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序章
ウオ――ン・・バリバリ・・・けたたましい爆音がトラックの背後から聞こえる。
その音はあっと言う間に1台のトラックを追い越して行った。
「おおっと・・」
慌ててトラックを運転していたそのハンドルを切る佐久間だった。隣の助手席で、少しうとうとしていた初老の羽崎は「はっ・・」と目を覚ます。
「社長、大丈夫ですか?」
運転手は佐久間米次。隣に乗っているのは、羽崎四郎。関西で、大きなインテリア専門ショップの社長である。その佐久間は同時に、その羽崎四郎の会社の営業マン兼、競翔のハンドラーと言う28歳の大柄の青年である。
「いや、何。目が覚めてしもうたわ、ははは」
「申し訳ありません」
「お前が謝る必要あらへんわ。今のは暴走族ちゅう奴らかいな」
「ええ、最近特にこの街には多くて。迷惑な話ですよ」
「若さを発揮する場所が、他にあらへんのやろうのう・・」