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蠢きの魔
「く・・くそおお!」
最後のあがきか、稲村がナイフを振り翳し、工藤に襲いかかろうとした。しかし、隣に立っていた、千崎が思いっきり稲村を蹴り上げた。
「ぐ・・ぐわっ!」
稲村の腕は折れたかも知れない、鈍い音がした。千崎はきっちり自身のケジメをつけたのだ。工藤がその千崎の肩をポンと叩いた。
動けなくなって、殆ど気絶状態の石井を見て、工藤が吼えた。
「さあて!我悪羅、鬼怒羅、鬼羅亜にゆうとく!今から雷神連合復活じゃ!2代目総長として、伊藤が継ぐ。異存は無いのお!」
「おおーーー!」
6年振りに雷神連合が復活した夜だった。病院から修ニが戻って来た。修ニは自ら、特攻服を脱いでいた。そして、それを伊藤に渡した。
「伊藤先輩、この服は橋本先輩が着るもんやと、俺は、思います。先輩から渡してあげて下さい」
「分かった・・。よう言うてくれたの!預かるで」
修ニはぺこりと伊藤に頭を下げた。
工藤が満足そうに頷いた。




