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佐久間米示と言う男
帰り際、修ニが、
「あ・・変わった事もあらへんねんけど、お母ん、最近ちょっとおかしいんですわ」
「おかしいって、どんな風に?仕事で疲れてはんのか?」
「いえ、そっちの仕事の方やったら、今の会社で働き出してから、いきいきと、はりきって仕事行ってますわ」
「ほな、どんな具合や?」
「それが・・時々ぼおっとして、遠く見つめるようになって、この前、あんちゃんが鳩持って来てくれた日も、思いっきり飯作りよりますねん。その時は、あんちゃんも用事があって一緒に飯食わへんかったやけど、幾らあんちゃんが居っても食べ切れん量ですねや。お陰で俺3日位食いすぎで腹パンパンですねん。ははは」
「へえ・・そうかいな。まあ・・修ニ。お母さんも、今まで心配掛けどうしやったんや。ちょっと気が抜けてるんかも知れへんの。大事にせなあかんぞ」
「ええ。分かってます」
修ニが帰った後、工藤は思った。
「ひょっとして・・ひょっとするかも知れへんな・・」――と。
「大将!何がひょっとしますねん?」
千崎達が後ろに立っていた。




