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修二
「ようおいで下さいました。ご無沙汰致しております」
新川氏が、お互い白くなった髪の事を言いながら、旧交を温めていた。
川上氏は新川氏に深く感謝し、新川氏も川上氏の手を強く握った。互いの握り合う手には温かいものが流れ、涙も零れた。
修ニが川上氏に歩み寄った。
「ようこそ、遠い所をお忙しい中、自分達の結婚披露宴においで下さいまして、有難う御座います。お目に掛かれて、もう感無量です」
大粒の涙を零しながら、修ニが川上氏に礼をする。恵利も傍らで、同じく深く頭を下げた。
「本日はおめでとう御座います。お若い人だが、聞けば、新川家具の伝統を引き継ぐ職人さんと聞き及びます。又競翔も楽しまれていると言う事ですね。どうか、お二人はこれからの人生を楽しみ、そして又競翔を楽しまれて下さい」
「有難う御座います。手記を読ませて頂くうちに、自分の生きて来た不毛な人生を顧み、目からうろこが落ちました。涙が止まりませんでした。自分も鳩を愛する気持ちを忘れず、生涯の中で、白川系、香月系を目指したいと思います」
「良い眼をしている・・貴方のご活躍が見えるようです」




