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序章
「ははは、修ニ、良かったじゃないか。この道40年の職人の善さんから見りゃあ、当然の評価。だけど、新川社長は認めてくれたんだ。」
佐久間が修ニの肩をポンと叩く。何故か悪い気はしなかった。
「おい・・金村ちゅうたな・・ちょっと手、見せて見い」
善さんが、金村の手を掴んだ。
「苦労・・しとらん綺麗な手えや・・。けど、指の長い器用そうな手や・・おやっさん(新川社長)この子、わしに預けるゆわはるんですね?」
「そうや・・どや、面倒見たってくれへんか?善さん」
「事情は聞かへんときますわ。ただ、この道具見た時から。何や、久し振りに職人としてのビビッと来るもんがありましたんや」
「よっしゃ、決まったで、金村君。お前がここで働く気なら、中学卒業と同時に来てくれ」
「あ・・あの、ちょっと・・」
修ニが少し慌てた。就職の面接に来たつもりなんか全く無かったからだ。佐久間が少し言葉を付け足した。




