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蠢きの魔
「よっしゃ、やろうで!」
こうして、千崎、田村は、この夜工藤の修理工場に忍び込む事となる。しかし、この出来事が、大きな騒動に繋がる事とは・・・。
丁度その頃であった。鬼怒羅の橋本と、鬼羅亜の伊藤が、泉南の公園で対峙していた。
鬼羅亜のテリトリーに鬼怒羅が進出して来たのだ。既に一瞬即発の様相であった。
「おい!橋本!われ・・何の真似じゃ!」
伊藤の言葉に、橋本がバイクに乗って前に出た。
「何寝言抜かしとんねん。ここは、元々雷神のもんや無いか、わしが走って何があかんのじゃ」
「ほう・・雷神背負う、器量がおのれにあるちゅうんかい。そんなら見せてみい!」
「おお!」
橋本が走り出た。伊藤が受けて立った。怒号が飛ぶ、手出し無用。タイマンで決着をつけるのが彼等のやり方だ。
「ぐわっ!」
伊藤が橋本の右のストレートパンチをまともに受けて、3メートル程後に飛ばされた。




