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蠢きの魔
「そうか、ほな、ここでケジメつけたらんかい」
工藤の眼が光る。加藤は伏せ目がちに、
「どんなケジメでっしゃろ・・」
「おどれ・・この我悪羅から、手引けや」
「分かりました」
車に乗って帰ろうとする加藤に向かって、ぼこぼこ顔の稲村が叫んだ。
「そ、そんな加藤さん、殺生でっせ。わし等あんたに上納する為に、どなん今までやって来たか」
「じゃかましいわいっ!」
加藤がつかつか歩み寄り、稲村を思いっきり蹴り上げた。
工藤はなおも加藤に言った。
「加藤、もうちょい遊んで行けや。今晩はのう、雷神連合2代目が決まる日や。拝んで帰れや、その面を」
「・・わしには関係無い事です・・ほな」
加藤は、逃げるようにして帰って行った。
「薄情なもんやのう、稲村。それがやくざっちゅうもんや。おのれも、ちんぴらになって生きるんか、どないするんか、よお今から見とけ」




