96/333
蠢きの魔
「ええか!この喧嘩、雷神連合初代総長、工藤が買うた!他の者は手え出すな。文句ある奴は、このわしが相手したるさかいのお!」
一人で、20数名と喧嘩して勝った事もある、伝説の怪物だ。我悪羅の連中は後ずさりした。その形相も凄まじく、威圧感ある工藤の貫禄に、手を出そうとする者は一人も居なかった。
「こら!石井!いつまですっ込んどんねん!早う出て来い!」
工藤が大声を出す。ようやく、石井が、奥から姿を現わした。しかし、この時、石井は千崎の喉元にナイフを突き立てていた。
「千!」
修ニが叫んだ。
「へ・・へへ。動くんやないで。下手に動くと、このガキ殺てまうで」
石井が、不敵に笑う。
「ごら・・何の真似じゃい、そりゃあ・・」
工藤の目が怪しく光る。




