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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第一部「来訪者」

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第六話「プロジェクトR ~とある未来人開発者の挑戦~」②

「そ、それでは……まずは実機モデルをご覧に入れます」


 気を取り直して、開発室の一角……実機のスケールダウンモデルをライトアップする。

 

 びっしりと繊毛が生えた漏斗状の機体。

 ぱっと見は苔むしたオブジェのように見えるので、空間飛翔体にはとても見えないが。

 ロケットブースターとエーテル気体制御により、高速性と機動性能を両立した非常に優れた機体に仕上がっている。

 

 最新の超軽量高張力複合素材による一体成型フレームを採用しているので、防御力も生産性も高い上に非常に軽量。

 

 大佐も興味深げに眺める。

 

「ふむ……これはスツーカのようなレシプロ機とは全く違う原理で飛ぶのかな? プロペラも翼も無い……なんとも変わった形をしている……機体後部の噴射口はロケット式だな。Me163「コメート」……あれを思い出すな」


「そうですね……スターシスターズの使うレシプロ機はエーテル気体を撹拌することで推進力としますが。この機体は、古典的な化学ロケットと繊毛による流体制御で飛ぶ、最新技術と古典科学の組み合わせといえますね」

 

「なるほど……どちらかと言うと、敵性飛翔体の方に近い機体のようだ。あれを間近で見た事あるのだが、エンジンらしきものが見当たらない上に、いつも輪郭がぼやけてるんだ。……この絨毯のような繊毛を高速振動させ飛行する……たぶん、そんな理屈だろうな……あれは。まぁ、動きが単調だから落とすのも容易なのだがね」


「そ、そうですね……鹵獲した黒船の飛翔体の飛行原理も参考にしています。あの生体兵器は、ある意味エーテル空間に最適化していますからね……」

 

「技術とは模倣から始まる……悪くない発想だ。エリコ君、私はこれに乗ってみたいのだが、可能かね? 非常に興味がある」

 

「実機に乗った上での操縦ですか? 元々無人機ですから……有人飛行は想定していません。大佐がお望みなら、有人型も開発しますが……。大幅な設計変更が必要となりますので、今すぐ実機でと言うのはかなり難しいです」

 

「そうか……未来人の作った戦闘機に少なからぬ興味があったのだが……。そうなると、私は戦闘機乗りではないので、あまり有用なアドバイスも出来そうにないな……」


 ……大佐は黒船の飛翔体との空戦経験があると言う話なのだけど。

 二桁撃墜の記録をすでに出している大佐が戦闘機乗りでなければ、戦闘機乗りを名乗るにはどれだけ落とせば良いのだろう?

 大佐の属していたドイツ国防空軍ルフトバッフェ……どれだけハイレベルだったのだろうか?


「で、でもですね! VRシミュレーターなら、仮想機体でテスト飛行も実戦飛行も可能です。私どもとしても、大佐の飛行データには興味がありますので、よろしければお願いしたいのですが。大佐はVRシミュレーターの経験はおありでしょうか?」

 

「ないな……それはどのようなものなのかね?」

 

「これは、体験したほうが早いですね。最初は驚かれると思います……言ってみれば、自分が飛行機になったような感じになりますから」

 

「ほぅ、それは実に興味深い……ひとつそれで頼むよ。まったく、この未来世界の科学技術にはいつも驚かされるな……これほどの科学力があの時の我がドイツにあれば、世界はもっと変わっていただろうに……。だが、合成品のミルクの味はどうにもいただけない……エリコ君はどこか天然モノの美味いミルクが手に入る所を知らないかね? 地上世界なら手に入るかもしれないと言う話は聞いたのだがね」

 

「天然モノの牛乳ですか……? 確かにここは地上世界なので、古来伝統の製法を売りにしてる高級ブランドがありますよ。社長に言えば、たぶんお土産として喜んで手配してくれると思います」

 

「それは素晴らしい……是非、頼むよ……うん、これは社長殿にちょっとした借りが出来そうだ。歓迎会を中断させてしまったのは、少々大人気なかったな。後で改めて挨拶と詫びをせねばなるまい。マラート君これが、大和撫子の気遣いと言うものだよ? 少しは君も見習うと良い」

 

 思わぬ形で私、ナイス接待。

 これは大佐との繋がりを今後も続けるためにもとても貴重な情報だった。

 

 それにしても、酒もタバコも嫌い……体を動かす事と牛乳が大好物と伝記に書いてあったが、本当だったらしい。

 しかも、この様子だと牛乳には相当にこだわりがあるようだ……。

 

 こっそりと、社長へダイレクトメール。

 

『大佐は高級天然ミルクをご所望です……早急に手配願います。それと改めて社長へご挨拶とお詫びをしたいとの事ですので……そちらの手配もお願いします』

  

 ……送信っと。

 やった、私ってば超お手柄!!

  

「何故、そこで私の名前が出るのか理解に苦しみますが……了解しました。と言うか、早いとこ用事を済ませて下さい……タシュケント達が暇を持て余しているそうです。私達にとっては、この様に長時間艦体から離れているのは、何とも心細くてストレスが溜まるんですよ。そう言えば、この惑星には海があるんですよね? いっそ、我が艦体を降ろして海上航海をしてみたいのですが、駄目ですかね?」

 

 今度はマラートさんが変な事を言いだした。

 

 ……エーテル空間航行艦を地上重力圏の海上に降ろすとか、何を無茶苦茶言ってるのやら。

 確かに、不可能ではないと思うのだけど……。


 まずゲート経由で通常空間へ移送。

 通常空間航行ブースターを増設の上で惑星衛星軌道まで移動……次に大気圏突入……これは惑星開発モジュールの投下用バリュートなどを使えば、あまり難しくはないと思う。

 

 海上航行自体もエーテル流体面より遥かに優しい環境だから、ほぼ問題はないだろうけど……問題はその後。


 戦艦サイズの大質量体を衛星軌道上まで飛ばす……。

 

 軽く計算しただけでも、天文学的なコストがかかる……。

 

 まず、そもそもそんなの全くの想定外なので、専用の大気圏離脱ブースターを新規開発する必要がある。

 二万トンもの大質量を大気圏内を飛行させる……この時点でなかなかに非現実的。


 おまけに、この惑星エスクロンは1.5Gの高重力惑星……市街区などでは、重力低減装置をあちこちに設置して、誤魔化してるけど、本来は、なかなか住むのは、難儀な惑星ではあるのだ。


 となると、更に増えて質量三万トン? いやー無理でしょう。


 一度バラバラに分解して、マスドライバーなり、軌道エレベーターで部品単位で打ち上げて、衛星軌道上で再組立した方が、多分早い。

 

 重力機関推進なら、大質量体の重力圏離脱も容易いのだけど……あれを有人惑星上で使うなど狂気の沙汰。

 星間連合の惑星条約にも違反している……つまり、論外。


 エスクロンでも、衛星軌道との往還は軌道エレベーターを使っている。

 むしろ、現代ではそれが当たり前……重力圏からの脱出と言うのは、それくらいエネルギーの浪費、無駄の極致とされているのだ。

 

 結局、人類も宇宙時代に突入した際、地上で大型宇宙艦艇を建造して打ち上げる事の、その途方もないバカバカしさに早々に気付いて、航宙艦は、衛星軌道上で建設した方が安上がりで効率も良いと言う結論に達したのだ。

 

 彼女達の夢であろう自らの艦体と共に、大海原を征くというのは……多分叶わぬ夢。

 海上でレプリカでも作って流す方が余程、現実的……実際、そんなもんだろうと思う。

 

 彼女達は……元を正せば海を往く軍艦だったらしいので、そう言う発想になるのだろう……言ってみれば郷愁の念。


 どうにも彼女達のメンタリティも良く解らないところがあるが、何とも悲しい話だった。

 

「さすがにそれは……無理があるかと、ごめんなさい」


 彼女達の機嫌を損ねてしまったのでは元も子もないので、心から謝罪する。


「そっか……それは残念だわ。大佐、それなら後で海に連れてって下さいよ。潮の香りと水平線……懐かしいです……皆、喜ぶと思います。海で泳いでみたい気もしますけど、それはまたの機会でいいです……さすがに、時間がありませんからね」

 

 ……一応、心底申し訳無いと思っていたのだけど、案外軽かった。

 

 むしろ、それでいいのかとツッコミたい!

 

「ふむ……海を見たいのかね? 君もなかなかにロマンチックな所があるのだな。そういう訳なのだが……エリコ君、この後案内を頼んでもいいかね? なぁに時間は取らせんよ。我々も明日には、中継ステーションに戻らねばならんのだ。次の作戦が控えているのでな……」

 

 大佐の次の作戦……確か、ケプラー20星系へ侵攻しつつある黒船と相対している防衛艦隊の支援任務だと聞いていた。

 

 あまり遠くと言う訳でもない……むしろ、エーテルロード上では、お隣に位置するあの星系では、黒船の侵攻が現実的な脅威となりつつあり、この機体も実戦投入される可能性が高かった。

 

「解りました……では、そのように手配致しますね……。海を見たいなら、軌道エレベーターのある島でちょっと寄り道するだけで済みますからね。……お戻りの際にでもお供いたします。ひとまず、VRシミュレーターのご用意をいたしますね」

 

 そう言って、大佐にはVRシートに座ってもらい、ヘッドセットを装着してもらう。

 大昔は専用のカプセルに入って、五感を遮断していたそうなのだけど、今はこんな簡単な設備で可能となっている。

 一般家庭でゲームやらドラマ体験なんかにも使われていたりするので、この技術自体は極めて一般的なものだった。


 機体のVerは最新型のT/RY-D型。 

 機体そのものとのダイレクトリンクはしない。

 

 VR経験が無い者にいきなりこれをやると、身体と意識の違いから精神が混乱してしまうから。

 今回は仮想コクピットと仮想パイロットを無理やり乗せてある。


 位置的には、漏斗の真ん中あたりに少し出っ張るように設置してある。

 バランス的には問題あるが、元々安定性は高い機体なので問題ないだろう。

 

「ふむ、後方視界がまったく無いのは正直、論外だな……なんとかならんのかね? それにしてもVR体と言うのは面白いな……まるで自分の身体のようにちゃんと感覚があるな……これはこれで悪くない」


 大佐とはモニター経由で回線がつながっている……各種バイタルモニターも正常値。


 万が一にも事故などあってはならないので、別室で医療チームも待機中だった。

 元々大佐は再現体……バイオサイボークの身体……そんなにヤワでもないはずなのだけど、念のためと言うやつだった。

 

 それにしても、やはりエースパイロット……早速、論外とか言われてしまった。

 全周レーダーがあれば、視界が狭くても問題ないと思ったのはこちらの思い込みで、戦闘時には肉眼が頼りとかそう言うことなのだろう。

 

「では、コクピットシステムを全天周囲モニター・リニアシートにしてみますね」


 システムアップデート……最新鋭の宇宙空間偵察警戒機に採用されている全天周囲モニター・リニアシートに仕様変更する。

 さすがにこれは驚くだろう。


「おお、これは凄いな……背後どころか足元まで見えるとは……。これならば、対地攻撃にも十分使えるな……この機の火力はどんなものかね?」

 

「火器に関しては、スターシスターズの使う艦載航空機と同レベル……火薬式の12.7mm機関砲を中心軸に沿う形で3連装で束ねて搭載しています。彼女達の戦闘データによると、これでも十分なようですからね」


「12.7mmだと? 地上用の重機関銃程度の火力ではないか……それは。なんとも火力が心もとない気もするのだが……まぁ、それはいいだろう……やってくれ」


 元々この機体は艦載用途ではなく、拠点防衛用兵器。

 発進自体はリニアカタパルトにて行う……有人想定はしてないので、イナーシャルキャンセラーのレベルを上げることで対応する。


 帰還時は、エンジン部を真下に向けて、垂直降下する……色々検討したのだけど、この形状だとそれが一番着地が安定した。

 

 ほぼ使い捨て感覚の無人機な上に拠点防衛用なので、こう言う運用でも構わないだろうと言う結論になったのだけど。

 たぶん、検討の余地はあると思う。

 

「それでは、大佐……空の旅をご堪能下さい」


 VRモニター上で大佐の機体が打ち上げられる。

 発進自体は問題なさそうだった。


「ふむ……カタパルト発進と言ってもマラート君のより、随分楽だったな。射出速度は相当なものだろうに……実に軽いものだったな……」

 

 なんのこっちゃっと思ったので、戦艦マラートの最新データを確認。

 

 火薬式カタパルト……なんてものを使っているのだろう……。

 イナーシャルキャンセラーなんて絶対使ってない……推定瞬間Gは10G超?!

 

 ……大佐も大概無茶だった。

 うーん、これはむしろ、戦艦マラート自体の大幅改装計画とか、こっちで検討して提案しても、いいような気がする。

 

「えっと、その辺はちょっとズルしてます……イナーシャルキャンセラー……衝撃中和装置ってとこですね。身近なところだと、地上車両や軌道エレベーターにも使われてますよ」


「なんと! そんな便利な物があるなら、是非私のスツーカにも積みたいものだ。戦場のリクエストは可能かね? 一応これは戦闘機なのだろう? 空戦はあまり得意ではないのだが……テストと言う話なら、実際やってみないとなんとも言えないな」

 

「解りました……まずは単機で黒船の標準的な飛翔体ボクスター辺りが相手ではどうですか?」

 

「ボクスター単機か……その程度では物足りないな。……一個小隊4機、対空砲火の中での空戦と言う想定が良いだろう……黒船との戦場はいつもそんなもんだ」

 

 空戦は得意ではないと言いながら、一機だけでは物足りないとはこれは如何に?

 ……そんなものなのかな……と思いつつ、リクエストどおり、ボクスター4機、ザカー級駆逐艦1隻の戦場設定。


 勝率5%とか予測勝率が表示されている……戦力比は5:1以上なのだから、そんなものでしょ。

 

 大佐と4機の敵機の交戦が始まった。

宇宙軍艦と言えども、元は大海原を往く艦。

だから、皆、海がとっても好き……つまり、水着回フラグですね!(笑)


ファンネル型の機体に、リニアシート、更にイナーシャルキャンセラー!

往年のメカ物技術が次々出てきます。(笑)


最後のはガイナックスの傑作「トップをねらえ」に出てくる未来技術ですねー。

スパロボじゃバリア扱いでしたけど、本来は重力操作による慣性中和装置ってとこで、宇宙空間用ブレーキですね。


重力機関方式の宇宙戦艦やら亜光速船もあるので、それくらいあります。


……裏設定ですけど、初霜にも搭載されてて、暴走モードの時はガンガンに使ってました。

この辺もあって初霜ちゃんってば攻、防、速の三拍子のチート。


なお、エーテル空間で重力兵器の使用はご法度ですが、小規模の重力操作程度なら問題なかったりします。


余談ながら、繊毛による流体制御飛行と言うのは……実際に微生物のゾウリムシがそんな方法で泳ぎ回ります。

さすがに、繊毛運動で空を飛ぶ微生物なんてもんはいませんが……タンポポの綿毛やら蜘蛛の一種も風に乗って飛行できますからね……絶対無理って訳でもないのです。


作中世界のエーテル空間は地球大気と比較しても粘性抵抗が高く、そのような飛行方法が可能となっています。

この粘性のせいで、砲弾の飛距離も落ちたりと色々厄介なんですが……未来人が本領発揮できない理由のひとつともなってます。


ちなみに、世の中にはびっしり毛が生えて、狭い隙間にネリネリ潜り込んでいく能動ファイバースコープと言うものが実際に開発されているそうです。

なお、お察しの通りメイドインジャパン。(笑)

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