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序章
「おう・・事故ったのは、そこの要町の交差点で、6年前や。修ニのお父んと、姉ちゃんが乗っとった」
「・・死んだのか?その2人は」
「即死やった。あいつが、小学3年生の時や」
「そうか・・羽崎社長も木崎先生から色々聞いたようだけど、俺には何にも言わん」
「聞かん方がええ。修ニには辛い事やろし、あいつがああなったのも、分からん事もあらへん」
「そうだな・・。触れて欲しく無い過去は誰にでもあるさ」
佐久間は答えた。
「世話掛けるな、工藤」
「へ・・お前とわしはどうせ腐れ縁やしの」
佐久間は、奥でごそごそやっている、修ニ少年の前に立った。確かに真っ黒になってごそごそやっているようだ。
「よお、足・・もう大丈夫か?修ニ」
見上げると、修ニは答えた。
「ふん・・気安く呼ぶんやないで。よねじちゃん」




