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佐久間米示と言う男
「・・・お前の性格はよお知ってるわ・・そやけど、そんなお前にこのわし自身が育てて来たんかと思うたら、わしこそ涙が出るわ・阿呆んだら・・。わしは自分の子や思うてお前を育てて来たちゅうたやろ。お前にとっては、わしは自分の恩人でしかあらへんのかい・・。自分の好きな事もせず、耐えて、お前は今までわしの為に生きて来たちゅうのかい。佐久間・・それやったら、わしは辛ら過ぎるぞ・・」
羽崎社長の声が詰まった。
「も・・申し訳ありません!」
涙をぬぐう社長に、佐久間は再び土下座をした。
「そんな決意をさせる程、好きな女性なら、連れて来んかい。わしは、なんも反対などせえへん。見合い話なんてどうでもええ事や。それに、山本はんのグループ入りはもう決まってる事や。山本はんは、そんな小さい器量のお人やあらへん。山本はんは、たたき上げのワンマンで伸し上がって来た社長や。そやさかい、お前のような、パワーを持った人間を正味、気に要ったちゅう訳やし、お前が叉、見合い話を蹴って、それを重荷に感じる事も何もあらへんわ。早合点するな、阿呆う」
「う・・うぐぐぐ・・」




