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佐久間米示と言う男
「お・・びっくりした。それよりお前等、今から飯食いに行くど!」
「おお!やったあ!」
千崎、田村は、喜んだ。
それからすぐの日曜日の事であった。朝早くからスーツ姿で出て行く佐久間の姿を、修ニが見ていた。
「お母ん、えらい、朝早うから今日は休みやゆうのに、スーツ姿で出て行きよるで、あんちゃん」
「そら、もうお年頃の人ですさかいな、女の人とデートでもしはんのと違いますか?」
「ぷ・・」
修ニは笑った。
「そりゃあ、無いで、お母ん。あのゴリラ顔のあんちゃんに彼女が居るやなんて、工藤先輩からも何も聞いてへんわ」
「ま・・。でも、修ちゃん。佐久間はんは、会社では働き者で、てきぱきと仕事をこなしはるし、よお気のつく優しい人よ。あんな男はん、ざらには居てへんわ」
母親が余り佐久間を褒めるので、修ニは面白く無い。
「まあ・・あんなゴリラでも、世の中には物好きが居てるかも知れへんな」
そう言って、修ニも、ごそごそと仕度を始めた。




