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序章
「この鳩はな、青森の竜飛崎から2回、北海道の羽幌と言う所から1回、稚内から2回、戻って来とる鳩や。その竜飛崎の1回と、北海道の稚内は関西でそれぞれ総合3位と、総合7位になっとる。CHの称号を貰った『川上稚内号』っちゅう鳩や」
「へえ・・凄い鳩なんやねんなあ・・」
修ニは、そう呟いた。この鳩の燃えるような眼が、断然輝いて見えた。
「なあ・・ちょっとお願いがあんねや?」
新川が金村に言った。
「え・・?」
「そこに巣箱っちゅうて、四角い箱があるやろ?」
「あ・・うん」
「その巣箱・・良う見とって、後で同じもん作ってくれへんか?」
「え・・?」
「材料は下に何ぼでもあるさかい、ちょっとな、この鳩の巣箱を作ったろ思てんねん。何・・形は任せてもええけど、どや?」




