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序章
「何か・・複雑そうですね」
羽崎は黙って頷いた。
次の週末だった。佐久間が、工藤の所に姿を現した。
「よお!」
工藤が真っ黒になった作業着のまま、立ち上がった。
「どうだ?修ニは」
「おう・・それが、あれから毎日ここへ来とってな。ごそごそやっとるわ」
「へえ・・・」
佐久間は、意外そうにそう言った。
「それで、一日中何してる?」
「ああ・・わしも、ちょくちょく、これ持って来いとか、これちょっとやってくれゆうてるわ。案外、器用なんで、びっくりしたわ」
「へえ・・工藤の言う事は聞くんだな」
「へ・・わしも、修ニどころや無い。相当暴れとった口やで、お前も知っての通り」
「はは・・まあな」
「それにな、あのマッハは、簡単には直れへんわい。何しろ事故車やさかい」
「知ってたのか・・お前は」




