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序章
「マッハⅢなんて、古いバイク・・どこの解体屋で見つけて来たんだ?本当にバイクが好きなんなら、もっと大事に使え」
少年は黙っていた。
「まあ、まあ・・何はともあれ、わし等はこれから社に戻って仕事をせにゃならん。坊主、名前を言いたく無いんならゆわんでもええ。わし等も詮索はせん。わしは、これから、坊主を新町の「木崎接骨院」に連れて行こうと思っとる。坊主がそこを知っとるか、お前の家が近いか、まず、それだけ聞いとくわい」
「・・木崎のやぶなら昔から・・知っとる・・家もすぐじゃ」
「そうか・・それなら大丈夫やな」
「おねがい・・します」
少年は頭を下げた。そこまで送れば、自分達の役目は終りだ。佐久間もそう思った。
トラックは止まった。そこは工藤修理工場と言う所だった。
「あ・・」
少年は声を出した。




