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工藤の店に
「はは、自分なんか。でも・・良かったですよ。これで、肩の重いものが取れました」
その時であった、空を一心に眺める修ニが、突然大声を出した。
「ああ!あんちゃん!あんちゃん!あれ!」
慌てて、米次も修ニの横に立った。
「おっ!・・今度は本隊だ。ええっ・・こんなに早く・・?・・修ニ、こっちへ来て鳩笛を吹け!」
「うん!」
興奮した様子の修ニが、鳩笛を吹く。
羽崎が鳩舎奥で、時計を見る。まだ10時前だった。
「戻って来たあ!」
修ニが声を上げる。一羽がタラップに舞い降りた。素早くゴム輪を外して打刻する米次。続けて、2羽が戻って来る。笛を吹き続ける修ニ。
「よっしゃあ!もう良いぞ、修ニ」
米次がタイムを取ったのは5羽だった。後続が、続々と戻っていた。
「どうだ?鳩が戻って来る瞬間って言うのは、良いもんだろう?」




