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修二
羽崎社長が深くお辞儀すると、韓オーナーは奥へ戻って行った。
「韓さんがな、このレストランを始めた時は小さな屋台からやったんやで」
羽崎が言う。
「へえ・・」
修ニが感心したように頷いた。
「韓さんは、努力の人や。辛い修行をして、寝る間も惜しんで料理の勉強をしはって。この店を出すまでには、相当の借金もあったそうや。けど、2年で完済したんや」
「凄いなあ・・韓の親父さん」
修ニが言うと、少し嬉しそうに韓はにこっとした。
「佐久間、修ニ君に韓君の鳩の事話したり。わしは、韓はんと奥で話をしてくるさかい」
羽崎社長にとっても、韓オーナーは特別の人のようだった。米次が言う。
「韓君の親父さんの鳩と言うのは、ここの店を出す時、無担保でポンと保証金を出してくれた人からの預かりものなんだ」
「えっ!自分が好きで集めた鳩とちゃうの?」
「韓君の親父さんは、それ程鳩が好きなんじゃ無いんだよな。大事な人からの預かりものだから、一生懸命世話して来たんだよ。」
「韓!じゃ、自分は?」




