蠢きの魔
「いや、行きます。俺のダチの事ですやろ?俺が、ダチの事で動けんのなら、一生恨みますよ、先輩!」
修ニは真っ直ぐ工藤の目を見た。工藤はその真っ直ぐな目に、
「ち・・しょうが無いのお。ほなちょっと待っとれ!」
工藤はもう一つの箪笥の中から、雷神連合特攻隊長の服を出した。それは雷神連合誕生の際、石井の兄に刃を向けた者に体を張って止めて亡くなった、鬼羅亜の特攻隊長、飯村浩二が着ていた服だ。その時、工藤と覇を争っていた石井の兄は雷神連合のてっぺん取りから降りたと言われている。
「ええか、この服を着る以上、わしもお前も半端は出来ん。けど、言うとくで。わし等は、暴れに行くんとちゃうど、修ニ。その服はのう、雷神の特攻隊長だった、飯村浩二ちゅう男の形見や。初代をわしと争うた、今の我悪羅の石井の兄の身を庇って死んだ、アホな男の服や。けどな、その飯村がこの関西を救い、雷神連合が生まれたんじゃ。よおその事を腹に入れて行くんやで。ええか!勝手な真似は許さへんぞ、分かったの!」
「はい!」
凄まじい工藤の気迫だった。これが初代雷神連合を束ねた男・・修ニは体が熱くなった。
ここ数年封印していた、ガレージのフェアレディ240ZGが爆音を上げる。




