序章
「ああ、ここに居る人の店舗位は坊主も知ってるだろう、関西にも10数店舗を抱える、総合インテリアショップのオーナーだ。俺は、そこの会社の営業主任兼運転手兼、鳩の飼育を管理するハンドラーだ。会長と言ったのは、鳩に関する訓練や、プライベートの時で、西郷連合会と言う競翔連合会の会長もされているからだ。たまたま今朝は訓練の為に、会社の出勤前にこうして、放鳩車を運転してきたが、この車はその連合会で使うもので、勿論会長が個人で寄付したものだが、坊主がたまたま俺達が放鳩に行く途中で事故を起こしていたから、助けたまでだ。オートバイは修理しなけりゃ動かないだろうし、この寒空にお前を放っとけないし、このままにしとけば、間違い無くお前は警察の世話になるだろう、それでも良かったのか?」
「わあった・・」
少年は呟いた。
「何だって?」
佐久間は聞きなおした。
「だから・・分かったゆうとんやんけ!」
「それが人にお願いする態度か、ったく」
間髪を入れずに、少年は早口に言った。
「それなら、お願いします・・せやけど、金無いで」
佐久間はハンドルを握りながら、眉間に皺を寄せたまま、言った。




