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宇宙(そら)駆けるは帝国海軍駆逐艦! 今なら、もれなく美少女もセットです! 明日の提督は君だっ!  作者: MITT
第一部「来訪者」

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第四話「燃える宇宙(そら)」②

「思ったより早かったな……予定より半日近く早いじゃないか! では早速、指揮官殿にご挨拶と行こうか。しほちゃん、疾風ちゃん悪いけど、お供を頼むよ」

 

「解ったっす! こう言うのは舐められないように、最初が肝心っすから! そう言えば、明日到着の艦隊ってどんなんっすか? 露助の艦の事って、あっしらよく知らんのですよ」

 

「ああ、ドイツ系の指揮官率いるロシアの弩級戦艦、護衛のロシア系駆逐艦が三隻の編成だ。艦名は弩級戦艦マラート……この艦名、どっかで聞いた事あるんだが思い出せん。駆逐艦はタシュケント、ソオブラジーテリヌイおよびスポソーブヌイ……なんとも舌を噛みそうな名前だな。指揮官は第二次大戦の実戦経験者でナチスドイツ空軍の元エースパイロットらしい……かなり有名な御仁らしいが……。通称「大佐」としか資料には書いてないな……」

 

「通称が「大佐」って意味わかんないです……。それになんでドイツ人がロシア系艦隊を率いてるんでしょう? けど、実戦経験者ですか……何か凄そう……。私達も知ってる人でしょうかね。海外のエースパイロットとかってあまり詳しくなくて……ドイツの人って厳つい人多いんですよね?」

 

「ドイツといえばフランクフルトっす! あれは美味いっすねー! あとドイツ人ってキャベツの浅漬みたいなのも食べるんすよね?」


 うん? 疾風ちゃん、連想ゲームやってるんじゃないよ?

 それにしても、キャベツの浅漬け? どういう喩えをしているのやら。

 

「多分、ザウアークラウトの事だろうな……浅漬けとは全然別もんだぞ? ザウアークラウトは発酵食品だから、むしろキムチに近いな。この時代、天然食材は高級品扱いだから、今でも食べられているかは解らないけどね。ベーコンやハムなんかと一緒に食べると案外美味い……。ドイツは、お菓子類ならバームクーヘンとシュトレンなんかが、有名だな……焼き立てのバームクーヘンは最高だぞっ!」


「さすが提督、スイーツな知識には事欠かないっすね! お腹減ってきたっすよ! でも、なんでパティシエが提督になるんすかね? その理由がどうにもよく解らねっす。まぁ、あっしらとしては、提督の作るスイーツは超最高なんすけど」


「そんなもん……私が聞きたいくらいさ。いかんせん、未来人の提督の選定基準は良く解らんからなぁ……。今まで会った提督もむしろ……生粋の軍人のほうが少なかったな……。何らかの形で、君達と縁がある者達を選んでるようなのだが……。私も、曽祖父が初霜の乗組員だった。……と言っても、専ら飯炊きやってたそうだがね……銃撃の中、おにぎり抱えて甲板を走り回ってたそうだ」

 

「へぇ……それはそれでなんだか面白い話ですね。でも、私、提督に拾われて良かったです……。きっと、こう言うのも運命とか縁って言うんじゃないですかね」

 

 そう言って、しほちゃんが肩を寄せて顔を近づけると、ニコリと微笑む。


 うん、こんな押しかけ女房なら、歓迎だ。

 

 やがて、金髪の純朴そうなUSN士官服の青年が亜麻色のショートカットの小さな少女を連れて、駆逐艦から降りてくる。


 さり気なく手を貸してやっている辺り、彼も紳士と言う言葉を解っている青年のようだった。

 

 他の駆逐艦からもぞろぞろと似たような顔立ちの少女達が降りてくる。

 

 顔立ちは一緒なのだけど、髪型や雰囲気は結構個性的……大人しそうなブラウンのロングヘアー、快活そうな灰色のショートボブ、ブロンドの縦ロールツインテール。


 それにしても、USN艦の頭脳体にしては、何故か揃って着物のような服装をしていた。

 

 青年が私に気付いたようで、軽く手を挙げてから、敬礼を送ってくる。


 私達も姿勢を正すと、答礼する。

 

「ようこそ! ケプラー20星系エーテルロード中継ステーションへ! 私は、本星系の防衛艦隊司令……永友魁一郎少佐……貴官らを心から歓迎させてもらう……!」

 

 私がそう告げると、青年は破顔すると両手を大きく広げる。

 

「オーケー! 魁一郎少佐会えて光栄だ! 僕はリチャード・ベンソン。一応、同じ少佐なんだけど……あなたの方が先任だ……これより、貴官の指揮下に入らせていただく。よろしくお願いするよ! まずは、お互いの部下同士の自己紹介かな? なにぶん、共に戦う仲間だから仲良くしてもらわないとね」

 

「はい、私は防衛艦隊旗艦軽空母の祥鳳です……一応、提督の副官みたいな感じになってます。こっちは神風型駆逐艦の疾風……他にそちらの同胞、USN正規空母のレキシントンさんがいますけど。現在、当直任務中なので、ご挨拶は後ほどお願いします」

 

「うん、資料は先に読ませてもらってるよ……祥鳳ちゃんと疾風ちゃん。二人共実にキュートだ……この4人は僕の自慢の娘達だ……エリソン、リーダーの君が全員を紹介しなさい」

 

「はいっ! 私、グリーブス級駆逐艦エリソン……護衛艦あさかぜとも言います。日本の皆さん、大好きでーす! お会い出来て光栄です! 仲良くして下さーい! この三人は、私の姉妹……マコーム、エモンズ、グレイソンでーす! マコームも日本で護衛艦やってたんで「はたかぜ」って名前もらってるんですよ。皆、日本大好きなんで、今回の任務……IJNの皆さんとご一緒できて、やる気メガマーックスでーす!」

 

 なるほど……ロングがマコーム、エモンズが灰色ボブ・ショート、縦ロールがグレイソン。

 名前と顔はバッチリだ。


「なんとっ! あっしの姉妹艦にも朝風と旗風ってのがいるっすよ! お初なんだけど、なんかすっごい親近感湧いたっす!」

 

「私達もでーす! 大先輩の神風型の娘達とは前々からとっても会いたかったのですーっ!」


 エリソンがそう言って、疾風ちゃんに抱きつくと残りの3人も、揃って目配せをすると後を追うように群がって、そのまま全員ごちゃごちゃになってひっくり返る。


 ロリ少女の盛り合わせである……色々と見てはいけないカラフルなモノがチラチラ見えるような気がするが。


 私の目には写っていない……着物の裾からチラリと除く太ももとか、四色色違いの縞パンなんて見ていないし、疾風ちゃんは黒下着派だったのかとか思ってもいない……断じて否っ!

 

 でも、皆……実にいい笑顔でキャーキャーと大騒ぎ!

 なんだか、良く解らないけど4人は疾風ちゃん争奪戦を始めたらしかった。


 疾風ちゃんもやめるっすーとか言いながらまんざらではない様子。


 和服外人風ロリ娘と疾風ちゃんがキャッキャウフフと戯れるこの光景は……まるで楽園の光景のようで……。


 素晴らしい! 素晴らしいぞっ!


 ふと、目を上げるとリチャード少佐と目が合う。

 彼もまた慈愛に満ちた目で5人を見つめていた……彼もまた紳士の一人であると私は確信する。

 

「……失礼……思わず見惚れてしまったよ。実に素晴らしい光景だった。ま……まぁ、要はこういう訳でね……エリソン達は日本に縁深いんだ……。皆、日本軍と戦ったこともあるのだけど、エリソンは日本での日々もちゃんと覚えていてね。随分、大切にされたとかで口を開けば日本の話ばかりだ……。僕も日本の文化……アニメや漫画は大好きなんだ」

 

「かつては敵同士だったとは言え、今は共に戦う仲間同士……か。なんとも、心温まる話だ……リチャード少佐、ひとまずよろしく頼むよ。ちなみに、私は2000年生まれの元パティシエだ……君は軍人かなにかやってたのかな?」

 

「ほぅ、そりゃ奇遇だね……僕もパン職人だった……まぁ、ほぼ同年代かな。戦争の経験はない……兵役も軍艦の甲板磨きをやってるうちに任期満了してしまったからね。銃の撃ち方くらいは解るけど、戦闘はもっぱらエリソン達にお任せだ。ミスター魁一郎はどうなんだい? こちらで眠っていた軍事的才能が開花したとかそう言うクチかい? 実施予定の作戦概要を見せてもらったけど、なかなか悪くない作戦じゃないか。それに、頭脳体同士の戦いに割り込んで仲裁したって……勇敢で男気溢れる提督だって評判だったよ」

 

「ははっ……なんだか噂だけが独り歩きしてるようだね……私もリチャード少佐と似たようなもんだよ。戦争なんか全く縁なんて無かったからね……銃だって、ロクに撃てやしない。今回の作戦については、この祥鳳君が立案者だ……なかなか優秀な参謀で色々助かってる」

 

「そうなのかい? まったく……可愛い上に参謀としての才能もあるとは、まさに才色兼備と言うものだね! 資料によると、割りと最近あなたの艦隊に参加したようだが……ミスター魁一郎はどうやって、こんな素敵なレディを口説き落としたんだい?」

 

「あはは……す、素敵なレディとか少佐さん、何言ってるんですか……! やだなーもうっ! 実は私が一方的に押しかけちゃいました……可愛がって下さーいって! お恥ずかしながら行き場がなくて、路頭に迷ってたんで……つい……」

 

「おーっ! グレイツッ! 押しかけ女房っ! The Return of Lum! あれは僕も大好きだったよ!」


「押しかけ女房って……ち、違いますよぉ……。そう言うんじゃないケド……そう言うコトなの……かなぁ?」

 

 真っ赤になって俯く、しほちゃん。

 実際そうなのだけど、やっぱり自覚してなかったらしい……だが、可愛い。


 うん、花まるをあげやう。

 

 「The Return of Lum」ってあれか……80年代の電撃鬼娘の漫画の海外タイトルだったかな。

 そう言えば、この世界でも2000年前後のアニメや漫画は古典作品として、いくつかのタイトルが伝わっているらしい。


 二一世紀の日本でも、枕草子とか源氏物語と言った1000年前の古典が語り継がれていたのだから、文化というものは時を超え世代をまたぎ、受け継がれていく……そう言うものなのだろう……。

 

「はっはっは……ミスター魁一郎もなかなか隅に置けないね。うん、あなたとは個人的にも仲良くやれそうな気がするよ……よろしく頼むよ」

 

 そう言って、リチャード少佐が左手を差し出す。

 私も左手を差し出すと固く握手をする……うん、私も少しはサマになってきたような気がする。

 

 そんな風に思っていると、唐突にサイレンの音が鳴り響いた。

 

『空襲警戒警報発令! 空襲警戒警報発令! 当中継ステーションに多数の敵性飛翔体接近中! 戦闘員は直ちに戦闘配置に着け……なお、非戦闘員及び民間人は直ちに避難をお願いします。繰り返します……これは演習ではありません……空襲警戒警報発令――』

 

 不快なサイレンの音に混じって、レックスさんの空襲警報のアナウンスが全域に響き渡った!


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