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序章
「ま、女の事で、真剣に喧嘩をしたのは生まれて初めてだったよ。それで、次の日、俺は付き合ってくれと、亜紀さんの所にフランケンシュタイン見たいな顔して行った訳だ」
「ほんで、ほんで。振られたんやろ?やっぱり」
修ニがにこにこして、結果は出ている、当然と言う顔をして言った。
「アホ・・そんな生易しいオチじゃねえよ」
「ぷ・・わはははは」
工藤が吹きだした。
「なんや、なんや、どないなったん?」
修ニが身を乗り出して聞く。
「どっかのな、冴えん中年のおっさんと駆け落ちしよったんじゃ、前の日にな・・がははは」
「ははははは」
修ニも笑った。腹の底から笑えた。佐久間が渋い顔をしてビールをぐいぐい飲んだ。修ニの中で何かが弾け飛んだ。
この2人が友達になったのも分かるような気がした。




