ピスタチオ
気づいていた
もう風がいくらでも冷たくなれること
穏やかさの背中で薄っすらと笑っていた
宵にだけ見える音
きょうの終にだけ癒える色
空白を果てしなく積み上げていって
崩れていくことはさり気なく済んで
敏感と鈍感の間に腰掛けて
ピスタチオの殻を割るばかり
皮膚が外気を呑み込んでいる
受け容れる処を探っている
吹き抜ける寒さは遠いのかもしれない
案外近いのかもしれない
褐色の薄皮の下の緑を見失っても
感触の中の芳ばしさを知っている
歪んでる窓の口が尖りながら泣き続ける
動けない
ピスタチオに囚われるばかりの冷たい情熱