17/333
序章
「知ってたのか、工藤」
「おう、こいつはこの辺じゃ有名な不良のガキや」
「なるほど」
「け・・」
修治はふて腐れたように、横を向いた。羽崎は降りなかったが、佐久間が叉一人で、バイクを抱えて降ろした。
「おいおい・・無茶すんなあ、佐久間・・馬鹿力っちゅうのは、こう言う時に使うもんやあらへんで、はは」
工藤が笑う。そしてバイクを見るとすぐ、
「どれどれ・・あちゃあ・・ひどいわ、これ。事故だけちゃうで。フレームからやっぱりいかれとるわ」
「最初から、悪かったと言うのかい?」
「おう・・こないなバイク・・まっすぐ走りよらへんかったやろ・・・のう、修ニ」
少年は黙ったままだ。
「なるほど・・納得したよ」
佐久間が頷いた。




