僕はパペット
「・・・・」
僕は部屋でテレビを見る
『昨日○○町で起きた通り魔事件で続報です
被害者の少年は病院に搬送され死亡が確認されました、警察は事件を傷害から殺人事件に切り替えて犯人を捜索している模様です』
「通り魔・・・こいつが俊介を!!」
俊介の事件は時間的に僕と別れた後に起きたらしい
僕と別れた俊介はあのあと通り魔に襲われ
逃げたのだが逃げ切れずに捕まり
殺害された・・・
「・・・・あの時僕も一緒にいれば・・・」
通り魔は他の人を狙ったかもしれない
もし僕達を狙っても二人だったら対処できたかもしれない
「くそっ!!」
僕は枕を壁に投げる
『おいおい意外と短気なんだな?』
「えっ?」
今、なんか声が聞こえた?
『あっ、ちょっと待ってて今から降りるから』
「降りる?えっ?」
なに?僕おかしくなって幻聴が聴こえるようになった?
『よっ!』
ポフン
「ひゃぁ!?」
目の前に何かが落ちてきた・・・これは
「昨日のぬいぐるみ?」
『ん~まだ慣れないな~よっ!!』
ポヨン
ぬいぐるみが立ち上がった
『やっと動けたよ!馴染むのに時間がかかったな~』
「う、動いてる!?」
『あっ?驚いた?ってうわ!?』
僕はぬいぐるみを持ち上げる
「なになに?これぬいぐるみじゃなくてロボット?新しい玩具だった?電池式かな?」
僕はぬいぐるみを見回す
『ちょっとちょっと!違うから!玩具じゃないから!これはぬいぐるみの身体だから!!取り敢えず置いて!床に置いて!』
「・・・・・」
取り敢えず置く
『やれやれ・・・少しは話を聞こうよ』
「最近の玩具って良くできてるな~」
『はい!現実逃避しない!玩具じゃなくてぬいぐるみが動いてる!これが現実!!』
「・・・・・・えっと、叫んだ方が良いのかな?」
『もう話が進まないから黙っててほしいよ!』
「あ、はい・・・」
ぬいぐるみに怒られた・・・というかぬいぐるみが動くとか普通無いよね!?なに?怪奇現象!?
『えっと・・・なにから説明するかな・・・てかどう説明するかな・・・』
「取り敢えず簡潔に説明して、その後で詳しく聞くから」
『わかった、んじゃ簡潔に・・・僕はえっと・・・ちょっと事情があって本名は名乗れないから『パペット』って名乗るね?』
「わ、わかったよパペット」
『よし!僕は未来からこの時間に来た未来人!このぬいぐるみは取り敢えずこの時間に留まるための仮の身体!ここまでは?』
「お、OK」
最初から凄い設定が来たぞ・・・
『んでこの時間に来た理由は未来から逃げた大罪人達を捕まえるため!ここまでは?』
「OK!」
『そしてその大罪人を捕まえるために君の力を貸してほしい!!ここまでは?』
「・・・はぁ!?」
OKって言いそうになったけど突っ込むよ!
『まあ僕の存在と来た理由を簡潔に話したけど詳しく話そうか?』
「うん話して」
簡潔に聞くと余計訳がわからなくなったよ
『えっとね・・・僕は先ず未来から来た警察官なんだ・・・未来は今大変なことになっていてね』
「大変なこと?」
『大罪人と呼ばれる死刑囚達が組んで脱獄したんだ・・・奴等は未来の兵器を持って身体ごと過去に逃げたんだ・・・そして逃げた過去で悪事をドンドン働いていて未来の世界は消滅しそうになってるんだ』
「それでパペットは未来がそんな状態なのにここに来れたんだ?」
『ある特殊な施設が有ってね・・・そこは過去の改変の影響を受けないんだ・・・そこに有ったタイムマシンで過去に飛んだんだけど古いタイムマシンでね、精神しか飛ばせなかったんだ』
「だからぬいぐるみ?」
『たまたま昨日このぬいぐるみに入ってね・・・それで僕の任務なんだけどその過去に逃げた大罪人達を捕まえて未来に送る事が僕の任務』
「じゃあ捕まえればいいじゃないか?」
『この身体じゃ無理だよ・・・マトモに動けないのに』
「それで僕の力を借りたいって」
『そう言うこと!』
「でも僕普通の高校生だよ?」
確かに中学時代にちょっとした黒歴史があるけど・・・・うん忘れよう!恥ずかしいし!
『大丈夫!未来の機械を貸すよ!』
「・・・・そう言われても、そもそも僕に手を貸す理由がないよ?未来の事なんて正直どうでもいいし・・・大罪人でしょ?下手したら僕殺されるよね?」
『そういうよね~だと思ってた!でも君は協力してくれるよ!』
「なんで?」
『俊介だっけ?彼を助けたくないかい?』
「・・・えっ?」
『ちょっと説明が足りなかったね・・・大罪人達が飛んだ過去って言うのは昨日から前の時間なんだ・・・そう昨日の君が俊介って子と別れた後・・・』
「・・・・もっと詳しく」
『いいよ!大罪人達は各々別の時間に逃げたんだ・・・1人が昨日・・・他は更に過去』
「1人しかわかってないの?」
『ドンドン改変されててね・・・例えば陽、君が道を真っ直ぐ進んでいるよ?んで目の前に大きな岩があるとしたらどうする?』
「そりゃあ少し横に逸れて歩くよ、若しくは別の道に行くよ」
『そう!そうして陽は本来の道とは違う道に行ってしまった!!その先にはもう大きな岩がありません・・・何故なら大きな岩は最初にいた道にしか無いからです』
「その大きな岩って大罪人の事?」
『そうだよ?』
「つまり昨日の大罪人の改変のせいで他の大罪人がどこにいるか分からないんだね」
『そうなんだよ・・・だから1人ずつ捕まえて少しずつ時間を正しい形にしなくちゃいけないんだ・・・』
「その話を聞いて俊介が関係あるってことは・・・ひょっとして昨日に飛んだ大罪人が?」
『さっきのテレビでやっていた通り魔だよ・・・多分奴は食人鬼だね』
「食人!?」
『そう、奴は未来で48人の人間を殺しては食べていたんだ・・・捕まったソイツは死刑判決を受けて幽閉されたよ・・・未来でソイツは暴食の大罪人なんていう通り名が付いたよ』
「狂ってる・・・えっ?そんなやつを捕まえないといけないの!?僕食われない!?」
『俊介は食われたんだろうね・・・アイツの脱獄して最初の食事として・・・』
「!!」
『君は俊介をこのまま見殺しにするのかな?』
パペットが身体を横に揺らす
『手を貸してくれたら助ける力を貸すんだけどな~』
「俊介・・・」
昔からの大事な友達・・・
「貸すのは機械だけ?」
『いや?君が死なないようにちゃんとサポートするよ?僕は戦えないけど色々と機能がついてるし未来にいる僕の仲間とも連絡は取れるから』
「・・・絶対に俊介は助かるよね?」
『君が手を貸したら先ず襲われないからね』
「・・・わかったやるよ!怖いけど・・・俊介が助かるなら!!」
『よし!その決意が変わらないうちに行くよ!!』
「えっ?行くって?」
『それ!タイムワープ!起動!!』
「えっ?ちょ!?待って!?」
世界が白く染まった