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蠢きの魔
「ひぃ・・ひぃーーー」
猛犬・・実はシェパードを、ここ一週間前から借りて来ていた工藤であった。
「おい!ガス、止め!」
その声で、組み伏せた2人に対する攻撃を止めた、シェパードのガスであった。
「へへへ・・飛んで火に入る夏の虫ちゅう奴やのう。こら、顔見せんかい!」
工藤がにやにやしながら、懐中電灯を照らす。千崎、田村の顔が浮かんだ。
「へ・・?まだガキやないけ。こら、観念せえよ。逃げてもあかんぞ、このガスはやれゆうたら、ほんまに食い殺すまでやりよるさかい」
「ひ・・ひえ・・に、逃げませんわ」
間抜けな泥棒達は、工藤の事務所に連れられた。
「白状せんかい、何を盗みに入った」
「俺等・・バイクの修理しょお思うて、部品取りや」
千崎が答えた。
「ほお、部品取りかい。ほうかあ・・さよか・・ってっゆうか!ボケえ!」
工藤の迫力に2人は完全に気負されていた。




