第七話「切り札はキミの中に」③
「敵機多数来襲……リチャード少佐、そろそろこちらの出番でっす! 港湾部の方でも戦闘開始したようでーす。こっちはさっきの初霜パイセンの食べ残しと違って、今度は無傷の大編隊……後続に水雷戦隊も続いてますですっ!」
「うん……上手く敵戦力を誘引できたようだ……どうやらレックスさんは空海連携で迎撃するつもりらしい。先程の初霜ちゃんの戦闘データ……見てみるかい? 祥鳳戦闘機隊の支援があったとは言え、単艦であの規模の敵機を軽く蹴散らしたらしい。こちらもそれくらいやってのけないと、立場がないね」
「うん、初霜パイセン……噂は聞いてましたけど、半端じゃないですですっ! 皆……聞いての通り……ここは一発、がんばっちゃいましょう!」
「そうですね……日本の先輩方に私達の勇姿をお見せしましょう」
物静かで冷静なマコーム。
「ボクはいつもどおりやるだけかな……。そう言えば、永友提督が終わったらご褒美にスイーツと豪華ディナーを食べさせてくれるってさ。どんなのだろうね? 楽しみだよ。……そいやグレイソン、君はダイエット中とか言ってったけ……何とも残念だね」
「……エモンズ? 日本語には「別腹」って言葉があるのをご存知ないのかしら? 美味しいものは入る所が違うので、太ったりなんかしないんですって! わたくしも楽しみですわぁ……」
「あの……それ多分、意味が違うんですけど……。と、とにかく戦うとお腹が減りますからね……皆さんっ! がんばりましょうっ!」
相変わらず、思い思いの軽口を叩いて、最後にマコームが締めくくって、総員戦闘態勢を取る。
この4人、見た目はあまり大差ないのだけど、口を開くと思った以上に個性的。
いつも元気でおしゃまなエリソン、大人しくてお淑やかなマコーム。
元気なボクっ娘エモンズ、お洒落なお嬢様風のグレイソン。
誰が好きかなんて聞かれても答えられない。
強いて言えば、皆大好きだ……もちろん、これは愛娘に対する父親の愛情のようなものだ。
悪いけど、ペド野郎なんかと一緒にされたくない。
その点、あの永友提督のこの娘達を見る目は、僕と同じく愛の籠った紳士の視線だった。
さっきは彼女達もはしゃぎ過ぎて、色々見せてはいけない物をチラチラとさせていたようだけど。
そんなものに我を失っているようでは、紳士とは言えない。
キレイな花を見て、ビューティフォーと思う……そんな心境だ。
花を見て興奮するやつが居たら、それはまさしくHentaiだ。HAHAHA!
「少佐! レックス戦闘機隊……突破されましたですっ! 第一陣……ボブソン級……装甲雷撃機4機来ます! 正面、フォーメーションデルタで迎撃しますです!」
「うん、真正面から雷撃機を受け止めるなら、悪くない。レックスさん、上手く隙を作って雷撃隊を誘導させたね……全艦ダイレクトリンクで連携っ! フォーメーションデルタで、防御弾幕を張れ!」
「了解でーっす! ダイレクトリンク集中弾幕形成! ……Open Fire!」
4隻がひし形状に陣形を変え配置につくと、同時に5インチ砲、機銃を同時に一斉射撃!
先頭の機体がたちまち炎上墜落する!
続いて、二番機……これもまた集中砲火の前にあっという間に撃墜。
三番、四番が魚雷を投下!
「目標……本艦! 雷跡2ッ! 1時と10時方向っ!」
エリソンの表情に緊張が走る。
けど、艦首正面からだから、この角度とこの距離ではそうそう当たらない……。
1時の方は恐らく外れる……十時の方は念のための回避。
むしろ、殿艦のマコームに警報を出すべきだな。
「一時方向は無視して構わない……念のため、マコームに流れ弾に注意と警報。十時側は角度がやや深い……取舵で回避、後続の爆撃隊来るぞ! ここはひとつ、最低限の動きで回避してみせるんだ……エリソン!」
「オッケー余裕でーっす! リチャード少佐も珍しいですね! いつもは、ガクブルなのに……なんか指揮官してます! カッコイイでーっす!」
「いやいや……今日も僕の左手は平常運転だよ? でも、永友提督に教えてもらったんだ……。 これは武者震い……ブシドーって奴なんだ。ブシってのは、凄いね……戦いの恐怖に震えながらもそれでも勇敢に戦ってたそうだ……僕も見習いたい」
「ふふっ……怖いのを知る者の方が強いのですよ? 実は、私も結構怖がりなんですよ? 少佐……後で皆でいい子いい子してあげますですーっ!」
エリソンが微笑む。
敵の雷撃は二発とも逸れる……当たったら、駆逐艦程度一撃で沈みかねないのだけど。
今のように距離があるなら、どうと言うことはない……。
だけど……やはり、怖いものは怖い。
思わず、安堵のため息をつく……いつもながら、心臓に悪い。
「先頭艦代わりましょうか? やはり提督座乗の旗艦が先頭を切るのは、見てるこっちがハラハラいたします」
マコームの進言。
実は、各々の戦闘力ではマコームがうちのエース。
お互い同士の模擬戦の結果では、いつも同じ結果になる。
彼女は、控えめで消極的に見えて、その実、隙がない……見切りが抜群に上手いのだ。
砲戦火力については、むしろ4隻中もっとも少なく魚雷も装備していないのだけど……砲撃精度が抜群に高い事で十分補っている。
その上、対空火器の増設にも余念が無いようで、機銃の総数も20門近くになってるようだった……。
エリソンは旗艦役である上に、防御一辺倒の海上自衛隊での経験があるので、それなりに慎重なのだけど。
他の二人は、やたらと突撃したがるので割りと良いようにやられてしまう……。
そんな訳で、ディフェンス担当がマコーム、指揮統制のエリソン。
アタッカーのエモンズとグレイソン……そんな感じで役割分担が出来ていた。
「んー、マコームがそう言うなら先頭は交代するですっ! 今日は少佐が張り切ってるから、つい前に出ちゃったけど……前衛はいつも通りマコームに任せるのですっ!」
エリソンが減速、マコームが増速することで速やかに陣形変更。
双方ぶつかりそうな至近距離を通過するのだけど、ぶつかるようなヘマはしない。
さらにエモンズとグレイソンも前に出て、3-1のハンマーヘッド陣形を取る。
「ハンマーヘッドとはまた攻撃的な陣形だな……理由は?」
「この陣形はフェイク……実際は敵水雷戦隊の頭を押さえる形で回頭しますですっ! ……今回は航空支援が厚いので、火力集中による速やかなる殲滅を目指しますですっ!」
各艦ランダムのジグザグ機動で増速。
上空をボクスターが飛び交いだし、爆撃も始まる。
戦術モニターもたちまちアラートで埋め尽くされる。
けれど、先陣を切るマコームが猛烈な弾幕を張り、敵機を蹴散らしていく。
上空からもレックス航空隊のF4Fが襲いかかり、サンドイッチ状態の敵機は次々落ちて行く。
戦術モニターに警告……敵艦隊を捕捉!
「Attention! Enemy captured! Hard a starboard! Full steam ahead! Full Fire! Full Fire! GO! GO! GO! でーっす!」
興奮気味のエリソンの右舷旋回の号令と共に艦が左側に傾斜する。
ハンマーヘッドのTの字陣形からの敵艦へ一列になって側面を向ける縦列隊形への陣形変更が見事に決まる。
4隻の一斉砲火とタイミングを合わせたレックス雷撃隊の同時攻撃の前に先頭艦のクロスホーン級が爆炎に包まれ、あっけなく轟沈する。
けれども、後続の敵艦がひるまず反撃してくる。
「直撃っ! 来ますですっ! 少佐、伏せてっ!」
爆音と共に、ブリッジが激しく揺れる!
さて……一方、リチャード提督達、USN組も戦闘開始です!
リチャード提督は紳士ですな!
ホントは一話にまとめたかったんですが、長くなったので分けました。
ちなみに、エリソンの英語の台詞の意味は
「ちゅうもーくっ! 敵捕捉! 面舵いっぱい最大戦速! 撃って撃って撃ちまくれ-! イケイケイケーっ!」
って感じです。
USN組のアメリカンな雑なノリが出ればなぁってとこです。
それに、英語圏の面舵いっぱい=Head a Starboardって表現カッコイイです。
当初予定では、エリソン達4人は量産型って感じで個性も付けないつもりだったんですが。
個別の一人称と台詞付けたら、いきなり個性主張し始めた。(笑)
仕方がないので、容姿も設定……たぶん、今後も出番あります。
レックス>>>マコーム>>グレイソン、疾風、祥鳳>>エモンズ、雷、電>エリソン、初霜
えーっと、登場艦艇達の胸囲格差社会です。(笑)
メガ巨乳、巨乳、控えめちっぱい、ペッタン、まな板。
初霜ちゃんとエリソンは泣いていい。
なお、次々回はお風呂回の模様……この作者何というか……ブレない。




