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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第一部「来訪者」

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第九話「出撃! 第610高速機動艦隊!」③

「あ、らんどすたー先生じゃん! おひっさー!」


 休憩施設の隅っこのテーブルで、色々と物思いにふけっていたのだけど、唐突に声をかけられ、思わずテーブルに盛大に額をぶつける。


「ちょっ! その名で呼ぶなぁっ! と言うか何故その事をっ! ……ってどっち?」


 痛む額を抑えながら、ずれた眼鏡を直しつつ顔を上げてみると……黄色のボブカット。

 あー! うん、雷電姉妹のどっちか!

 

「そりゃ、知ってますよ……。あ、ごめん……公然の秘密なんだっけ。こないだの「男たちのキスカ」は良かったよ! 続きが楽しみです。で、島風先生なにしてんの……こんなとこで? ちなみに私、雷の方です」

 

 ……どうやら「来世でもお前と共に」の方はまだバレてないらしい。

 あっちはちょーっち危険な内容だから、ペンネーム変えてるんですよね……ふふふっ。


「ふ、ふつーに島風って呼びなさいよ。まったく……それはこっちの台詞ですよ。何でこんなとこに貴女達が居るんです? こっちは、巡回中に足留め食らってるんですけどね……」


「いや、一応こっちも任務でさ。ちょっとあたしら、困ったことになってるんだよね」

 

 雷の背後からひょっこりと顔を出すのは、同じ顔……そうなると消去法でこっちが電。

 違いは……なんか電の方が青いリボンとか付けてて、雷は赤いリボン?

 

 こいつら、何か知らないけど、いつも揃って同じ見た目で、同じようなカッコしてるから、全然区別付かなかったんだけど……。

 少しは学習したのかな? こちらとしては、ありがたい話。

 

「あ、誰かと思ったら、雷電姉妹じゃないっ! こんな辺鄙なとこで会うなんて……おひさっ!」


 背後から、そんな風に口を挟んできたのは、千代田。

 

「あら、千代田じゃないですか! おひさしー! ドックにいたヘンテコな艦……あれやっぱ千代田だったの? なんで甲板に20cm砲なんて並べてんの? 私の記憶が間違ってなければ、千代田って軽空母だったはずですよね?」

 

 雷が軽い調子で返す。

 まぁ、お互いIJN艦だから、知らない仲じゃない。

 

 軍隊って上下関係が厳密なんだけど、私達軍艦であって、軍人じゃないですから。

 提督達は階級があって、その辺きっちりしてるみたいなんだけど、私達には階級なんて無い。

 

 戦闘時に情報連携する時なんかは、防衛優先順位とか設定するけど……普段はそんなものない。

 駆逐艦が戦艦にタメ口聞いたって、誰も気にしない……まぁ、身体的には向こうが大人だし、それなりに敬意は払うけどね。


 むこうも、いつも駆逐艦にお守りしてもらってるのは解ってるから、駆逐艦だからってバカにしたりとかはしない。


 お互い持ちつ持たれつ……なのだ。

 

「ふっふーん、あたしら二人は高速戦闘空母として生まれ変わったのよ……。駆逐艦に匹敵する高速性、重巡並の重火力と防御力……そして、艦載機……死角なしってとこかな。やっぱ、これからは空母だからって後ろで守られてるだけじゃなくて打って出ないとネ!」


 ドヤ顔でふんぞり返る千代田……それを見た雷電姉妹の表情は「うわぁ……」って感じ。

 

 ですよねー。

 

 駆逐艦からしたら、空母さんのお守りって主要任務の一つなんだけど、お守りされる側が一緒になって突撃とか……ホント、勘弁して欲しい。


 でも……千代田達も大戦では積む飛行機も無くなって、囮として出撃……。

 捨て駒のように揃って沈められるという最期を遂げている。

 

 だからこそ、航空機が無くとも戦えるようにって、その気持ちも解らないでもないんだけどねー。


 搭載機を戦闘機だけにして、エアカバー……そこまではいい。

 でも、そのあと駆逐艦と一緒になって突撃……。

 

 挙句、ボッコボコにされて、艦載機全機投棄とか……。


 ……やっぱ、バカなんじゃね? と私は思いますよ。

 

「と言うか……雷電姉妹って、今……ケプラー20星系で黒船と戦ってる永友艦隊所属なんですよね? こんなとこにいていいの? お仲間は今頃、ビッグクローラーなんて大物とやりあってるんでしょ?」

 

 思わず、そう返す。

 むしろ、何してんだよっ! って言いたい。


「そうなんだけど……敵はビッグクローラーだけじゃないからね。居座ってるネスト級が本格的に巣作りしてるみたいなんで、あたしらはそれを叩き潰す役なのさ! だから、ここで突撃指令が出るのを待つ……皆を信じて待つのも戦いのうちってね……だよね? 雷」

 

「そうだよね……電。実はついさっき着いたとこ……正直言うと、途中で何回も引き返そうかって、提督にも言ったんですけどね。この戦い……私達が切り札になるって事だから、涙を飲んでここまでやってきたの。けど、前衛艦隊と航空隊の先鋒100機くらい落としたって言ってたから、この戦、きっと勝てると信じてるんです」

 

 正直、驚きを禁じ得ない。

 慌てて、戦闘詳報を確認すると、雷の言うとおりだった。

 

 つい先程のようなのだけど、永友艦隊は敵先鋒を撃破し、ビッグクローラーの迎撃準備を進めているようだった。


 その戦果は凄まじく、敵機推定110機を撃破、クロスホーン級軽巡1隻、ザカーデストロイヤー級4隻全て轟沈とあった。

 

 残存敵戦力は、ビッグクローラーとその護衛艦群、ほぼ空っぽになったネストガーディアン級4隻……。

 

 対するは、レキシントンと祥鳳の118機の航空隊……駆逐艦が6隻……。

 内訳は、USN系のグリーブス級駆逐艦4隻に、神風型の疾風と……ウソッ! 噂の初霜がいるっ?!

 

 ……と言うか、初霜……何この戦果?


 僅か8機の祥鳳航空隊と連携して、30機中20機を撃破……。

 その後は拠点防衛兵器群と連携して、疾風と二隻だけでほぼ無傷で第二波40機を壊滅。


 レキシントンとUSNの駆逐隊も先鋒艦隊と40機の敵機群を壊滅させている……。

 こっちは空母組でも最精鋭のレキシントンがいる時点で妥当な戦果なんだけど。

 

 敵戦力総数の半分以上にあたる70機もの敵機を二隻の駆逐艦と20機程度の軽空母の戦闘機だけで蹴散らすとか意味が解らない。


 単純な戦力比で4:1……駆逐艦の戦闘力を考慮しても3:1くらい……三倍の戦力差を軽く覆したと。

 

 そうなると、未来人の作る兵器が当たったのだろうか?

 いやいやいや、どうせろくな物じゃないって! ……未来人の兵器とか絶対使えない。

 

 それはもう私達にとってはなかば常識。

 

 あいつら、机上のスペックとかそんなのばっかりで、実戦での運用とか全然考えてないから、役立たずのものばかり作る……。

 

 その辺は新兵器の実戦試験とか良くやらされるから、私達は嫌というほど思い知っている。


 対空用の16連装重機関砲……まぁ、弾幕シャワーは凄い……回頭速度が話にならないくらい遅いので、当たりゃしない。


 駆逐艦用の6連装両用砲なんてのも作ってきたけど……この二つを積めるだけ積んだ結果、ヤバイくらいのトップヘビーになった陽炎は調子に乗って急旋回やらかして、バッタリと横倒しになって沈んだ。

 

 結局、バルジとか移動式カウンターウェイトとか搭載して、復元性を回復したらしいけど。

 速力が落ちたんで、主機出力を強化……駆逐艦がウィリーしながら増速とか危なっかしい艦になった。

  

 飛翔式魚雷も真っすぐ飛ばない欠陥品……魚雷を飛ばすと言う発想……正直、あまり意味がなかった。

 

 なお、これは私に押し付けられた。

 

 正直、降ろしたかったけど……飛距離を短くすれば問題ないし、射出角を大きく取れば対潜用に使える事に気づいたんで、本来の使い方は無視することにした。

 弾数が36発もあるのは悪くないけど、被弾したら大惨事なんで、割と早い段階で使い尽くすのが正解。


 ……別に飛ばなくていいから、ホーミングする魚雷作ってくださいな……。

 

 緊急加速増設ブースターなんてのもあったけど、真っ直ぐ進むだけで止まることも曲がることも出来ない。


 出力もゼロか全開のどっちか……固形燃料ロケットエンジンってそんなもんらしいけど、ロケット花火と一緒とかバカじゃない?

 

 デリブルとマランはこいつを大量に装備して、80ノットとか意味不明の速度記録を揃って更新した後、お約束のように、お互い同士衝突して、二人揃って大爆発! 二人仲良くエーテルの海へダイブ。

 

 それってどんな爆発オチ?

 

 でも、本人達は気に入ったようで、彼女達の船体後部にはロケットブースターが6基ほど付いてる。

 それ……被弾したら、絶対爆発オチ確定なんだけど、解ってるのかな……?

 

 レールガンとかエーテル空間で100km飛ばせるとか言う、結構スゴそうな代物だったんだけど……。

 実戦では弾道が安定せず、全然当たらなかった。


 確実に当てるには、弾道の不安定要因……エーテル気体流との摩擦によって生じる電磁場偏重の予測が必須だった。


 んなもん、出来るか……バカか。

 

 で……弾速を高速化するにより無理やり安定させるって方向性に向かったのは良いけど……。

 今度は砲弾が途中で溶けてなくなってしまうので、融点の高い新素材を開発するとか言ってた……。


 何というか……どうなんだろね? それ。


 荷電粒子砲なんて、凄いのもフッドさんが搭載するって話になってるんだけど、ランダムに弾道が曲りまくると言うポンコツだった。


 やっぱり、エーテル気体の電磁場干渉が原因……曲がり曲がってUターンして、目の前に着弾した時はさすがに沈んだと思った。

 なんとか、使えるように改装するって言ってて、もう一ヶ月くらいメーカーに居座ってるらしい。

 早く戻ってきて欲しいんだけど……なかなか難しそうだった。


 なんなんだろうね? この未来人の超兵器のトンチキぶりは……。

 なんかしらズレてて、訳の解らないものばかり作ってくる。

 

 千歳、千代田の20cm砲のギミックだって、空母形態の時は砲塔裏側部分の防御が甲板一枚の非装甲と言う有様で……千代田なんて、ほんの一発の小型爆弾で艦体真っ二つ一歩手前の大ダメージを受けて沈みかけたのだ。

 

 本人達は、奇襲だったから仕方がないとか言ってたけど……それ下手すると煙草のポイ捨てで吹っ飛ぶとかそんなレベルじゃないの? 

 

 ……まぁ、とにかく未来人の兵器にはこっちは散々な目に合わされてきたので、私の不信感は根強い。

 

 なのだけど……どうも、初霜は未来人の産廃兵器をそれなりに使いこなしているようだった。

 

 この娘の出自も良く解らないんだけど……自前で制御システムを最適化でもしてるのかな?

 最新の外観映像は、なんだかもう駆逐艦に見えない。

 

「じゃあ、そうなると……あんた達二人だけで、ネスト級に殴り込み仕掛けるっての?!」


 情報端末に見入っていたら、千代田の素っ頓狂な声で我に返る。

 

「そうですね……そう言う事になります。もちろん、下流からうちの航空隊や駆逐艦が敵戦力を引きつけたその隙を狙ってって感じになりますけどね」

 

「そそ……その上で移乗白兵戦でネスト級のコアを吹っ飛ばす! 正直、あたしらの戦力じゃそれしか手がないんだ」


「ちょっとっ! ……そんな事して、無事で済むと思ってるの?」


 移乗白兵戦とか、無茶を言い出す二人に思わず口を挟んでしまう。


「あはは……どうなんですかね? 最悪、ネスト級もろともあいつらの巣に流されていっちゃう可能性もあるんですけどね」


「でも、あたしらが行くって言わなかったら、絶対初霜のやつが一人で突っ込むとか言い出してたからね……。あの娘にばっか無茶……いや、良いカッコさせたくない……そうだろ? 雷」

 

「ですよねぇ……電。私達って、いまいち、いいとこなしだし……。ここは無理でもなんでも、先輩としてカッコつけなきゃですよ。それに……私達がやらないと、今も戦ってる皆に申し訳が立たないです」

 

 ……ああっ! もうっ! 駆逐艦って奴はなんでどいつもこいつもこんなんなんだろ。


 我が身を省みずに誰かの為に平然と命張ったり、先陣切ったり……。


 大して強くもないのに、どいつもこいつも勇敢過ぎるっての!

 

「解りました! 解りました! 千代田……ちょっとグエン提督を呼んできなさい! 雷電姉妹、あんた達もちょっと待ちなさい! そっちの提督に私らから共同作戦の提案持ちかけられてるって、今すぐ連絡取って」

 

「え? それって……あたしら手伝ってくれるっての?」

 

「どうせあんたら止めたって、聞きゃしないんでしょ? 私達もここで手をこまねいてるとか、あり得ないって思ってたからね」

 

「あはっ! 島風ちゃんも素直じゃないなぁ……。ここは一つ、義によって助太刀しよう! とか言ってあげなよ。それにしても、まさか島風ちゃんがまっさきにそれ言い出すとは思わなかったわ。うんうん、島風ちゃんってやっぱいい娘だわ……あたし、島風ちゃん大好きっ!」

 

 そう言って私を後ろからガバッと抱きしめると、すぐに提督達の方へ駆けていく千代田。


 うっさいな。

 そんな恥ずかしい台詞なんて言えるわけがないでしょ……。

島風ちゃん達も、未来人の超兵器の犠牲者でした。


ちなみに、島風ちゃんの飛翔魚雷はVLS方式です。

射出角の調整はコンテナを傾けます……一見使えそうですが、無誘導。

だめだこりゃ。


あ、設定資料など更新してます。

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