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薫る言葉に
「修ニな、あれからここへ、これ・・持って来てくれたんや」
木崎が、木材で作った、花入れを美弥子に見せた。
「あいつの、精一杯の礼のつもりやろけど、嬉しかったで。死んだ父親そっくりや。手先が器用な奴じゃわい」
「そんな事を・・うち、全然知りませんでした」
「なあ、美弥子はん。修ニも働き始めた所やし、あんたも、そろそろ、別の事も考えて見んか?」
「先生・・何の話ですか?」
「この佐久間はんの会社は、知っての通り羽崎グループゆうて、関西でも有数のぐんぐん今伸びとる会社や。そこの経理の事務員が、先月結婚退社して、募集せなあかんちゅうて聞いとる。だから、あんたをどや?って佐久間君に言うとる」
「先生・・私は、こんなおばちゃん、若い子に混じって・・ふふふ。おかしいわあ」
美弥子が笑った。
「美弥子さんは、おばさんなんかじゃ無いですよ!若いし、綺麗です!」
佐久間は大きい声で言った。




