛翔体出してきたとなると、やっぱり空母や戦闘機も火力追求の時代突入ですよね!」

 

 レックスさん……なんかとってもハイテンション。

 この人、理知的でおっとりした人だと思ってたのに……実は火力信奉者だったらしい。


 確かに、母艦に徹するなら、あんな大砲無用の長物なんだけど……。

 なんかやたら、後生大事に持ってるし……時々、甲板にそびえ立つそれをウットリと眺めてたりしてたんだけど……。

 機会があれば撃つ気満々だったのね……。

  

 わ、私も重砲くらい搭載してみようかな……千歳、千代田もなんか無理やり20cm砲積んだって言ってたし。

 敵飛翔体が大型重装甲化する傾向あるなら、こっちも対抗しないといけない。

 

 戦闘機も、ゼロにあの小型レールガンでも積めば、いい線いくんじゃないだろうか?

 

 あの戦闘機作った企業……エスクロン社とかに相談して、ゼロとあの戦闘機のいいとこ取りしたような艦載機作ってもらおうかな?

 

 私だって、パワーアップしたいーっ!

次回……ジェリコのラッパが鳴り響くっ!

空の魔王の戦いッ! はっじまるよーっ!(笑)

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