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序章
「善さん、済まんけど、そこの作業台、ちょっと使わせて貰うで」
新川社長が言う。
「ああ・・ええですよ」
白髪混じりで短い髪の、いかにも職人らしい頑固そうな顔をした人だった。この人は、新川家具の最古参で、尤も、新川社長の信頼も厚い、家具職人の*鈴木善次郎と言う人だった。
修ニに一瞥すると、彼は腕組みをした。
「ここにな、余り材料は一杯ある。さっき見たいなもん、まあ、思う形でもええわ。鳩の巣箱作って見てくれるか」
「あ・・はあ・・」
新川が言うと、修二は仕方無さそうに頷いた。
修ニが善さんと言う職人さんを見る。その眼はどれでもええからその辺の材料を使え・・そんな表情だった。
「あ・・そやそや・・この道具を使ってくれや」
新川社長が、修ニにさっきのお父さんの形見だと言う道具を差し出した。善さんの顔が、ぴくっとなった。
「社長・・すんまへん、ちょっとその道具見せておくんなはるか?」
「おう・・」
新川社長が善さんにその道具を見せると、
*閃きの中でにも登場




