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序章
「ま、飼うつもりなら、そのつもりでここへ置いとくさ。どうせ、競翔鳩としては、無理だろうしな」
「何で?」
「競翔鳩に必要なのは、まず体だ。栄養不足のせいで、この鳩は順調な生育が出来ていない。競翔鳩と言ってもな、生まれて来る子鳩が全部競翔鳩としての条件を満たしてなんか居ないのさ。その中の何割か、残るだけ。そう言うものなんだ」
「ふうん・・・益々気に要ったわ。その鳩、俺が貰う」
「そうなれるよう、頑張ってくれ」
次の日だった、修ニが3週間ぶりに中学校へ来ていた。卒業までもう、2週間を切った日であった。
「よお、修ちゃん、久し振りやんか」
不良仲間の長身で、細身、キツイ目の、千崎速人が声を掛ける。
「おう」
修ニが手を上げた。
「どないしたんや?修ちゃん」




