修二
「え・・コンセプト?」
「そや。どんな気持ちを込めてこの家具を作ったか聞いとんのや」
「はい・・70過ぎのおばあさんに孫がプレゼントするゆうの聞いて、あの・・俺・・その、おばあさんの家に2回お邪魔しました。ほんで、プレゼントすると言う、お孫さんにも話を聞きました」
「ほう・・」
「この椅子は、縁側で陽のあたる時には、リクライニング出来るように、右手の所で角度を調整出来るように工夫しました。設計図も貰うたんですが、やっぱり使う人の身長とか、条件によって違うんで、畳の部屋にも使えるように、ちょっと台に畳にも優しい工夫をしたんです。設計の人には怒られたんやけど、けど、師匠からは、何も言われてません・・あの・・」
「修ニ、今度の仕事をお前に任せて見いゆうたんは、このわしや」
「えっ?」
「ええか。木ちゅうんは命や。その命を木に与えられるんは、職人だけや。器用な奴は世の中になんぼでも居てる。綺麗なもんを作れゆうて、作れる者も仰山居てる。せやけど、その命が入ってへん家具は、所詮道具なんや。この新川家具でもオートメーションで、作業する工程はある。大量生産も出来る。せやけど、今日新川家具があるんは、オーダーメイドの家具を作って来た、新川家具職人の証でもある、半纏を着た、7人の職人が居るからや。この新川家具は、HZK㈱の一員になっても、この心意気だけは、不滅やとわしは思うとる。修ニ・・この家具、魂が入っとる・・ええ家具やでえ」




