策謀・派閥・暗闘
米次は、昼過ぎに新川家具工場へ来ていて、新川社長となごやかに談笑していた。
「わははは・・そうでっか・・ほな、修ニ君も呼んで、一緒に飯食いまひょ」
食事を米次と取る事になった修ニだが、同居していながら、顔を合わす機会が少なくなっている米次の顔を見た。幾分疲れているような顔だった。しかし、米次はどんぶり飯で、5杯食った。少し、修ニは安心した。食事が済んで、米次が、新川社長の社長室で再び会話となった。
「それが・・でんなあ、最近妙な事があったんですわ」
「妙な事?」
「へえ。共和物産っておまっしゃろ?そこから、テーブル200個の修理注文を受けたんですわ」
「ほう・・しかし、共和物産は当社でも大口の取引先ですが・・」
「ええ。知っとります。けど、持ち込まれたテーブルをちょっと確認しましたら、先々月倒産した、九州の方の家具屋製造になってまんねん」
「倒産品ですか・・ははあ・・そのテーブルだったら、今度羽崎グループがやる展示即売会に出す目玉商品かも知れません」
「それだけの事やったら、うちも大きな仕事ですさかい、受けよと思うたんですわ。せやけど、共和物産が持ち込んだその修理費が問題でんねん」
「安かったんですか?目玉商品ですからねえ」




