序章
その恰幅の良い男に連れられて、きょろきょろしながら修ニ少年は不安そうに付いて行く。修ニのその肩をポンと佐久間は叩き、
「とって食やあしねえよ、修二。まず、腹こしらえでもしようや」
大きな倉庫の横にある、白い平屋モルタルの建物に入ると、それは社員食堂のようであった。かなり広く、長テーブルだけでも20卓はあって、座になっている窓際は、木目の綺麗な座卓が5つある。その一つに、恰幅の良い男は座るよう勧めた。
「はは。金村君には何も、ゆうて無かったわな。ここがわしの工場で、わしは新川忠雄ゆう者や」
「ま、そう言う事だ。まずは、ここの社員食堂で、昼飯をご馳走になろう。美味いんだぜ、ここの飯」
佐久間が言った。
佐久間が注文した、特製のラーメンと餃子を食べながら、その脇の卓で談笑する羽崎と、新川だった。不思議そうな顔をしながらも修二はメニューを見ながら、チャーハンとラーメンを頼んだ。確かにこの食堂の飯は美味しかった。
佐久間の食いっぷりは凄まじく、そのラーメンと餃子をあっと言う間にたいらげると、今度はカレーライスに大盛りのチャーハンを追加した。修ニにも追加を勧められるが、とても入らないと、水を貰った。




