蠢きの魔
「あんたも・・泣いたり、笑うたり、忙しい娘やなあ・・しかし。修ニは、まあ・・わしの弟分見たいなもんや」
「ほんま!うちな、これ・・このオルゴールを壊した事、謝りたいねんけど、卒業式までもう僅かやし、金村君に会われへんかったら、どないしょ」
「修ニなら、ここへ叉来るよって、よお言うといたるわ。それより、あんたもさっきそんな怖い目に逢うたのに、そんなオルゴールの心配なんかして、そっちの方がショックやったやろ?」
「おおきに・・でも、もうだんだん落ち着いたわ。今はこのオルゴール壊した事の方が辛いねん」
「修ニがその言葉聞いたら、小便ちびる程嬉しがるやろな。あんた見たいな可愛い娘にそこまで大事にして貰うたら・・それって、卒業前に作るオルゴールやろ?わしも作ったわ」
「うちな・・金村君って、やんちゃやってるけど、このオルゴール見た時、めっちゃ感激したんやんか。こんな優しくて、綺麗なデザイン作れる子やったって思ったら、金村君ってきっと真っ直ぐで純粋な人やって思うたんよ」
「あんた・・名前も聞いて無かったけど・・・ほんまええ娘やな」
「いややな、あんちゃん、惚れたらあかんで、うち、新田恵利」
「がははは。流石関西人、ええ突っ込みしてるわ。よっしゃ、恵利ちゃん。あんちゃんが、これから家まで送ったるわ」
工藤が新田恵利を家まで送り届けると、すぐ工場に戻った。修ニがちょうど、その時に現れた。
「おう!修ニ、ええ所に来たやんけ。ちょっとこっち来い」




